【433号】ギネスの売上減少、アイルランド危機だけが原因ではなかった。
◎本日のニュース 1)見出し As Ireland Staggers, Guinness Reels 出典 http://goo.gl/s6EEN 2)要約 アイルランドの事実上の国民的ビール、 ギネスが自国での売上を減らしている。 その要因は、アイルランドの経済危機と その後の景気後退にあるが、 それだけではない。 ここ10年間、売上の減少傾向が続いているからである。 売上の減少トレンドと大きく関連しているのは、 パブの数。缶や瓶よりも生で飲むことが好まれるギネスは、 パブが減少すると、その悪影響は大きい。 パブが減少した要因では、 消費者が戸外よりも家で飲むことが多くなったことが一番大きく、 またアルコールの消費自体が減ったことも影響している。 さらに、ワインやアルコール度数の軽いビール、 低価格ビールなどのアルコール飲料が、 ギネスの代替品として消費を伸ばしていることも、 ギネスの売上減少の一因である。 この事態に対して、ギネスの親会社ディアジオ社は、 リストラ(事業の再構築)やコストカットを行う一方で、 新商品の開発や販促などを行っている。 しかし、その効果がまだ実っているとは言えない。 3)キーとなる英文 Economic turmoil isn't just crippling Ireland's banks, it also is draining sales of Guinness-the country's famed dark-brown stout and de facto national drink. 4)キーとなる英文の和訳 経済混乱は、単にアイルランドの銀行を毀損させただけでなく、 ギネスの売上も奪っている。 ギネスは、アイルランドの有名な色の濃い黒ビールで、 事実上の国民的飲み物である。 5)気になる単語・表現 turmoil 名詞 騒ぎ、騒動、混乱 cripple 他動詞 ~を損なう、~をだめにする drain 他動詞 ~を排出させる、~を流し出す、~を抜き取る 6)今日のヒント 記事によると、ギネスのアイルランド・北アイルランドでの売上金額は、 昨年後半の6ヶ月で8%も減少している。 ただし、それ以上に深刻なのは、10年間の売上数量の減少トレンド。 2001年 1億9890万リットル→2010年 1億1930万リットル に推移しており、この10年で約40%減少している。 単純に10年で割ると、一年平均で約4%。昨年の減少幅の大きさがわかる。 記事を読む前は、 アイルランドの経済危機→景気後退→消費者の可処分所得の減少 →節約志向が強まる→比較的価格の高いギネスの売上が減少 と考えていたが、ギネスの売上減少の原因は、 もっと根の深いところにある。 売上減少の原因は、次の3つ。 1)パブに行かずに家でお酒を飲む人が増えたから。 2)ギネス以外の別のお酒を飲む人が増えたから。 3)アルコールを飲む人が減ったから。 1)の家飲みの増加は、さらにその原因をさぐると、 (経済危機前)郊外の家を買った人が増え、 エンターテイメント機能を充実させた家で過ごす時間が増えたから。 (経済危機後)コンビニなどの小売店で買って飲んだ方が安くつくから。 後者の要因は、景気が回復基調になると、 節約疲れからパブなどの飲食店に消費者が戻ることが期待できるが、 前者はそれが期待できない。外で飲むよりも家で飲む方が快適ならば、 わざわざ高いお金を出してまで飲みに行かないだろう。 構造的な要因と読み取ることができる。 2・3の要因も、構造的なもの。 景気によって左右されるのではなく、 消費者の嗜好の変化だからである。 このように、売上減少の要因を細かく分析すると、 その要因が景気に左右される循環的なものなのか 構造的なものなのかがわかる。 構造的なものは、じっと耐えるだけでは何も変わらず、 売上を減少させるだけである。 新商品の開発や販促などで消費を活性化させるのもいいが、 構造的な要因を取り除くことのできる施策がなければ、 空振りに終わる可能性は高い。 *************************** 《今回のヒントのまとめ》 1)ギネスの売上減少は、アイルランドの経済危機がその大きな要因であるが、 実はここ10年減少トレンドが続いている。 2)その減少トレンドの要因は、 「家で飲む消費者が増えた」「別のアルコールを飲む人が増えた」 「アルコールを飲まない人が増えた」の3つを上げることができる。 3)さらに一番目の要因をさぐると、 「郊外にエンターテイメント性の高い家を建てる人が増え、 家で過ごす時間が増えた」「外食よりも小売店で買って家で飲む方が安くつく」 が挙げられる。 後者は景気後退によるものであるが、 前者は景気とは関係のない構造的なものである。 4)構造的な変化は、景気のような循環的な変化とは異なり、 何も施策を打たなければ、売上の回復は見込めない。 5)単なる小手先の新商品開発や販促ではなく、 構造的な要因を打破できる施策を打つことが重要である。 *************************** 6)おすすめ商品・サービス Winecarte 簡単ワインの選び方 一番新しい記事は、 オーストラリア、追加しました。 http://wine.ryotarotakao.com/country/australia です。 最近、ワインを勉強しています。 それをアウトプットする意味でも、ワインのサイトを始めました。 焦らず少しずつ作成する予定です。 http://wine.ryotarotakao.com/ 編集後記 こんばんは、高尾です。 今回は予約配信です。(昨日に執筆しました。) 今回の記事を読んで思い浮かんだのが、 サントリーの角ハイボール。 サントリーもギネス同様、それまでウィスキーの 売上減少に悩んでいました。 その打開策として、若者にも受けるような飲み方を提案したら、 大ヒットしたのです。 だからギネスも、飲まない「不」を無くす工夫をすれば、 V字回復できると思います。 世界的なブランド力も、まだまだ大きな威力があります。 高尾亮太朗のfacebook⇒ http://www.facebook.com (アカウントは、ryotarotakaoです。) 高尾亮太朗のツイッター⇒ http://twitter.com/ryotarotakao 高尾亮太朗の公式サイト⇒ http://ryotarotakao.com 今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。 感謝・感謝・感謝です! ご質問・ご相談・ご感想がございましたら、ご連絡ください。 ⇒ tryotaro1975@aol.com メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。 私もごく少ない部数の時に、 いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、 今回は私が恩返しします! メルマガ相互紹介に関する連絡先はこちら ⇒ tryotaro1975@aol.com 今日の反省などについては、このブログを ⇒ http://ameblo.jp/caferics/ メルマガ連動のブログサイトを作りましたので、 できればコメントお願いします。 http://wsj.jugem.jp/ 当メルマガの情報については万全を期しておりますが、内容を保証するもの ではありません。これらの情報によって生じた、いかなる損害についても、 補償はいたしかねますので、ご了承ください。 また、当メルマガでは広告も誌面の一部として、読者様に有効であると 思われるものを厳選しておりますが、内容については当方で責任を負える ものではございません。ご配慮の上ご利用頂けます様お願い申し上げます。
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