About

*

【502号】郵便需要減少に悩む米郵便公社、新規ビジネスに進出か?

US Post OfficeBy shawnblog

 

◎本日のニュース

1)見出し
Post Office Wants More Than Mail

【出典】
goo.gl/ncGfn

2)要約
米国郵便公社は、郵便物の需要減少により、収益が悪化している。
毎年赤字を計上しており、2016年までに累積赤字が
160億ドルにも昇ると予測されている。

この赤字を削減するために、

コスト削減とともに新規ビジネスへの進出が
国会内で議論に上がっている。
それは、海外の郵便局の多くが、郵便以外のサービスを提供することで、
郵便物が減少の中、収益を保っているからである。しかし、課税を免れている郵便公社が、新ビジネスに進出することで、
民間企業を圧迫するのではないか、という反対意見も出てきている。
さらに、郵便公社のような公的サービスに、
収益性を期待する必要はないという意見までもある。

郵便公社は、200年以上、郵便物の配達を全国隈なくて提供することで、
収益を得ていた。また、赤字削減のため、
来年1月より普通郵便を1セント値上げして45セントにすることが、
計画されている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Plummeting demand for traditional mail delivery, which funds the postal service,
has created a looming fiscal crisis that has Congress,
postal employees and government officials weighing a venture into non-mail business
as a way to stay afloat.

4)キーとなる英文の和訳
昔ながらの郵便配達は、郵便サービスの収益源であるが、
この需要が急激に減少している。
そのため、少しずつ経営危機に陥りつつあるので、
国会や郵便公社従業員・政府職員は、赤字削減方法として、
郵便とは関係のない事業への新規参入を議論せざるを得なくなっている。

5)気になる単語・表現
plummet 自動詞     まっすぐに落ちる;急落する
fund    他動詞     ~に基金を出す
loom    自動詞     ぼんやりと現れる
official        名詞      職員
weigh   他動詞     ~をよく考える
afloat  形容詞     負債のない;浮かんで;ぐらついて、あてもなく

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
郵便公社の赤字削減策として考えられているのは、
1.店舗・人員の削減
2.福利厚生の削減
3.土曜配達の廃止
4.郵便以外の新ビジネスへの参入
である。ただ、1~3は、郵便の減少トレンドが止まらない中、
抜本的な解決方法にはならないとされ、4について国会で議論されている。

また、海外の郵便局が、収益源を多様化させ収益拡大に成功していることも、
4の議論を後押しする。海外での郵便以外のサービスとして、
銀行サービス、指紋取得サービス、宝石・お菓子・児童向け書籍の販売が、
記事で紹介されている。銀行サービスは、日本で言うゆうちょ銀行になるのだろう。
(ただし、日本は郵便事業と金融サービスは分離している。)

アメリカ国会で提案されている新サービスは、
1.銀行決済サービス
2.店舗内の一部賃貸サービス
3.配達用トラックのレンタルサービス
4.気候調査サービス
など。2は、郵便局内の空いた場所を、小売業などに貸すというもの。
店舗内でモノやサービスが買えることになる。4は大変面白いサービスなのだが、
郵便物を配達する際にモニターを持参し、空気の状態や天候を記録するというもの。
恐らく、消費者向けに天候情報を提供する企業に、
この記録した情報を販売するのだろう。
これなら、配達する時についでに行うことができ、特に投資がかからない。

一方で、郵便公社が新ビジネスに参入することで、
民間企業とバッティングするのではないか、という懸念もある。
さらに、民業圧迫を批判するだけでなく、
郵便配達というユニバーサルサービスを提供する公的部門に、
そもそも収益が必要ないのではないか、という声もある。
この議論は、日本での郵政民営化問題を思い起こさせる。

ここでは、公的部門云々の話をするのではなく、
郵便公社が純粋な民間企業だったとして考えてみたい。
収益が悪化して赤字を垂れ流しているのだから、
何かしらの対策が必要となる。
もちろん、不要な経営資源(店舗・トラックなど)を削減・売却して、
固定費を下げる必要がある。(これには、人件費の削減も含まれる。)
しかし、今後も縮小するであろう市場で収益をあげている以上、
コスト削減だけでは対処できない。そこで、新規事業への進出が考えられる。

新規事業の進出というと、
斬新な商品(モノ・サービス)を販売することが考えられ、
大変難しそうに思える。しかし、今の商品・今の顧客をベースに考えると、
それほど難しくない。
1.今の商品を新しい顧客に提供する
2.今の顧客に新しい商品を提供する
のどちらかを考えればよい。新しい顧客に新しい商品を提供する方法もあるが、
商品と顧客という経営資源を活用できない点で、あまり得策とは言えない。
大きなコスト(商品開発・顧客開拓)もかかるし、失敗するリスクも大きい。

記事で紹介されている新サービスをこの2つのタイプに分類すると
1.銀行決済サービス→今の顧客に新しい商品を提供
2.店舗内の一部賃貸サービス→今の商品を新しい顧客に提供
3.配達トラックのレンタルサービス→今の商品を新しい顧客に提供
4.気候調査サービス→今の商品を新しい顧客に提供
になる。2~4について、厳密に言うと現状の商品とは異なるが、
今ある経営資源(店舗・トラック・配達ネットワーク)を活かした点で、
2のパターンと捉えられる。

収益源になる市場が縮小していると、ついつい悲観的になってしまう。
しかし、すでに商品と顧客を持っているのは、既存企業の強みである。
この強みを活かして(1・2のパターンで)新規事業に参入すれば、
新たな収益源を獲得できる。
逆に、市場で競合している他社が何の策も取らないからといって、
市場の縮小から目を背いていてならない。市場とともに企業が衰退するだけでなく、
全く異なるビジネスモデルを抱えて想定もしない企業が参入し、
顧客を根こそぎ奪われるかもしれない。

***************************
《今回のヒントのまとめ》

1)アメリカ郵便公社は、急減する郵便物の影響で、
累積赤字に苦しんでいる。

2)これを打開するために、コスト削減だけでなく
新規ビジネスへの参入が議論されている。

3)既存企業が新規事業に参入する場合、
今の商品を新しい顧客に提供するか、
今の顧客に新しい商品を提供するか、
のどちらかを採るとよいとされる。
新しい商品を新しい顧客に提供する場合、
コストが高く付き失敗する確率が高くなる。

4)収益源の市場が縮小する場合、
競合他社が何も策を講じないからといって、
市場縮小から目を背けてはならない。市場縮小の影響のみならず、
全く想定しない企業が新しいビジネスモデルとともに
参入する可能性があるからだ。現状の商品と顧客という強みを活かせば、
新たな収益源を獲得することはそう難しくないだろう。

***************************

毎週火曜・土曜の18時にて、メルマガにて配信。
(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
メルマガの登録をお願いします。
(もちろん無料です。)

7)おすすめ商品・サービス

◎Winecarte 簡単ワインの選び方
一番新しい記事は、

大量生産型ワインの受賞歴はあてに出来るのか?
wine.ryotarotakao.com/archives/1419
です。

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
wine.ryotarotakao.com/

編集後記
口内炎やっと治りました。
ビールが効いたように思えます。
まさか、ビールが炎症に効くとは驚き。
そしてこれからは、緑黄色野菜を意識して摂ろうと思います。

高尾亮太朗のfacebook⇒ www.facebook.com
(アカウントは、ryotarotakaoです。)
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

ad

関連記事

新着記事

コメント/トラックバック

トラックバック用URL:

この投稿のコメント・トラックバックRSS




管理人にのみ公開されます

*

ad

PAGE TOP ↑