【1079号】コンステレーション・ブランズが、ネット広告で店舗でのワイン販売を急激に伸ばした理由とは？

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Yelp Inc.

◎本日のニュース

1)見出し

How a Wine Brand Advanced Digital Ad Measurement

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2)要約

効果測定が比較的容易なネット広告でも、小売店を通じて販売する消費財メーカーにとって、広告効果を測定するのは難しく時間の掛かるもの。しかし、ワイン・スピリッツ販売のコンステレーション・ブランズ社は、ネット広告をより迅速に最適化できる測定手法を開発した。

従来は、広告効果を測定したリポートを入手するまでに、広告掲載終了後から最大で12週間かかった。しかし、新たな手法を使えば、キャンペーン中により効果の高い広告内容・形態・頻度や、購入確率の高いターゲット層が明確になる。

3）キーとなる英文

Constellation Brands Inc., a wine and spirits company, recently set out to create a more efficient measurement system in a digital ad experiment for its Black Box Wines brand.

4）キーとなる英文の和訳

ワインとスピリッツの会社であるコンステレーション・ブランズ社が最近手がけているのは、ネット広告のより効果の高い測定方法の開発である。

その方法を、ブラックボックスワインズというブランドのネット広告に試している。

5）気になる単語・表現

promise	名詞	有望、見込み
antiquated	形容詞	時代遅れな
laborious	形容詞	骨の折れる
metrics	名詞	測定基準
lag	名詞	遅れること
discern	他動詞	～をはっきり見る
tweak	名詞	つねること；微調整
influx	名詞	到来、殺到
push the envelope	他動詞句	限界に挑む
enlist	他動詞	～に協力を求める
reformat	他動詞	～を再初期化する
ingest	他動詞	～を摂取する
hack	他動詞	～を勝手に引き出す；～をたたき切る
attribute	名詞	属性
suboptimal	名詞	部分最適
tactics	名詞	戦術
convert	自動詞	変形する
makeup	名詞	構成
visibility	名詞	視界
definitely	副詞	明確に
household	名詞	世帯；家中の者

（特に覚えておきたい単語）

【enlist】

persuade somebody to help you or join you in doing something

「（人）に（事業・主義などのために）協力を求める、（人の援助・賛同）を得る」

join or make somebody join the armed forces

「（人）を軍隊に入れる；（兵）を徴募する」

（コメント）

もともとは「軍隊に入れる」という意味。そこから、「～に協力を求める」に転化。

enlistedは「下士官の。」

6)ビジネスのヒント

従来のマス広告とは違い、ネット広告は広告効果を測定しやすいとされています。しかし、それは、ネット通販などネットで販売まで完結する場合のみ。オフラインの小売店で販売する消費財にとっては、ネット広告も従来型マス広告同様になかなか効果測定しにくいものなのです。この場合の効果測定とは、「広告がいくらの売上をもたらしたか」という数字。店舗で購入した人が実際にネット広告を見たかどうかはわかりにくいので、ネット広告と言えども効果測定が難しいのは想像に難くありません。

その難しい課題にチャレンジしているのが、ワイン・スピリッツ製造・販売のコンステレーション・ブランズ社。ブラック・ボックス・ワインズというブランドの箱ワインのマーケティングで、試験的にネット広告を活用し新たな測定手法の開発に着手しています。

その新たな測定手法の特徴をまとめると、次のようになります。

【ネット広告のオフライン効果に対する新たな測定手法】

キャンペーン実施中からリアルタイムのデータを入手。
ネット広告をクリックしたデータなどから、広告を見た人の行動と、実際にブラック・ボックスを購入した人をマッチングさせる。
2週間毎に、実際に広告を見て購入した人の詳しいデータを入手。
データから購入確率の高いターゲット層をあぶりだし、キャンペーン中からターゲットにより効果のある広告に修正する。

1について、一番の特徴は即効性です。キャンペーン実施中かリアルタイムのデータを入手して、広告の最適化を行います。ちなみに従来は、データを入手するのにキャンペーン終了後まで待つ必要があり、さらにそれから最大12週間掛かっていました。だから、データを活用できるのは次の広告からになります。新たな手法の即効性がわかるかと思います。

2について、ネット広告を見た人の行動は、クリックデータやSNSデータなどから入手できます。一方、店舗でブラック・ボックスを買った人は、ポイントカードから割り出すことができます。この両者をマッチングできれば、ネット広告を見てブラックボックスを店舗で買った人を割り出すことができます。恐らく、ネットのIDとポイントカードのIDを紐付けすることで、ネット広告と実際の購入を結びつけているのでしょう。

3について、1・2のデータは2週間毎に入手でき、さらにデータ自体詳しいので、ターゲット層・効果の高い広告形態・頻度をより詳しく知ることができます。

この手法を活用することで、キャンペーン中から広告をより最適化でき、より高い広告効果が期待できるようになります。ちなみに、従来型のネット広告では、店舗購入まで捕捉できないので、認知度がどの程度広まったぐらいしかわかりませんでした。これでは、売上への効果を測定したことになりません。

コンステレーション・ブランズが行ったブラック・ボックス・ワインズで広告を、もう少し詳しく説明すると、次のようになります。

【ブラック・ボックス・ワインズで実験した新たなネット広告手法】

ネット広告は動画広告・ディスプレー広告を採用。
11月から翌年1月にかけてキャンペーンを実施。
11月中旬に、デジタル広告を見て、店舗で購入した人の属性を把握。
12月に、購入データから広告内容・形式を修正→その結果、広告を見て購入した人は49％増
12月から1月にかけて、平均での月間購入率が55％向上。
広告を見て購入してくれる確率が一番高いのは、25～54歳の女性＝ターゲット層。
キャンペーンの結果、ベストな広告投入のタイミング・頻度だけではなく、一番効果の高い広告形態・媒体までわかった。

興味深いのは、6のターゲット層が女性であることが判明した点。従来は、男女同率との想定で広告を打っていたようです。これだけでも大きな進歩であることがわかります。

もちろん、勝因はリアルタイムデータを迅速に入手して、迅速に分析したこと。これが可能になった裏方には、オラクルデータクラウド（クラウドサービス）・ターン（ネット広告サービス）が存在します。

【注目点】

スピードは収益増をもたらす
ネットは、リアルタイム情報を提供し、より素早い修正を可能にしてくれる
ネット広告は、オフライン販売・卸売でも効果を発揮する。

1について、スピードの時代と言われていますが、実際に収益を左右するほど重要になっています。情報がここまで溢れると、消費者ニーズの変化も素早くなり、それに対し企業も迅速に適応する必要があるのです。

2について、この迅速対応を可能にしてくれるがネット・ITです。リアルタイム情報の入手が容易になり、その活用をできるかどうかは企業収益に大きな影響を及ぼします。

3について、ネット広告はネット販売だけではなく、オフライン販売でも売上増に寄与します。ただし、この前提としてデータの収集・分析は欠かせません。

コンステレーション・ブランズは、テレビ広告費の四分の一をネットに切り替えたようです。オフライン販売での効果測定が容易になれば、コンステレーション・ブランズ同様に、従来型マス広告を削って、ネット広告を増やす企業が増えるのは間違いないでしょう。

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《今回のヒントのまとめ》

小売経由で販売する消費財メーカーは、従来型広告同様にネット広告もその効果を測定しにくい。
ネット広告のオフライン販売への効果測定にチャレンジするのが、コンステレーション・ブランズである。その特徴は、リアルタイムデータの入手とそのデータの迅速な分析・広告への活用である。
サイトIDとポイントカードIDを紐付けすることにより、ネット広告を見た人と実際に購入した人をマッチさせ、その属性を明確化する。さらに、最適な広告形態・頻度を導き出して、キャンペーン途中から広告を最適化させていく。
箱ワインで試験的にこの手法を導入することにより、広告を見た人のコンバージョン率を飛躍的に向上させることに成功した。
重要とされるスピードは、収益に大きな影響を及ぼす。今後、実店舗での販売でも、ネット広告が活用される事例は増えるだろう。

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