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【1020号】高級百貨店のサックスがショールーム型小型店を出店する本当の理由

saks fifth avenue

※火曜日は簡易版に変更しました。

◎本日のニュース

1)見出し

Why Can’t a Store Be More Like a Website?

 

 

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2)ビジネスのヒント

高級百貨店のサックス・フィフス・アベニューが、実店舗の高級小売店として斬新な挑戦を行っている。というのも、ネット通販市場が伸びる一方で、顧客を奪われる形で実店舗型小売業が苦戦しているからです。だからといって、ネット通販も簡単に収益に貢献してくれるわけではない。通販サイト・実店舗双方の強みと弱みをまとめると、次のようになります。

 

【通販サイト・実店舗の強みと弱み】

  1. 通販サイト:集客に強い一方で、売上につながりにくい
  2. 実店舗:来店が売上につながりやすい一方で、集客が難しい

 

両者の強みと弱みが対照的なのがわかります。要は、これらをミックスすれば、いずれの強みも活かせる”最強”の小売業になれるのです。サックスの挑戦は、”最強”の小売業への挑戦と言っても過言ではありません。

 

そこで、サックスの新業態・サックスダウンタウンの特徴をまとめると、次のようになります。

 

【サックスダウンタウンの特徴】

  1. 女性が主要顧客
  2. ショールームみたいな在庫の少ない小型店舗
  3. 確認・回遊しやすい店内デザイン
  4. 快適な試着室
  5. アパレル・アクセサリーをブランド毎に一緒に陳列
  6. 顧客の好みに応じたデジタルカタログを使った提案

 

2について、品揃えは通販サイトに任せることによって、実店舗では在庫を少なくして、ショールームのような役割をしています。店舗にない商品は、通販サイトで注文するというスタイルです。よって、通販サイトのIDと実店舗のロイヤルティカードのIDは結合しています。在庫が少ないので、店舗面積は小型で済みます。

 

一方で、3・4のように、店内の快適さはネット通販に匹敵するようにしています。商品を陳列した台を放射線状に店内に配置することで、行き止まりを無くし、店内を回遊しやすくしています。また、棚を低くすることで、店内全体を見渡せるようにし、気になる商品をどこからでも見つけられるように設計しています。

 

クリックすればサイト内の売場に何度でも行ける通販サイトを真似ています。また、商品を広げられる台を設置しているのは、商品を回転させたりスペックを見られたりする通販サイトの特徴を取り入れたものです。極めつけは、試着室でしょう。ネット通販の場合は、自分の部屋が擬似試着室になります。(実際には商品が届いてから試着することになりますが。)店舗の試着室も、自分の部屋並みにくつろげる空間に設計しています。

 

5は、シーン提案と言えるでしょうか。従来の衣類売場・アクセサリー売場と言ったカテゴリー別の売場をやめて、ブランド毎に衣類・アクセサリーをあわせた着こなしをマネキンで提案しています。買った後の使い方を提案しているとも言えるでしょう。

 

6は、通販サイトのIDと実店舗のIDを結合させることで、顧客に合った商品をまとめたデジタルカタログを作り、より購入確率の高い商品を提案しています。

 

店舗IDと通販サイトIDを結合させることで、通販サイトの特徴も変わってきます。

 

【サックスの通販サイトの特徴】

  1. ネット顧客は、必要な時に実店舗の販売員にチャットで直接相談できる
  2. 必要ならば、近くの実店舗の販売員を紹介してもらえる

 

このような特徴をもたせた背景には、次のような現実があります。

 

【消費者と実店舗小売業の対象的なニーズ】

  1. 大部分の来店客は、小売店の販売員に付かれて買い物したくない
  2. 小売店の販売員は、一緒に買い物をする顧客の客単価が高いので、できるだけ商品を紹介・提案したい

 

この対象的なニーズを交差させるために、1・2のように、実店舗の販売員に相談したいネット通販顧客には、実店舗の販売員と直接チャットで相談できたり、紹介したりしているのです。これにより、販売員と相談したいネット通販顧客が来店するので、小売店は客単価を引き上げることができます。ウィンウィンの関係を築くことになります。

 

販売コミッションに給与が左右される店舗販売員にとっても、この仕組みは大きなメリットになります。というのは、たとえ来店客が少なくても、ネット通販顧客とのコミュニケーションを通じて、自分の売上・顧客リストを増やせるからです。ショールーミングにより店舗の売上が通販サイトに”流出”することを、最小化することができます。

 

実際、このような通販サイトのショッピングツールや実店舗のデジタルカタログの効果は数字に表れています。例えば、これらの新しいシステムを利用した来店客は、他の来店客よりも購入点数が5割も増えているようです。

 

【注目点】

  1. 実店舗で来店客が受けるストレスを減らせれば、実店舗の売上を伸ばすことは可能だろう
  2. デジタル・ネットのハードルは低いが、必ずしも収益に結びつくとは限らない

 

1について、接客方法を含めて、来店客が買い物しやすい環境を作れば、ネット通販市場が今後も拡大しても、実店舗の売上増は期待できるのではないでしょうか。従来の実店舗では難しかった、商品スペックをタブレットで簡単に調べられるなど、通販サイトなら当たり前の機能を付加することでも、来店客のストレスを軽減することはできるでしょう。

 

2について、ネットは集客に強いものの、クロージングは実際の販売員が得意としています。この特徴を活用すれば、ネットで見込み客を集客し、集客した見込み客に対して販売員が対応することで、営業の成功確率を高めることができます。

 

実店舗でデジタルサービスを増やすことで、購入にまで至らなかった来店客を、将来の売上に繋げられるようになるかもしれません。言ってみれば、商品を閲覧した見込み客に対して、訪問した他サイトにその商品の広告を掲載するレコメンド広告のように。

 

Saks Downtownに関する他情報サイトの記事

fashionista.com/2016/09/saks-downtown-2016

nypost.com/2016/09/08/saks-downtown-sheds-department-store-label/

goo.gl/NywnOQ

 

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《今回のヒントのまとめ》

高級百貨店のサックスがネット通販と融合した小型店舗をオープンさせたのは、来店客が受ける実店舗のストレスを減らすことで、実店舗の収益拡大を目指しているからである。

販売員に相談したい通販サイト顧客が来店することで、実店舗は客単価の向上が期待できる。

また、コミッション収入に依存する販売員にとっては、ネット通販顧客の売上を取り込むことが可能となる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

九州土産に買った「ひよ子のピナンシェ」が、子供(1歳)に好評です。

まだ、自分で食べていないですが、アーモンドの入ったフィナンシェで、見た目にも美味しそう。

家庭用は意外にも安いので、仲のいい友人向けにもいいかも。

それにしても、土産選びにはいつも頭を悩まします。

ひよ子のピィナンシェ

ちなみに、楽天一番で一番レビューの多いフィナンシェがこちら。

ガトーデギュスタシオン

 

神戸・元町のお店のようです。(一度前を通ったことはあります)

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

伊勢丹がブティック型の小型店の出店に意欲的なのは、サックスのこの動きを見てなのかもしれないですね。

日本の百貨店も、別の意味でショールーム化・コト化が進むかもしれません。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

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