About

*

【1025号】八百屋こそ、ネット通販に対抗できる?

Leafy green produce at a grocery store in Fairfax, Virginia

U.S. Department of Agriculture

◎本日のニュース

1)見出し

Supermarkets’ Best Weapon Against E-tailers: Produce

 

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

2)要約

ウォルマート・ストアーズ社が、野菜売り場の拡充に力を入れている。より新鮮に見えるように照明や什器を刷新して、直売所風の雰囲気にしたり、目利きのできるように従業員教育を行ったりしている。

 

生鮮品に力を入れるのは、実店舗で購入したいと考える消費者が多く、集客に寄与するからである。実際、ネット通販で生鮮品を購入したことのある消費者はごくわずかであり、ネット通販大手のアマゾンですら、生鮮品など消費期限の短い食品を扱う小型店の出店を計画している。

 

ただし、地元野菜を増やすほど物流コストが増幅するという欠点がある。また、什器買い換えなど売場への投資も、コスト増につながる。

 

3)キーとなる英文

While Wal-Mart and other retailers, including Ahold USA and Meijer Inc., are pouring money into ramping up online sales, the grocers are also buckling down on the basics of the produce department.

 

4)キーとなる英文の和訳

ウォルマートやアホールドUSAやメイヤー社など他小売店が、ネット通販拡大に投資を増やす一方で、スーパーは生鮮売場の基礎づくりに熱心に取り掛かっている。

 

5)気になる単語・表現

spruce up 他動詞句 ~の外見を良くする
crisp 自動詞 かりかりになる
cull 他動詞 ~をより抜く
bin 名詞 蓋付きの大箱
mimic 他動詞 ~をまねる
grain 名詞 木目
last-minute 形容詞 最後の瞬間の
aesthetics 名詞 美学
moniker 名詞 名前
prime 形容詞 最も重要な

 

(今回ピックアップ英単語)

おやすみ

 

6)ビジネスのヒント

アマゾン・ドット・コム社などネット通販企業の拡大に対抗し、ウォルマート・ストアーズ社やアホールドUSA・メイヤー社などの小売チェーンは、ネット通販事業への投資を拡大しています。一方で、スーパーマーケットチェーンは、実店舗のテコ入れとして、生鮮品、特に野菜の販売に力を注いでいるようです。というのも、次のような背景があるからです。

 

【スーパーが野菜販売に力を注ぐ背景】

  1. 消費者は野菜を、ネット通販ではなく、実店舗で買いたいと考えるから
  2. 野菜は衝動買いが起きやすい商材であるから

 

1について、少し古い2014年のデータですが、ネットで生鮮品を購入したのはたったの4%に過ぎません。というのも、個々に違いのある野菜は、実際に手にとって選びたいと考える消費者が多く、またすぐに手に入れたい(すぐに調理して食べたい)と考えるからです。生鮮品は、ネットでの注文品が届くまで待てない商材なのです。生鮮品は、拡大するネット通販に対抗するには、もってこいの商品なのです。

 

2について、野菜を購入する際、購入リストには「野菜」としか書かないことが多く、実際に購入する野菜の種類は店頭で決めることが多いようです。そのため、衝動買いが起きやすくなります。スーパーが野菜売場の雰囲気を良くすることは、衝動買いを増やす点で、大きな意味があるのです。

 

このような背景により、野菜を含めた生鮮品は実店舗に向いた商材なのですが、次のような効果も期待できます。

 

【生鮮品が実店舗にもたらす効果】

  1. 生鮮品で利用する店舗を決める消費者が多いため、集客に寄与する
  2. 加工食品・アパレル品・家電など、ネット通販に奪われがちな高収益商材の売上増をもたらす

 

1について、生鮮品の良し悪しで利用する店舗を決める消費者が多いため、集客に大きく寄与します。逆に言えば、集客に大きな影響を及ぼす商材とも言えるのです。だから、スーパーが生鮮品販売に力を入れるのは、当然です。

 

2について、生鮮品自体は、廃棄ロスなどもありさほど利益率は高くありません。しかし、生鮮品目当てで来店した顧客が、利益率の高い加工食品やアパレル品・家電などを購入すれば、利益率向上に大きく寄与します。しかも、これら高収益商材の多くは、購入先がネット通販にシフトしているだけに、ネット通販対策にもなるのです。

 

以下、スーパー(一部ディスカウント)の生鮮品拡充策をまとめると、次のようになります。

【スーパーによる生鮮売場拡充策まとめ】

  1. 時短ショッピングを可能にするため、生鮮品の一部や旬の食材を入り口近くに移動。(アホールドUSA・ウォルマート)
  2. 魅力的な売場にするため、照明・什器・POPなどを刷新。カラーブロッキングなどカラフルな売場に返信(ウォルマート・アホールドUSA)
  3. 従業員による目利きを向上するため、従業員教育を実施。(ウォルマート・アホールドUSA)
  4. 若者・都市住民をターゲットに、都市部に生鮮品を扱う小型店を出店(アホールドUSA・アマゾン)

 

一方でこれら投資はコスト増につながるのも事実です。しかも、地元の採れたて野菜を増やすことも、サプライチェーンのコストを増幅することになります。

 

【生鮮品売場拡充がもたらすコスト増】

  1. 仕入先が増えることにより、物流コスト増
  2. 照明・什器などの投資によるコスト増

 

1について、サプライチェーンにおいて仕入先が増えると、一括配送ができないために、物流コストが増加します。この対処として、需要の高まる時期における供給を義務化したり、ジュースなど他商品との一括配送をしたりして、コスト削減のみならず販売チャンスロス回避を目指しています。

 

2の投資によるコスト増対策としては、衝動買いが増えることを期待するしかありません。記事には記載されていませんが、加工食品を併売することで、より利益率の高い加工食品のついで買いを促進していることも十分考えられます。

 

【注目点】

  1. 個別に違いがある自然産物は、実店舗小売にとって重要な商材である
  2. 生鮮品(特に野菜)は、スーパーのみならず実店舗型小売店にとって集客商品になりうる

 

1について、生鮮品のみならず、石などの自然産物は、実際に手にとって見ないとその違いを確認できません。だから、実店舗小売に適した商材と言えるでしょう。逆に、これがなければ、ネット通販との競争に晒されることになります。

 

2について、野菜の集客力はすさまじいです。例えば、百貨店の入り口で野菜の催事をするだけに、普段は閑散とした平日でも人溜まりができます。(実際に、神戸大丸でその風景を目の当たりにしました。)野菜など生鮮品は、食品を扱わない実店舗でも集客商品になりうるのではないでしょうか。

***************************

《今回のヒントのまとめ》

  1. スーパーなど実店舗型の食品販売チェーンが生鮮品売場の拡充を行うのは、実際にモノを確かめてから買いたいと考える消費者が多いために、集客に寄与するからである。ネット通販対策にもなる。
  2. また、生鮮品自体はさほど利益率は高くないものの、加工食品やアパレル品など高利益商材のついで買いが見込めるため、収益拡大にも寄与してくれる。
  3. 実際にスーパーは、入り口近くに売場を移動して時短ショッピングを可能にしたり、照明・什器に投資することで売場の魅力を高めたり、目利き力を高めるために従業員教育を施したりしている。また、若者・都市住民の集客のために、都市部に生鮮品を扱う小型店の出店に力を入れるチェーンもある。
  4. 一方で、投資コストが増えるだけではなく、地元野菜を増やせば、物流コストも増える。この対策として、需要期での供給義務化や他商材との一括配送により、販売チャンスロスの回避・配送コストの削減を目指している。
  5. 野菜のような個別に違いのある自然産物は、実店舗向きの商材となるだろう。また、生鮮品の集客力を活用すれば、食品以外の小売店への集客増も期待できるのではないか。

*************************

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

図書館で借りたのですが、このマーケティング本は本当にわかりやすい。

USJという身近な成功例から、わかりやすく成功するマーケティングを述べています。

実は、読破する前に返さざるを得なかったのですが、買って読もうと思うぐらいです。

調べてみると、アマゾンでもカテゴリー別1位なんですね。

納得。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

楽天ブックスにももちろんありますよ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

時間に追われる日が続きます。

これから外出。

 

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

 

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

ad

関連記事

新着記事

コメント/トラックバック

トラックバック用URL:

この投稿のコメント・トラックバックRSS




管理人にのみ公開されます

*

ad

PAGE TOP ↑