【1042号】米年末商戦の価格変動が物語ることとは?
※火曜日は簡易版に変更しました。
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What a Michael Kors Bag at Macy’s Says About Christmas Sales
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2)ビジネスのヒント
ブラックフライデーに始まるアメリカの年末商戦は、激しい値引きで有名ですが、単に価格が下がるだけではありません。突然上がることもあるようで、各社の事情があるようです。
価格変動が起こる要因として、次の3点が考えられます。
【米年末商戦で価格変動が起こる要因】
- 販売に苦戦し、在庫が想定以上の残っているから(値下げ)→売れ行きが戻れば、元の価格に戻る。
- 事前に計画して価格戦術に沿っているだけだから
- ブランドロイヤルティが低いために、在庫を減らす必要があるから(値下げ)
1について、値下げの一番の要因が、売れ行きの悪さ。ただし、売れ行きが戻れば、元の価格に戻るようです。記事では、メーシーズでのマイケル・コースの「セルマ」カバンの価格が取り上げられています。最初は25%オフで販売し、その翌週には50%オフにまで拡大しました。しかし、12月12日の週には、定価に戻ったようです。その理由は、半額で相当うれたため、在庫が少なくなったから。在庫量によって、価格は変動するのです。
2について、売れ行きが想定通りならば、計画した価格戦術通りに変動します。例えば、百貨店などで行われるフレンズ&ファミリーセール(従業員・お得意先販売会)。このセールでは、一部の商品を除き30%オフで販売されます。特に売れ行きが悪くなければ、その後は元の価格に戻ります。すべては、売り手側が設定した価格戦術(価格計画)なのです。
3は、ブランド力の問題。記事ではグラフで示されていますが、ラルフ・ローレンでは、ブラックフライデーからセールが始まるのではなく、恐らく翌週からセールが始まったようです。(12月6日調査で初めて値下げが発見)その後も値下げが継続されているものの、値引率に変動はありません。一方のギャップでは、ブラックフライデーから値下げが開始。翌週に値引率がさらに拡大したようです。ちなみに、両ブランドの値引率は、
ラルフ・ローレン:30%台
ギャップ:80%台
であり、二倍以上の差が生まれています。これはブランド力の差と言えるでしょう。
さらに、ネット通販市場の拡大により、価格設定がさらに複雑化したようです。複雑化したとは、値引きする商品がある一方で、定価販売の商品も混在するということ。恐らく、ネット通販で価格競争に陥った商品は値下げせざるを得ない商品がある一方で、価格競争に陥らず、定価でも売れる商品は、そのままの価格で売るのでしょう。
また、年末商戦の山場がブラックフライデーに集中しなくなったことにより、商戦が長期化したことも、価格設定を難しくしています。従来ならば、ブラックフライデーに大きく値下げすれば売れたのに、今ではブラックフライデー後も在庫を見ながら、価格設定を考えなければなりません。
ネット通販市場の拡大により、商品在庫が消費者に公開されたことも、価格戦術に影響を及ぼしています。在庫が多ければ、消費者は急いで買わないために、値下げをしなければなりません。逆に、在庫が希少になれば、さほど値下げする必要はありません。在庫の公開という情報公開は、商売を難しくさせているのです。
値下げ・定価戻しなど価格を頻繁に変動させることは、値付け作業が増えることになり、コスト増につながります。そこで、小売店は、
商品毎に付ける値札シールではなく、プライスカードで価格を示す
という手法で工夫しています。日本のユニクロ店舗でも同じですね。売場に1つだけあるプライスカードを変えるだけで、価格変動が完了するのです。(もちろん、JANコードと紐付けされた価格も変更する必要はありますが。)
【注目点】
- 在庫の見える化は、価格設定をより緻密にさせる
- 価格変動が大きくなると、買い物自体がギャンプル化する
1は先述した通り。消費者との情報格差が無くなると、消費者に有利に働き、販売がより難しくなります。
2について、単に値下がりするだけではなく、値上がりすることもあれば、買い物自体が一種のギャンプルのようになります。コト化と言ってもいいでしょうか。
日本の年明けから始まるセールでは、同じ店舗で定価の商品が販売されています。定価でも売れるからという理由ですが、もしかしたら想定通りに売れているからかもしれません。
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《今回のヒントのまとめ》
在庫量・価格計画・ブランド力が、価格変動の大きな原因。
ネット通販市場の拡大により、商戦の長期化や消費者への在庫情報の公開が、価格設定をより難しくさせる。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
ビール系飲料の税率が統一されることが、ほぼ決定されたようです。
あくまで新聞報道ですが、ビールメーカーも賛同しているので、第三のビールの値上げは必至でしょう。
私にとっては悲しいニュースなのですが、店頭では様々な新商品が増えています。
今日取り上げるのは、
です。
どこかの有名ブランドで見たようなデザインですが、このデザインだけでも美味しそうなイメージ。
思わず、1缶だけですがカゴに入れてしまいました。
まだ飲んでいないので何とも言えないですが、きっと売れると思いますよ。
つくづく、ビール系はイメージで売っているのだと認識しました。
飲んだ人がいれば、感想教えてください。(メルマガで紹介しますよ。)
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。
この7年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
今年は一つだけ心残りなことがあります。
それは、友人の結婚祝いをまだ出来ていないこと。
年内に行いたいけど、どうでしょうか。
早く予定を立てればいいだけですが・・・
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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