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【1000号】再生可能エネルギーが、昔ながらの揚水発電に注目する理由とは?

Ludington Pumped Storage Plant

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

Pumped Up: Renewables Growth Revives Old Energy-Storage Method

 

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2)要約

蓄電方法として、揚水発電が注目を浴びている。揚水発電とは、電力が過剰の時に、大量の水を上方に押し上げ、不足している時に、重力で下に流して発電するという発電手法である。

 

というのも、再生エネルギーは、需要最大時に必ずしも発電できるとは限らないという課題を抱えているからである。原子力発電にしても、一定量を安定的に発電できるものの、需要に追いつけない時が発生する。

 

また、揚水発電には、数分で発電量をピークにまで持っていけるという時短の強みもある。温暖化を回避できることから、環境運動家からも評価を得ている。

 

3)キーとなる英文

Forget about Tesla Motors Inc. ’s batteries: The hottest way to store energy in the electricity business today is a century-old technology that involves moving water to stash power.

 

4)キーとなる英文の和訳

テスラモーターズ社のバッテリーなんて目じゃない。電力ビジネスにおいて今一番注目を浴びる蓄電方法とは、100年の歴史を持つ技術である。

それは、電力を蓄えるために水を移動させることを伴う。

 

5)気になる単語・表現

involve Ving 他動詞句 (付随的に)~することを伴う
stash 他動詞 ~をしまっておく
pumped storage 名詞 揚水発電
flywheel 名詞 フライホイール
proxy 名詞 代理
uphill 副詞 上の方へ、坂を登って
resurgence 名詞 復活
reservoir 名詞 貯水池、給水所
even out 他動詞句 ~を平らにする
grid 名詞 配電網
crown jewel 名詞 最も大切なもの、宝物
sidekick 名詞 助手;親友;共謀者
pit 名詞 炭坑
arsenic 名詞 ヒ素(記号As)
lace 他動詞 ~に加える
aquifer 名詞 帯水層
ally 名詞 同盟国;(困難な時の)助け
nuance 他動詞 ~をかすかに匂わす
degrade 他動詞 ~の面目を失わせる;~を削り取る

 

(今回ピックアップ英単語)

おやすみ

 

6)ビジネスのヒント

今日は電力ビジネスについて。正直あまり関心の高い分野ではないですが、電気自動車など世界的には注目されている商材・分野であるのは間違いありません。その中でも、今回は蓄電方法についての記事。蓄電と言うと、リチウムイオン電池が真っ先に頭に浮かびますが、電力業界で一番注目を浴びているのは電池ではありません。意外にも、揚水発電なのです。

 

【揚水発電の特徴】

  1. 電力余剰時に、大量の水を上方に押し上げ、不足時に重力で流してタービンを回して発電する
  2. 発電量ピークまで数分
  3. 発電時に温暖化を促進せず
  4. 施設建設コストは高いものの、他の大型蓄電施設と比べると低コストで信用度は高い
  5. 発電できる電力よりも、押し上げ時に消費する電力の方が大きい

 

1は揚水発電の構造です。要は、過剰電力を水を上方に貯めることに置き換えて、蓄えるという仕組み。

 

2は、電力需要のピーク時にいかに迅速に対応できるかという視点です。石油・石炭などの化石燃料や原子力の場合は、数時間・数日掛かるので、真夏日など電力需要が一気に増加した時には、迅速に対応できません。一方、揚水発電を含む水力発電は、数分間で発電量をピークにまで持っていけます。発電ビジネスの競争力を、いかに低コストで需要に対応できるかと考えれば、水力発電の競争力は相当高いと言えるでしょう。(もちろん、最大発電量という制限はありますが)

 

3について、揚水発電で水を上方の貯水池に押し上げる電力が再生可能エネルギーならば、揚水発電が温暖化・気候変動に影響を与えることはありません。よって、発電事業者のみならず環境運動家からも高評価を得られるのです。発電を行う地域のコンセンサスを得られるというだけではなく、環境意識の高い“優良顧客”を獲得できるというメリットも生じます。(環境意識の高い消費者は、価格よりも品質を重視するために、客単価が上がりやすい。よって、販売者からすると優良顧客となる)

 

4について、揚水発電では上方に貯水池を作る必要があるなど、建設コストは高く付きます。しかし、それでも他の大型蓄電施設よりもコストは低いので、費用対効果は比較的高くなるようです。また、電池やフライホイール・圧搾空気など新たな蓄電技術が開発されるものの、実用実績が高いのは揚水発電であるので、想定コストでの発電可能性は高く、高い信頼を寄せています。

 

5について、厳密に言えば、揚水発電はネットで電力を消費することになるので、全く意味をなさない発電方法と言えます。ただし、自然消費(つまり廃棄)するしかなかった余剰電力を蓄積できると考えれば、そのプラスの効果は大きくなります。

 

このような特徴から揚水発電は注目を浴び、今では全米で23000メガワット分(原発約20基分)を発電しています。記事では、次のような揚水発電が取り上げられています。

 

【揚水発電事例】

  1. ラディントン(ミシガン州 CMSエネルギー社):従来は石炭火力・原発の補助施設。今では、夜間に発電量がピークの風力発電14000メガワット分を統合し、15の州に配電
  2. イーグルクレスト(カリフォルニア州 イーグル・クレスト・エネルギー社):閉鎖された炭坑を貯水池として活用。許認可を受けるも、現在出資者と顧客を募集中

 

1のように、蓄電対象が化石燃料や原発から再生可能エネルギーにシフトしているのは、温暖化を考慮に入れてのことでしょう。また、風力などの再生可能エネルギーの発電コストが下落していることも影響しているかもしれません。

 

ただし、2のように、計画はされたものの、カネ・顧客が不足している事例も存在しています。

 

【注目点】

  1. 余剰物を有効利用できる商品は、新たなビジネスとなり得る
  2. 供給の大きな変動を平準化させるニーズは存在する

 

1について、揚水発電のような余剰物の有効利用は、ビジネスとしてなり得ます。余っているだけに仕入れコストが低く抑えられるので、運営コストが少々高くても、ビジネスとして成り立ちやすい。再利用の仕組みは、決して最新の技術でなくてもいいのです。個人や法人が所有する駐車場の時間単位での賃貸は、最たる事例です。

 

2について、発電のような供給量の変動が大きな商品は、平準化を求めるニーズが存在します。それにより市場動向からかけ離れた大きな価格変動を抑えられ、価格形成を正常化できるからです。安定供給できる野菜工場は、この事例に当たります。過剰電力が発生しやすい再生エネルギーの場合は、実際、価格が暴落しやすく、電力市場を混乱させるというデメリットを有しています。

 

ついつい電池などの最新技術にばかり目が奪われがちですが、揚水発電のような昔からある信用度の高い技術にこそ、イノベーションの芽があるのかもしれません。

 

【紹介された揚水発電】

Ludington Pumped Storage

www.consumersenergy.com/content.aspx?id=6985

Eagle Mountain Pumped Storage Project

eaglemountainenergy.net/

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 再生可能エネルギーが揚水発電に注目するのは、余剰電力を蓄積して、需要ピーク時に活用できるからである。また、温暖化を回避できることにより、環境活動家からも評価されている。
  2. さらに、過剰電力による過度な価格変動を防ぐことができる点も、価格形成の安定に寄与する。
  3. 揚水発電は、電池やフライホイールなどの最新技術ではないものの、実用化から十分時間を経過しており、信用度が高い点もその特徴である。コスト面、高いものの、大規模蓄電施設の中では、低い部類に入る。
  4. 電力のような余剰物が発生し易い場合、その有効活用はビジネスとしてなり得る。
  5. また、自然の影響を受けやすい再生可能エネルギーのような供給量の変動が大きな商品は、平準化させるニーズが存在する。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

アサヒのスーパードライプレミアムがリニューアルされました。

今回は、「豊穣(ほうじょう)」という名前です。

(思わず、阪神で頑張っている北條選手が頭に浮かびましたが)

今回はサンプル缶を頂いたのですが、これがなかなかの苦味。

プレモルやエビスのような独特の味わいよりも、苦味が強いという印象です。

アルコール度数6.5%というのが効いたのでしょうか、「さわやかさ」というよりも「どっしり」したという感じ。

旧ドライプレミアムとは、随分変わりました。(旧ドライプレミアムはプレモルに似ている)

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本では4月から電力自由化が実施されました。

みなさんは、購入先を変更させましたか?

私はもともと使用電力が小さいこともあり、まだ様子見です。

新規参入組も顧客獲得に苦戦しているようなので、今後キャンペーン競争に発展すると予想しています。

その時がチャンスですね。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

 

 

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