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【1071号】ブリティッシュ・エアウェイズが大西洋横断LCCに参入する理由

Red, White & Blue from british airways

 

◎本日のニュース

1)見出し

British Airways Sister Airline Joins Battle in Budget Trans-Atlantic Travel

【出典】

www.wsj.com/articles/iags-budget-long-haul-carrier-will-fly-to-americas-from-june-1489756714

 

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2)要約

ブリティッシュ・エアウェイズの親会社であるIAG社が、大西洋横断のLCCに参入する。これにより、大西洋横断路線の価格競争が激化すると予想される。

 

LCCブランド「レベル」を開始する背景には、長距離路線に参入するLCCの増加がある。これにより、レガシーキャリアが得意とする長距離路線で、LCCがレガシーキャリアのシェアを奪っている。レベルを始めることで、IAGは大西洋横断路線のシェアの維持・拡大を目指す。

 

ただし、レガシーキャリアがLCCなど低価格路線で成功した事例は少ない。LCC専業とはコスト構造が異なり、また既存路線とカニバリの恐れがあるからである。

 

3)キーとなる英文

The race to the bottom in trans-Atlantic airfares intensified Friday when the parent company of British Airways launched a budget service flying between Europe and the U.S. West Coast with one-way tickets as low as $149.

 

4)キーとなる英文の和訳

環大西洋の航空運賃の引き下げ競争が、金曜に激化したようだ。

というのも、ブリティッシュ・エアウェイズの親会社が、欧州・米国西海岸間の路線で、片道最低価格149ドルからの低価格路線を始めたからである。

 

5)気になる単語・表現

fend 他動詞 ~をかわす
short-haul 形容詞 短距離輸送の
breed 名詞 品種
par 名詞 同等
set off 他動詞句 ~に点火する;~を引き起こす
inception 名詞 発足、初め
complement 他動詞 ~を補足する
incumbent 名詞 現職
trailblazer 名詞 開拓者;印を付けて道順を示す人

 

(特に覚えておきたい単語)

【set off】

(意味)

 

  1. (自動詞)(度など/場所に)出発する(on / for, to)
  2. (他動詞)(爆薬・花火など)に点火する、~を爆発させる。
  3. (爆発・ショック・出来事・活動など)を引き起こす;誘発する
  4. ~を引き立たせる;~を区別する
  5. ~を帳消しにする;~を相殺する
  6. ~に始めさせる

 

(コメント)

「~に点火する」が元の意味で、この意味から派生。

「~に点火する」→「~を引き起こす」→「~を引き立たせる、~を帳消しにする、~を始めさせる」

 

6)ビジネスのヒント

レガシーキャリアであるブリティッシュ・エアウェイズがLCCに参入するようです。正確には、ブリティッシュ・エアウェイズの親会社IAG社が、新たなLCCブランド「レベル」を始めるということですが、レガシーキャリアによるLCC参入と捉えてもいいでしょう。この背景には、もちろんLCCの市場拡大があります。

 

【レガシーキャリアを持つIAGがLCCに参入する理由】

  1. LCC専業による長距離路線参入で、レガシーキャリアにとってのドル箱路線が激しい価格競争に直面したから
  2. 既存の航空ポートフォリオを補完でき、その結果顧客ベースを広げられるから
  3. 欧米両側の空港が増加して、固定費の低いLCCが参入しやすくなったから

 

1について、従来のLCCは価格重視の旅行者をターゲットにして、短距離路線を提供してきました。しかし、最近は大陸や海を横断する長距離路線が増加。この割を食っているのが、ブリティッシュ・エアウェイズが属するレガシーキャリアです。特に、レガシーキャリアにとって、長距離路線はドル箱路線だけに、LCCの市場侵食は死活問題になりかねません。だからこそ、自らLCCブランドを立ち上げたのです。

 

2について、低価格ゆえにLCCは市場を拡大しています。レガシーキャリアの運賃では利用しなかった価格重視の消費者がLCCを利用することで、旅客市場全体の市場拡大にも寄与しているのです。IAGは、LCCという成長市場に参入することによって、レガシーキャリアではリーチできなかった顧客を獲得できます。この結果、顧客層の拡大が可能になります。

 

3は環大西洋についてですが、欧州側と米国側で空港が増加。ここからは推測ですが、この結果空港間競争が激化し、空港利用料金の引き下げ競争が起きている可能性は高いでしょう。これは、低い固定費を必須とするLCCには追い風です。LCCは、長距離路線に参入しやすくなります。

 

長距離路線のLCCが増える理由は、そのほかにもあります。

 

【長距離路線のLCCが増える理由】

  1. レガシーキャリアにとってドル箱の長距離路線は、航空運賃が高止まりしていることが多く、参入余地があるから。
  2. 大型航空機が値下げされ、一度のフライトでより多くの旅客を運べるようになったから。

 

1はLCCの優位性が強みとなり、2は長距離路線の航空運賃引き下げを可能にさせます。1・2が車の両輪のようになり、LCCの長距離路線参入を可能にさせているのです。

 

記事では、以下のようなLCCの長距離路線が紹介されています。

 

【LCCの長距離路線の例】

  1. エアアジア:クアラルンプール~ホノルル
  2. スクート:アジア主要都市~アテネ
  3. ノルウェジアン・エア:ロンドン~ニューヨーク

 

IAGが新たに始めるLCCブランド・レベルの特徴をまとめると、次のようになります。

 

【レベルの特徴】

  1. 本拠地はバルセロナ
  2. 6月にサービス開始
  3. 欧州と米国西海岸を結ぶ

 

このように、レガシーキャリアは、長距離路線のLCCを自ら始めることによって、LCC専業による市場侵食を免れようとしていますが、実際にはなかなかうまくいかないようです。

 

【レガシーキャリアのLCC参入がうまくいかない理由】

  1. LCC専業とコスト構造が異なるから
  2. 既存サービスとカニバリする恐れがあり、あまり力を入れられないから

 

1は固定費の問題。高コスト体質で図体の大きな組織だけに、固定費は割高になります。これは、LCCというビジネスモデルにとって致命的とも言えるでしょう。ただし、別会社にすることで、ある程度回避できます。

 

2について、これが一番の問題ではないでしょうか。LCC専業の攻勢を躱す(かわす)ために、自らLCCに参入したはいいものの、今度は既存のレガシーキャリアとカニバリする恐れが生じます。そのため、なかなか本腰を入れられず、専業に負けてしまう。このパターンは、本当に多そうです。

 

【注目点】

  1. コスト構造の違いはビジネスモデルの違いを生み出す。
  2. あらゆる業界で低価格化・ノンフリル化の波が起き、高価格での販売には差別化が必須となる。

 

1について、逆に言えば既存ビジネスのコスト構造を買えることで、新ビジネスを創造できるということになりいます。

 

2について、航空業界だけではなく、ファストファッションなどあらゆる業界で低価格化・ノンフリル化が進行しています。ノンフリル化とは、満足度の比較的低い余分な機能・サービスを省くこと。特に、ミレニアル世代は、モノに対して低価格・割安さを必須とするようです。逆にプレミアム価格で販売するには、わかりやすい差別化が求められます。

 

IAGの新LCCのレベルが成功すれば、欧州・米国路線の価格が一気に下がる可能性があります。逆にその場合、IAG傘下のブリティッシュ・エアウェイズは、米国路線の収益が一気に悪化しかねません。それで他社(LCC専業)に市場を取られるよりはマシ。だからこそ、苦肉の選択をしたのではないでしょうか。

 

それにしても、ドル箱商品を自ら捨てかねない選択をするというのはなかなかできないものです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. レガシーキャリアのブリティッシュ・エアウェイズを傘下に持つIAG社が、長距離路線のLCCを始めるのは、ドル箱の長距離路線でLCC専業との価格競争が激しくなっているからである。
  2. また、自らLCCを始めることで、レガシーキャリアではリーチできなかった顧客を獲得でき、顧客層を拡大できることも、その理由と言える。
  3. さらに、欧州・米国で空港が増加することで、利用料の引き下げ競争が起こり、低固定費を必須とするLCCが利用しやすくなったことも大きい。
  4. LCCによる長距離路線参入が増えているのは、もともと航空運賃が高止まりしているからであり、また、一度で大人数を運べる大型機体の価格が低下しているからである。
  5. ただし、レガシーキャリアによるLCC参入は失敗しやすい。コスト構造の違いや既存サービスとのカニバリがその要因である。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

年末はふるさと納税を幾つかしたのですが、この御礼品はかなりお得と思いませんか?

 

鹿児島県日置市 本格焼酎ふるさと鹿児島限定セット 小正醸造

 

 

なんと900mlの芋焼酎が6本も入っているのです。

これが1万円の寄付でもらえます。(もちろん、税額控除されるので、ある程度所得のある人ならば、2000円の負担になります。)

ふるさと納税の芋焼酎を、他の自治体でも調べましたが、1万円で1.8mlX3本が最高。この小正醸造のセットは、900mlながら総量は同じです。900mlの分だけ、注ぎやすいという利点もあります。

 

まだ飲んでいませんが、かなり楽しみです。

 

ちなみに、小正醸造の鹿児島県限定焼酎は、楽天市場でも販売されています。

 

 

7000円ほどなので、7割の還元になりますね。

スゴイコスパです。

 

編集後記

睡眠時間が極度に短い日が続くと、体調が一気に悪くなります。

これを戻すのは本当に大変。

お酒も当分控えた方が良さそうです。(誘われたらウェルカムですが)

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

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