【1043号】世界の主要航空キャリアが国際線機内食の有料化に注目する理由とは?
◎本日のニュース
1)見出し
Flying Internationally? No More Free Lunch
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2)要約
格安航空会社は、長距離国際線での機内食の無料提供に揺さぶりを掛けている。主要キャリアは、長年のコストダウンの中でも、国際線機内食の無料提供は守ってきた。
格安キャリアは、機内食を有料化する一方で、チケット価格を格安に販売する。これが節約志向の強い消費者の支持を受けて、主要キャリアのシェアを奪っている。これを受けて、大手キャリアも、チケット価格を抑えるために、国際線機内食の有料化に着目している。
ただし、大手キャリアは、依然として機内食・アルコール飲料の無料提供を続けている。傘下の格安航空で実験したり、一部アルコール飲料を有料提供しているに過ぎない。
3)キーとなる英文
Budget airlines are threatening yet another vestige of glamour aboard trans-Atlantic flights: the free glass of wine.
4)キーとなる英文の和訳
格安航空会社が脅かしているのは、大西洋横断の飛行機内で依然として残る魅力である。
それは、無料のグラスワイン。
5)気になる単語・表現
vestige | 名詞 | (過去の週間などの)名残り |
glamour | 名詞 | 魅惑 |
aboard | 前置詞 | ~に乗って |
complementary | 形容詞 | 補足的な |
inalienable | 形容詞 | 奪うことの出来ない |
stomach | 他動詞 | ~に耐える |
equivalent | 名詞 | 同等のもの;同値 |
wash down | 他動詞句 | ~を(勢い良く)洗い流す |
(特に覚えておきたい単語)
【耐える】
「我慢する」 endure; bear; stand
「もちこたえる」 stand up to; withstand
【コメント】
「~に耐える」のstomachは、特に否定文・疑問文で使われる。
上記単語で近いのは、endure。
6)ビジネスのヒント
今回は、機内食有料化のお話。国内線や近距離の国際線では、すでに機内食の有料化は進んでいるようですが、長距離の国際線でも機内食の有料化は進んでいるようです。ただし、格安航空会社のみ。大手キャリアは、機内食・アルコール飲料を無料提供し、そのコストはチケット価格に含まれています。しかし、このようなどんぶり勘定も終焉も迎えつつあります。
【大手キャリアが長距離国際線機内食の有料化を考える理由】
- チケット価格に敏感な消費者が増えたから
- チケットの価格下落傾向が強く、更なるコストダウンが必要だから
1について、格安航空会社の登場は、チケット価格に敏感な消費者の増加が要因。この結果、格安航空会社のシェアは増幅し、一方で大手キャリアは顧客を奪われることになります。大手キャリアが機内食の有料化を考えるのは、機内食を有料化することで、チケット価格を引き下げて、シェアを奪還するためなのです
2について、過去10年以上に渡りコストダウンを進めてきた大手キャリア。この背景には、格安キャリアの登場・拡大によるチケット価格の下落があります。この傾向はまだ続いており、これまで以上のコストダウンが大手キャリアにも求められています。そこで考えられたのが、無料提供されていた機内食の有料化。有料化により、一人あたりの輸送コストが引き下がるので、コストダウンにつながります。
格安航空会社が進める国際線機内食の有料化には、次のようなパターンがあります。
【格安キャリアが進める国際線機内食有料化のパターン】
(欧州系)ビール・ワインを比較的割安に提供し、食事の価格は割高に設定→食事が主体
(アジア系)ビール・ワインは比較的割高に提供し、食事の価格は割安に→アルコール主体
食事よりもアルコールの方が、追加注文(所謂お替わり)の多いことを考えると、アジア系の方が収益拡大のチャンスが多いことになります。より商売っ気が多いのは、アジア系のようです。
格安航空会社が仕掛ける国際線機内食の有料化に対して、搭乗客に反応は極めて良好なようです。ノルウェーの格安キャリア・ノルウェジアンでは、大部分のエコノミー客は食事を事前予約するようです。ただし、これにはカラクリがあります。食事・座席指定・預け荷物をセット料金(90ドル)で提供しているからです。つまり、90ドル支払えば、大手キャリアと同じサービスを受けられるとして、大手キャリアのチケット価格とより比較しやすくして、割安感をわかりやすく提示しているから、顧客の支持を得ているのです。
このように、国際線機内食の有料化が本当に受け入れられるかが明確でないこともあり、大手キャリアもすぐに有料化においそれと進めないのが現状のようです。
【大手キャリアの国際線機内食有料化の傾向】
- 傘下格安キャリアで有料化の実験(エア・フランスKLM)
- 一部ワイン・ビールを有料化(ユナイテッドコンチネンタル)
- 実際には有料化にまでは到っていない(デルタ、アメリカン)
このように、大手は依然無料提供が主体であり、有料化は実験段階なのが現状。機内食有料化とチケット価格引き下げを行えば、格安航空会社と同じ土俵に乗ることを懸念していることもあるでしょう。
【注目点】
- 価格設定はどんぶり勘定から明朗・明細会計へ
- 非日常が味わえるコミコミ価格のフルサービスへのニーズも強い
1について、消費者には価格への不信感があるのかもしれません。だから、明細まで提示した明朗会計をすれば、たとえトータル支出額が高くても納得できるのでしょう。90ドルで有料サービスをお得に提供するノルウェジアンは、各有料サービスを細かく設定することで、セット価格でお得感を出し、顧客から納得感を引き出しているのでしょう。これがどんぶり勘定では、納得してもらえないのは明らかです。
2について、とは言っても、全てコミコミのフルサービスも一定の支持があるのは事実。例えば、ビュッフェレストランが人気なのは、時間制限はあるものの、その間ならば好きなだけ食べられるという非日常が味わえるから。(もちろん、満腹が保証されるという安心感もありますが)ただし、逆に、豊富なメニューなど高いサービスレベルも要求されます。
このように、明朗会計で割安な商品とコミコミのフルサービスの二極化が進むと考えると、大手キャリアの国際線機内食有料化は、一部競争の激しい区間では実施されるにしても、主体にはなりにくいように思われます。
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《今回のヒントのまとめ》
- 大手キャリアが長距離国際線機内食有料化を考えるのは、チケット代に敏感な消費者が増加したことで、格安キャリアに市場シェアを奪われているからである。有料化によりチケット価格を下げることで、シェアを奪還できると考えている。
- また、チケット価格の下落傾向が今後も続き、更なるコストダウンが必須と考えているからでもある。無料サービスを有料化できれば、そのコストダウンは大きい。
- ただし、大手キャリアの国際線機内食有料化は実験段階に過ぎない。というのも、消費者の支持を得られるは疑問であり、また格安キャリアと同じ土俵に乗る恐れがあるからである。
- ノルウェジアンが機内食有料化に成功しているのは、各有料サービスをセット価格で割安に販売しているからである。
- 価格のどんぶり勘定から明朗化・明細化が進んでいる。この背景には、消費者の価格への不信感の高まりがあるからではないか。
- 一方で、コミコミのフルサービスへのニーズも強い。明朗格安サービスとコミコミ非日常フルサービスの二極化が進んでいるのではないか。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
まだ飲んでいないですが、金麦にも琥珀色の商品が登場したようです。
サークルKサンクスの楽天ポイントクーポンで入手しました。(確か80ポイントほど)
麦とホップの琥珀商品は、以前飲んだことがありますが、結構イケました。
金麦はどうなのでしょうか。
やっと飲みました。
香ばしい味で、美味しかったです。
ただ、毎日飲みたいというよりも、週末向けですね。
そう多量に飲めるものでもなく、そもそもそういう商品ではないでしょう。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。
この7年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
今年のクリスマスはバタバタでした。
クリスマスケーキは、もちろんイブ当日購入。
そして、イブの深夜(厳密にはクリスマス当日の早朝)にプレゼントを組み立て。
極めつけは、クリスマス当日に判明した虫歯。
年末年始の飲み食いは控えなければなさそうです。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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