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【524号】IBM・アップル、成長し続ける企業の特徴とは?

IBMBy gjones

 

◎本日のニュース

1)見出し
Avoiding Innovation’s Terrible Toll

【出典】
goo.gl/6kzbd

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2)要約
企業規模・財務体質・人材にかかわらず、
大企業でも平均的にアメリカ人の寿命ほどには存続できない。
40年以上存続する企業は、ごく一部である。

その一部の存続企業の特徴は、容赦無く変化を受け入れ、
主要収益源とのカニバリを恐れず新しいビジネスに
参入することである。一方、存続企業の創造的破壊に
敗れる企業は、官僚的になり、過剰なほどの守りに徹するため、
新市場への参入が遅れ、参入する際には過大なコストの負担
を強いられる。

また、新技術を手に入れ新市場に参入する際には、
小さな買収を頻繁に繰り返すことで、
リスクを分散することが重要である。ただし、
その買収がうまくいくかどうかは、運によるところが大きい。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The most successful ones aren’t afraid to cannibalize
their big revenue generators to build new businesses.

4)キーとなる英文の和訳
最も成功した企業の特徴は、自社の最大の収益源とのカニバリ
を恐れず、新ビジネスに参入することである。

5)気になる単語・表現
cannibalize     他動詞     共食いする;~を組み立てる、修理する
generator       名詞      発生させる人(物)

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
この記事が書かれた背景には、イーストマン・コダック社
(Eastman Kodak Co.)の破綻危機があるのだろう。
イーストマン・コダックのビジネスモデルや
危機に陥った原因についての言及は全くないが、
創造的破壊により苦境に陥った企業として、紹介されている。
イーストマン・コダックの他には、
レンタルビデオのブロックバスター社(Blockbuster Inc.)、
書店のバーンズ&ノベルズ社(Barnes & Noble Inc.)が
取り上げられている。一方、創造的破壊を実践し、
成長し続ける企業としてジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)、
IBM(International Business Machines Corp.)、アップル(Apple Inc.)、
グーグル(Google Corp.)が紹介されている。(ジョンソン&ジョンソンは、
100年企業としてのみ紹介され、

その存続経緯は触れられていない。)

成長し続け存続する企業の特徴は2つある。それは、
1.外部環境の変化に素早く対応し、
変化を躊躇なく受け入れたこと。
2.現在の所要事業とのカニバリを恐れず、
新ビジネスに参入したこと。
3.新技術の取得・新市場への参入のために、
リスクの高い巨大な買収に走らず、
小さな買収を行うこと。

成長し続ける企業と成長が鈍化し危機に瀕する企業に
二分される前提として、外部環境の急激な変化がある。
その外部環境の変化を引き起こすのは、技術の進歩。
技術革新が早くなったことが、競争を激化させ、
企業の寿命を短くしている。規模・財務・人材で
有利な大企業でさえ、アメリカ人ほど長生きできない。

外部環境の急激な変化に対応できた企業として
紹介されているのが、IBM。一方で、対応出来なかった企業として、
H-P(Hewlett-Packard Co.)が取り上げられている。その対比とは、
◯IBM→成長が見込まれるソフトウェアビジネス・
コンサルティングビジネスに注力するとともに、
コモディティ化が鮮明になる前の2004年にPC部門を売却。
◯H-P→2002年に競合するコンパックコンピューターを買収するなど、
PC部門の強化に邁進。PCの衰退が鮮明になってから売却を検討。
ビジネスソフトウェアの重要性に気付くのに遅れ、
巨額買収をせざる羽目になる。
で、変化に迅速に対応したかどうかが、
IBMとH-Pの命運を分けたことになる。

2のカニバリを恐れず受け入れた企業としては、
アップルが取り上げられている。
1.アイフォーン(iPhone)→携帯音楽端末・アイポッド(iPod)との
カニバリの懸念あり。今では売上の39%を稼ぐ屋台骨になるまでに成長。
2.アイパッド(iPad)→PCのマック(Mac)とのカニバリの懸念あり。
売上の24%を占める主要製品に成長。
は、カニバリを恐れず、新商品を開発・発売した例である。
特に、アイフォーンは、携帯音楽端末のトップシェアを持つ
アイポッドとのカニバリが懸念されただけに、
普通なら発売に躊躇するだろう。躊躇せず発売にこぎつけた結果、
アップルの最大の収益源にまで成長したことは、
いい意味で皮肉な結果とも言える。

最後の3であるが、小さな買収を繰り返す企業として
グーグルが取り上げられている。グーグルの買収の特徴は、
◯緩やかな連携を目指す
ということ。「緩やかな」とは、買収後も情熱を持つ経営陣を続投させ、
独立色の強い運営に委ねるということ。その結果、
買収後も買収前と同じ成長を維持または加速でき、
カニバリを恐れずにイノベーションを引き起こすことができる。
もちろん、グーグルにとっては、グーグルのビジネスモデルを
破壊しかねない企業を取り込むだけでなく、収益を拡大できる。

このように成長し続ける企業の特徴を見てきたが、
この中で一番肝になるのは、
カニバリを恐れずに新ビジネスに参入する
かどうか。カニバリを恐れるのは、
未来が過去の延長線上にあると信じる
からである。だから、成功体験が忘れられず、
成功体験に縛られる。その結果、カニバリの恐れのある
新商品の開発・発売に躊躇し、既存商品の改良にとどまってしまう。
未来を、過去の延長線とは異なる世界と見ることが出来るか。
成功体験を捨て去ることができるか。
創造的破壊の主体になるかどうかは、ここにかかっている。

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《今回のヒントのまとめ》
1)成長し続ける企業の特徴は、変化の早い外部環境に迅速に対応する、
カニバリを恐れずに新ビジネスに参入する、
リスクの小さい小規模買収を行う、の3つである。

2)この中で一番重要なのは、カニバリを恐れないということ。
カニバリを恐れるのは、未来を過去の延長線上にあると信じるからである。

3)未来を過去の延長線上にあるのではなく、
成功体験を捨てることができれば、
創造的破壊の主体になることができるだろう。

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編集後記
ソフトウェア・コンサルティングビジネスに注力したIBMも、
過去には成長市場を見極めることができず、
停滞した時期があったようです。
成功体験をなかなか忘れられないのは、
ある程度避けられないのかもしれなません。
ならば、成功体験による損失をできるだけ小さくした方がいい。
損失を小さく留めて成長市場に参入するためには、
外部環境の変化を読むとともに、社外との交流を日々行う
必要があるように思えます。
これなら、中小企業でも行えることでしょう。
※個人的事情により、2012年の年賀状送付は控えさせていただきました。
ご了承願います。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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