【1102号】ホテル大手ヒルトンの低価格ブランド・トゥルーのブルーオーシャン戦略とは?
※火曜日は簡易版に変更しました。
◎本日のニュース
1)見出し
Hilton Sees Room for Growth With New Low-Price Brand
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2)ビジネスのヒント
久しぶりのブルーオーシャン戦略の事例ですが、今回はホテル業界。ちなみにブルーオーシャン戦略とは、顧客(カスタマー)の本当のニーズに応えるために、重要な部分はより高め、不要な部分は削るという、メリハリが利いた戦略です。今回取り上げるヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス社は、低価格ブランドのトゥルーでこのブルーオーシャン戦略を採っています。
トゥルーのブルーオーシャン戦略を説明する前に、1つ疑問が。それは、中級から高級ホテル主体のヒルトンが、なぜ低価格ブランドを始める必要があるのか、という点です。その理由は、
顧客層を広げるため
です。記事には明確に記載されていませんが、既存の中級・高級ブランドでは、顧客が限定されるのでしょう。宿泊料がそれなりのプライスになるため、そう利用頻度を高めてもらうのは現実的ではありません。その結果、客数の増加は期待できず、客単価を引き上げるしか、売上を増やす方法はありません。もちろん、客単価を引き上げようにも、競合ブランドとの競争があるので、引き上げるにも程があります。よって、売上はある程度頭打ちしてしまうのです。
そこで、低価格ブランドのトゥルーを始めることにより、従来ブランドでは捕捉できなかった消費者層の獲得が期待できます。当初はトゥルーの利用を促し、いずれはより高級なブランドにシフトしてもらうように誘導(少し言い方悪いですが)するのでしょう。これにより、中・高級ブランドの客層を広げられます。
では、トゥルーのブルーオーシャン戦略をまとめてみます
【ヒルトンの低価格ブランド・トゥルーのブルーオーシャン戦略】
1(加える点)宿泊料を低価格に設定
2(加える点)ロビーをカラフルにし、クラフトビールなど人気のサービスを提供
3(加える点)広いロビーでは、独立したビジネスコーナーを設置
4(削る点)コスト低減のため、郊外の高速道路沿いに立地
5(削る点)ホテル一軒あたりの売上を増やすため、客室面積を小さくする
6(削る点)コスト低減のため、掃除がし易い素材・レイアウトを客室に利用
1について、トゥルーのメイン顧客層はミレニアル世代になるので、ある程度割安な価格設定が必要になります。ただし、宿泊料を低く設定すれば、ビジネスとして成立しにくくなります。だからこそ、4~6の削る点が必要になり、これらを採用することで、収益性を高めているのです。
2について、ミレニアル世代が好きなデザイン性の高いロビーを採用。さらに、クラフトビールやビリヤードなどオシャレなサービスを、ロビーで提供しています。
3について、さらにビジネス客の利用も想定し、ロビーに独立したビジネスセンターを設置。後で取り上げますが、一方で客室の机は撤去しています。ロビーでじっくり仕事ができる環境を、提供しているのです。
4について、収益性を高めるために、郊外のフリーウェイ近くに立地。低価格ホテルブランドでよくある、古いホテルを改装するというやり方ではありません。コスト削減優先により、スクラッチから建設するのです。
5について、客室あたりの宿泊料金が低いならば、客室を増やすことでホテルまるごとの売上を伸ばせばいいのです。そのためには、客室を狭くする必要があります。活動的なミレニアル世代は、部屋では寝るだけのことが多いことから、客室はある意味で割り切っているのです。
6について、客室の割り切りは面積だけではありません。仕事机やコーヒーメーカーは設置せずに、ロビーで同様のサービスを提供しています。この結果、客室の掃除時間を短縮でき、維持コストを下げることができます。掃除をよりし易いように、床の素材も絨毯ではなく、ビニールで覆われたフローリングのような素材を採用しています。
低価格ホテルへの参入は、ヒルトン以外のホテル企業にも広がっています。
【ヒルトン以外のホテル企業による低価格ブランドへの参入】
- マリオット・インターナショナル社:モクシーホテルを開始。トゥルーと似ているが、価格帯は少し高い。
- インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ社:トゥルーと同価格帯の新ブランドを開始予定。
- ベストウェスタン・ホテルズ&リゾーツ:2015年後半に同価格帯のグロを建設。ただし、トゥルーよりも店舗数は少ない。
3について、ベストウェスタンはもともと低価格ホテルが主体。大手ホテル企業の低価格ブランド投入で、市場シェアを守るために、よりスタイリッシュなグロを始めるのです。
顧客層拡大に寄与する低価格ホテルですが、課題もあります。
【低価格ホテルブランドが直面する課題】
- もともと収益性が低く、ビジネスとして成立しにくい。
- 客室を狭くすれば、より快適性を重視する高齢者やビジネスマンが離反する恐れがある。
2について、ミレニアル世代の獲得を目指して、客室を割り切れば、高齢者やビジネスマンが離れていく恐れがあります。だから、低価格ブランド投入はそう簡単にできるものではありません。だからこそ、店舗数も多いヒルトンのトゥルーは注目されるのでしょう。
【注目点】
- メンテナンスのしやすさは、競争力になる。
- 成熟市場で客数を増やすには、客層を尋が得る必要あり。
- 高級ブランドを除いて、割安さは当たり前に。
2について、日本のように成熟市場で高齢化も進めば、利用頻度の引き上げにも限度があります。年齢とともにより保守的になるので、競合他社の顧客を奪うのも難しい。だからこそ、客層を広げることは重要なのです。
3について、割安さが当たり前になると、ブルーオーシャン戦略も当たり前になります。どこを加えて、どこを削るか。本当の顧客ニーズをどう見極めるかに掛かっています。
トゥルーのサイトを見ると、ホテルの看板にヒルトンの文字があることを発見しました。ヒルトンのブランドであることをアピールすることで、新興ホテルブランドに安心感を与えているのでしょう。これも、失敗を嫌うミレニアル世代を考えた戦術です。
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《今回のヒントのまとめ》
収益性の低い低価格ホテルだからこそ、ヒルトンはブルーオーシャン戦略を採用した。
収益性を高めるために、顧客がさほど重視しない客室を割り切る一方で、デザイン性・サービス性を重視したロビーを提供する。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
とある理由からWOWOWを契約したのですが、これが非常に便利。
普段テレビをほとんど見ない(見れない?)ので、どうかと思ったのですが、WOWOWならオンデマンドでパソコン・スマホからも視聴できます。
特にオリジナルドラマが面白い。
最近見たのは、三上博史主演の「社長室の冬」で、旧態依然の新聞社を買収する外資ネット企業のドラマです。
オンデマンドだけに一気に最終話まで見れるので、寝不足なったほど。
今見ているのは、「犯罪症候群」。
少年犯罪をテーマにした重いドラマですが、なかなか見応えあります。
編集後記
最近、夜ご飯が深夜になることが激増しています。
そのため、体重も増え気味。
痩せていると見られていますが、実際はそうではないようです。
運動したい。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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2017/07/30 | 旅行業界 ブルーオーシャン戦略, 商品戦略
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