【1040号】大手食品メーカーがミールキットビジネスに参入する理由とは?
※火曜日は簡易版に変更しました。
◎本日のニュース
1)見出し
Big Food Battles Meal-Kit Startups for Dinner-in-a-Box
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2)ビジネスのヒント
大手食品メーカーがミールキットビジネスに参入しているようです。ミールキットとは、注文した消費者宅に配達される食材とレシピのセットで、簡便性を訴求した商品です。農家から直接仕入れた新鮮な野菜など、鮮度もウリにしています。
大手食品メーカーがミールキットビジネスに着目・参入する理由は、以下の通りです。
【大手食品メーカーがミールキットビジネスに参入する理由】
- 加工食品からの顧客離れから脱却するため
- ミールキット市場を主導するベンチャー企業が伸び悩み・撤退するから
- 売上の大部分を依存するスーパーが売上を減らしているから
- 参入障壁が低いから
1について、加工食品は、自然・有機をウリにするブランドよりも品質・鮮度が劣る、という先入観を、消費者は持っています。この先入観があるから、加工食品は市場を自然・有機商品に奪われているのです。鮮度が特徴のミールキットビジネスに参入することにより、この先入観から逃れることができます。
2について、ミールキットビジネスは、食のウーバーとも呼ばれ、多数のベンチャー企業(スタートアップ企業)が参入。投資家もその成長性を賛美し、成長市場とされていました。しかし、今では幾分成熟化し、撤退・破綻する企業もあるほど。もともとニーズのある商品だけに、勝算があると考えた大手食品メーカーが参入しています。
3について、大手食品メーカーの売上の大部分は、スーパーへの卸販売。そのスーパーの売れ行きが芳しくありません。実際、若者はスーパーでの支出額を減らしています。一方で増やしているのが、ネット通販やネットスーパーなど。ミールキットもネット通販の一部と考えれば、大手食品メーカーもミールキット市場に触手を伸ばさない手はありません。
4について、ミールキットビジネスで、一番のネックとなるのが配達機能。大きなコストが掛かる一方で、ビジネス全体のバリューチェーンの中で、収益性の高い部分ではありません。しかし、その配達機能を提供してくれる企業と提携すれば、ノウハウのない大手食品メーカーでも、ミールキットビジネスに参入可能なのです。
では、なぜベンチャー企業がミールキットビジネスで失敗したのか?
【ベンチャー企業がミールキットビジネスで失敗した理由】
- ビジネスモデルに欠陥があり、収益性が低かったから
- 固定費が大きい割に、売上が想定ほど伸びなかったから
- 一食あたりの価格が割高だったから
1について、バリューチェーンの問題。簡便性と鮮度を求める消費者ニーズに合致したビジネスなのですが、食材の仕入れコストや配送コストが高く付くため収益性は低く、自社で付加価値の付けにくいのが現状です。よって、ニーズがあって忙しいが儲からないというパターンに陥ります。つまり、バリューチェーンの中で収益が低いというのが、このビジネスの最大の課題なのです。その課題を解決できなければ、撤退・破綻は避けられません。
2について、配送機能を自社で持つと、固定費は高くなります。その結果、損益分岐点は高くなり、ある程度の売上規模まで成長しない限り、利益は出なくなります。実際、業界大手のハローフレッシュは、売上を2倍に増やすも税前利益は以前マイナスのままです。
3について、ミールキットが市場に登場した当初は、無駄な買い物をしなくて済むので、食費を減らせると期待されていました。しかし、実際に蓋を開けてみると、一食あたりの平均価格は約10ドル。食材調達から自炊した場合は4ドルで済むので、2.5倍の価格になります。これだけ高ければ、相当高い簡便性・鮮度がない限り、リピートは生まれにくくなります。
ちなみに、大手食品メーカーがミールキットビジネスに参入すると言っても、自社で配送するのではなく、配送機能を持つ企業との提携が前提です。つまり、自社の加工食品をミールキットのパーツとして卸売するというのが、実態です。よって、大手食品メーカーの強みである大量低コスト販売を活かせることになります。
【大手食品メーカーがミールキットビジネスに参入するパターン】
- ミールキットベンチャーとの提携(キャンベルとピーポッド)
- EC・ネットスーパー大手との提携(タイソンフーズとアマゾンフレッシュ)
- スーパーとの提携(コナグラフーズとアホールドUSA)
【注目点】
- ニーズ=利益とは限らない→バリューチェーンの方が重要
- 消費財メーカーは、消費者ニーズの変化に対応して、販売チャネルを調整しなければならない
1について、ニーズを嗅ぎ取ってミールキットビジネスを考えついたベンチャー企業ですが、想定したほどの収益をあげていません。つまり、ニーズと利益は比例しないのです。より重視すべきは、バリューチェーン。自社の強みを活かせるバリューチェーンかどうか、活かせるようにバリューチェーンを変えられるかどうかが、重要なのです。
2について、大手食品メーカーがミールキット市場に着目したのは、消費者が食品への支出先をスーパーからシフトしているから。スーパー主体の食品メーカーにとっては痛手ですが、逆に捉えればミールキットという販売機会が生まれたことにもなります。このチャンスを逃すことは勿体無いというレベルではなく、主要販売チャネルが弱まっているだけに、チャンスを活かさなければなりません。そう考えれば、大手食品メーカーがミールキット市場に参入(実際には卸売)するのは、妥当と言えます。
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《今回のヒントのまとめ》
大手食品メーカーがミールキット市場に参入するのは、簡便性という消費者ニーズに合致したチャネルへ販売することで、消費者の加工食品離れから脱却できると考えたからである。
また、ミールキットビジネスに必須の配送機能を提供してくれる企業の存在も、食品メーカーの参入を後押しする。
ただし、ミールキットの価格が割高なだけに、将来有望とは言いにくい。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
ビール系飲料の税率が統一されることが、ほぼ決定されたようです。
あくまで新聞報道ですが、ビールメーカーも賛同しているので、第三のビールの値上げは必至でしょう。
私にとっては悲しいニュースなのですが、店頭では様々な新商品が増えています。
今日取り上げるのは、
です。
どこかの有名ブランドで見たようなデザインですが、このデザインだけでも美味しそうなイメージ。
思わず、1缶だけですがカゴに入れてしまいました。
まだ飲んでいないので何とも言えないですが、きっと売れると思いますよ。
つくづく、ビール系はイメージで売っているのだと認識しました。
飲んだ人がいれば、感想教えてください。(メルマガで紹介しますよ。)
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。
この7年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
最近、締め切りに追われる日々。
前もって分かっていれば準備もするのですが、急な締め切りの案件の場合は、もうやるしかありません。
自分でコントロールできることは、前倒しで終わらすに越したことはありません。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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