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【471号】ベルギービール大手デュベル、そのランチェスター戦略とは?

Duvel

 

◎本日のニュース

1)見出し
Belgian Brewer Finds Crafty Success

【出典】
goo.gl/9DgnC

2)要約
ベルギーのビールメーカー・デュベルモルトガット社は、
大規模ビールメーカーながら、
洗練された味のビールに特化している。

規模で言えば、ベルギー国内第二位。
第一位は、グローバル企業のアンハイザー・ブッシュ・

インベブ社。
ただし、その成長率は凄まじく、
5年で売上金額は2倍、7年で株価は5倍に達している。その成長は、他のビールメーカー大手が力を入れる
新興国への進出によるものではない。
デュベルモルガットは、
成熟した西欧ビール市場で成長している。
ビールを飲む習慣のある消費者に、
手に届く贅沢なビールを提供することで、
支持を得ている。また、その優れたマーケティングにより、
魅力的なブランドを形成している。
このブランドと独特の味により、
高価格での販売が可能になり、
高い利益率を達成している。

3)キーとなる英文
To the delight of shareholders, the Belgian brewer’s
growth has far outpaced competitors in Western Europe’s
sluggish beer markets.

4)キーとなる英文の和訳
株主にとってはうれしいことだが、
そのベルギーのビール企業の成長は、
西欧の停滞したビール市場で競合他社を大きく上回っている。

5)気になる単語・表現
delight 名詞      喜び、楽しみ
outpace 他動詞     ~よりも速い、~よりも勝る
sluggish        形容詞     のろい、不振の、怠惰な

6)今日のヒント
デュベルモルガットの好業績として、
以下の数字が紹介されている。
◯2010年の純利益は1,890万ユーロ(約21億9,

240万円)。2009年よりも26.8%増加。
◯2011年の売上金額予想は、1億3,730万ユーロ(約159億2,680万円)で、

2012年には1億7,210万ユーロ(約199億6,360万円)に到達。
2011年よりも25.3%増加。
◯株価は約74ユーロで、2003年には16ユーロであった。
さらに、ヨーロッパ市場に限った数値として、
◯2010年、ベルギーで24%、オランダで17%、フランスで10%、
売上金額が増加。
が掲載されている。
一方、ベルギーでのビール売上金額1位の
アンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、
2011年西欧諸国で2.5%、
中欧・東欧諸国で0.9%の減少を見込んでいる。
デュベルモルガットが、
停滞するヨーロッパビール市場で売上を
伸ばしていることがよくわかる。デュベルモルガット社がターゲットとするのは、成熟市場。
普通に考えると、成熟市場とは今後成長が見込めない市場なので、
あまり力を入れない企業が多いだろう。
実際、アンハイザー・ブッシュのようなグローバルビール企業は、
アジアなどの新興市場を目指す。
新興市場はこれから成長が見込めるので、
その市場に参加しているだけでも売上が
簡単に伸ばせると考えるからだ。しかし、新興市場では、まだまだビールを
飲む習慣のある人が少ない。
だから、まずはビールを飲むシチュエーションや、
ビールに合う料理などを提案する必要がある。
これは、大変面倒な活動である。

一方、デュベルモルガットがターゲットとする成熟市場は、
普通にビールを飲む習慣を持つ人が
大きな母数として存在する。
その母数の中で、ちょっと良いビールを飲みたい人向けに、
独特の味がするデュベル(Duvel)などを提供する。
この場合、ビールを飲むという基本的なことについて、
消費者を教育する必要はない。
ただ、ビールを飲む習慣があって、
ちょっといいビールを飲みたい消費者に、
手に届く価格でおいしいビールを提供すれば、
売れる。ニーズに合いさえすれば、
簡単に売れるのである。

さらに、デュベルモルガット社は、
アンハイザー・ブッシュからマーケティング担当者を
ヘッドハンティングするなど、
マーケティングに力を入れてきた。
その結果、デュベルという魅力的な
ブランドが確立されることになった。
そのブランドとは、デュベル独自のビールグラスで飲むと、
たまらなく美味しいビールが飲めるということ。
このブランドと、その独特な味により、
高い値段でも売れることが可能になった。
これが、デュベルモルガットが誇る
利益率の高さを実現することになる。
実際、バーでデュベルを飲むと、3.35ユーロかかる。
普通の生ビールが2ユーロだから。
その価格1.5倍以上。
いかに、デュベルが儲かる商品なのかが理解できる。

このように考えると、デュベルモルガットは、
◯顧客戦略→ビールを飲む習慣のある成熟したビール市場で、

ちょっと良いビールを飲みたい人がターゲット
◯商品戦略→独特の味わいが楽しめるデュベルなどの手作り風ビール
◯販売戦略→独特のグラスで飲むと美味しいというマーケティング、高い価格設定
というランチェスター戦略のお手本のような企業。成熟市場というのは、
一見ネガティブなイメージがあるが、
ニーズさえ満たせば
必ず買ってくれる顧客がいるという点では、
参入しやすい市場である。
特に、創業したばかりの企業にとって、
これまで見たこともない全く新しい商品を売るよりは、
キャッシュフローの点でリスクを抑えられるだろう。

デュベルモルガット社(日本語ページ) www.duvel.com/jp/

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《今回のヒントのまとめ》

1)ベルギービール醸造メーカー大手のデュベルモルガット社は、
新興市場への進出を急ぐ競合他社とは違い、
成熟したビール市場であるヨーロッパに力を入れている。

2)その理由は、成熟市場には、
普通にビールを飲む習慣のある人が多くいるからである。
新興市場では市場全体の拡大は見込めるものの、
ビールを飲む習慣を一から教える必要がある。
成熟市場の中で、ちょっとおいしいビールを
飲みたい人をターゲットにしている。

3)また、独特のビールグラスで飲むと
美味しいという優れたマーケティングにより、
高い価格設定を可能にした。
これにより、高い利益率を享受している。

4)このように考えると、デュベルモルガットは、
成熟市場のちょっといいビールを飲みたい人を
ターゲットにするという顧客戦略、
ビールグラスを使った匠なマーケティングや
高価格設定という販売戦略、
独特の手作り風ビールという商品戦略という、
ランチェスター戦略のお手本のような企業である。

5)成熟市場は、一見ネガティブに思えるが、
ニーズさえ満たせば顧客が見つかりやすい点は
大きなメリットである。

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一番新しい記事は、

2010年産カリフォルニア・シャルドネは、冷やしすぎるな。
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編集後記
こんばんは、高尾です。
デュベルは、まだ飲んだことのないビールです。
ビールが好きな人は、毎日のようにビールを飲むので、
価格に敏感になる。
だから、価格が売れ行きに大きく影響するのだと思います。
(安い第三のビールの出荷が増えているのは、この理由から。)
ただ、おいしいビールを飲みたいというニーズがあるのは事実。
いかに価格差を納得させるかが、
価格の高いビールを売る秘訣ではないでしょうか。
残念ながら、多くのビール売り場には、
納得させる仕掛けがありません。
もしかしたら、ちょっと良いビールは、
小売店ではなくバーのような飲食店で売れるものかもしれませんね


(デュベルの小売価格が記事に書いてないということは、
小売店よりもバーでの販売に力を入れていることを
示しているのでしょう。)高尾亮太朗のfacebook⇒ www.facebook.com
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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