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【1113号】グーグルが大手新聞社の営業を肩代わりする理由とは?

news paper

 

◎本日のニュース

1)見出し

Google Searches for Ways to Boost News Subscriptions

 

 

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2)要約

グーグルは、新聞社の定期購読獲得支援のために、新しいシステム開発を行っている。その目的は、新聞社との緊張関係を緩和するためである。

 

この背景には、ネット普及によりプリントメディアの広告収入激減に直面する新聞社に対し、グーグル・フェースブックなどIT大手は、急拡大するネット広告市場で広告収入を半分近くを獲得していることがある。

 

一方、大手新聞社は、知的所有権の強化・定期購読の支援・広告収入と顧客データの取り分増を目指して、集団でIT大手と交渉できるように努力している。

 

3)キーとなる英文

Google is working on new tools to help news organizations sell subscriptions, a move that could help ease its strained relationship with publishers.

 

4)キーとなる英文の和訳

グーグルが開発している新たなツールを使えば、新聞社が定期購読の販売が促進する。

この動きは、出版社との緊張関係をほぐす効果が期待できる。

 

5)気になる単語・表現

strained 形容詞 緊張した
plummet 自動詞 真っ直ぐ落ちる
waiver 名詞 権利放棄証書

 

(特に覚えておきたい単語)

waive

  • (権利・請求権など)を放棄する、~を撤回する=choose not to demand something in a particular case, even though you have a legal or official right to do so
  • (要求など)を差し控える(⇔demand);(処罰・刑・期限)を延期する、見送る

 

【コメント】

「法的・公的な権利」を要求(demand)しないこと。

 

6)ビジネスのヒント

ネットの普及によって、広告媒体の主体が、新聞などのプリントメディアからウェブサイトに移行しているのは自明の事実。市場を見れば、対立する媒体ですが、今では融合を目指しているようです。これは、グーグルの方針から読み取れます。

 

【グーグルの大手新聞社に対する方針】

  1. 定期購読が増えるように支援する
  2. ファーストクリック無料ポリシーの縮小

 

1について、具体的にはグーグルの所有するデータを共有したり、グーグルの支払いシステムを利用できるようにして、大手新聞社の定期購読が増えるよう努力するというもの。「対立」というムードではなく、「共同」で1つの目的を達成するという感じです。現在、ニューヨークタイムズとフィナンシャルタイムズと上記2つの支援を実験しています。

 

2について、フェースとクリック無料ポリシーとは、グーグル検索結果をクリックすれば、定期購読者しか読めない有料記事を一定数読めるというもの。1日3記事まで制限されているものを縮小する方針です。無料サービスを縮小することで、大手新聞社の定期購読拡大を支援するものです。

 

では、なぜグーグルは大手新聞社を支援するのでしょうか?それは、大手新聞社あってこそのグーグルだからです。

 

【グーグルが大手新聞社を支援する理由】

  1. 大手新聞社は、グーグルのサービス利用を促す良質な記事を提供してくれるから。
  2. 大手新聞社のサイトは、グーグルにとって広告媒体であり、収益源だから。

 

1について、大手新聞社の記事は、無料のブログネタとは異なり、信頼性の高い良質なもの。だからこそ、ネットユーザーはその記事を読もうとするのです。これが、グーグルの各種サービスのアクセスにつながり、グーグルはより多くのユーザーデータを獲得できるのです。大げさに言えば、大手新聞社の良質記事があるからこそ、グーグルの各種サービスは成り立つとも言えます。そう考えれば、支援するのは当然です。

 

2について、グーグルは巨大な広告配信システムを持っています。その配信先として、大手新聞社のサイトは無視できません。というのも、良質記事が掲載されているサイトだけに、アクセス数が莫大だからです。さらに、良質記事を求める消費者は、教育水準・所得水準が比較的高いので、広告をクリックして購入してくれる優良ユーザーを多く抱えているとも言えるでしょう。このような優良ユーザーは、グーグルにとって広告収入の得意先のようなもの。大手新聞社のサイトは、グーグルの広告ビジネスにとって重要なのです。

 

グーグルが大手新聞社を支援する要因には、ネット普及による広告市場の変化があります。

 

【ネット普及による広告市場の変化】

  1. プリントメディア(大手新聞社など)→広告収入が激減
  2. ネットメディア(グーグル・フェースブックなど)→広告収入が激増

 

1・2のように、両者は対照的です。2について、急増するネット広告市場ですが、そのネット広告収入の約半分を押さえるのが、グーグルやフェースブックなどの大手プラットフォーマー。儲かってしかたないグーグルが、広告収入の激減に悩む大手新聞社を支援しても、なんら不思議ではないのです。

 

このようなグーグルの動きに対して、大手新聞社は両手を上げて歓迎しているわけではありません。どちらかというと、疑心暗鬼のようです。

 

【大手新聞社の動き】

  1. 大手ネットプラットフォーマーとの集団交渉が可能になるように、独占禁止法の限定的な除外を議会に申請。
  2. 知的所有権保護の強化、定期購読モデル支援の拡大、広告収入・顧客データの取り分拡大が目的

 

1について、大手プラットフォーマーとは、グーグルやフェースブックなど。市場で競合する新聞社同士が共同で交渉すれば、独占禁止法上カルテルの恐れがあります。しかし、巨大な相手と対等に交渉しないと、業界自体が縮小してしまう恐れがあるため、集団交渉が可能になるように議会に申請しているのです。

 

この目的が2。要は、何もしなければ強大な販売力・強固なシステムを持つ大手プラットフォーマーの思うままになるものを阻止しようというもの。いすれも、大手新聞社の収益拡大に寄与します。

 

【注目点】

  1. グーグル・フェースブックは、すでに公共サービスのようなものに転換していると思っていい。
  2. 良質なコンテンツは、拡大するネット市場で依然力(収益力)を持つ。

 

1について、大手新聞社の支援なんて、民間企業がしなくてもいいものです。しかし、それをグーグルがするということは、そのサービスは既に公共サービスのようになっいる証拠。自社の収益拡大だけを目指していては、行政・議会から批判を受け、サービス縮小、さらに企業解体(かつてのAT&T)にさらされるリスクがあります。グーグルはそこまで見越して、大手新聞社支援に動いているのでしょう。逆に言えば、グーグルは無くてはならないサービスなので、投資先(株式投資)としては安定的な収益が期待できます。
2について、グーグルが支援に動く背景には、大手新聞社が良質コンテンツを持っているから、というのは先述した通り。大手プラットフォーマーも、良質コンテンツは喉から手が出る程欲しいものなのです。ネット普及がさらに進み、大手プラットフォーマーの寡占(独占?)がさらに進んでも、良質コンテンツへのニーズは依然高いのです。

 

個人的には、大手プラットフォーマーのヘビーユーザーは、より多くの個人データを提供しているので、定期購読料金を引き下げて欲しいもの。WSJの定期購読として、毎月3500円近く支払っていますが、結構痛いです。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. グーグルは、大手新聞社に対し支援の方針を採っている。具体的には、グーグル所有のデータ共有や支払いシステムの利用促進、ファーストクリック無料ポリシーの縮小を通じて、定期購読拡大を支援する。
  2. 支援理由は、大手新聞社はグーグルのアクセス増につながる良質コンテンツを提供してくれるからである。また、大手新聞社のサイトは、グーグルにとって広告媒体であることも大きな理由だろう。
  3. 背景には、広告市場の変化がある。新聞社などプリントメディアは、広告収入の激減に直面する一方、グーグルやフェースブックが牛耳るネットメディアは、市場拡大の恩恵を享受している。
  4. 一方大手新聞社は、グーグルの方針に対して疑心暗鬼。知的所有権の拡大、定期購読の支援拡大、広告収入・顧客データ取り分の拡大を目指して、集団交渉ができるよう努力している。
  5. グーグル・フェースブックなど大手プラットフォーマーは、公共財に近い存在に転換していると言えるだろう。また、良質コンテンツは、ネット市場が拡大しても、需要の高い商品と言える。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

酒類規制の強化により、ビールの店頭価格が上昇しています。

値上げ後から買ったことがありませんが、第三でもケースで2500円前後はなかなか見当たらないみたい。

これでは、ますます焼酎シフトが自分の中で進みそうです。

 

そんな中で見つけたのが、ビールのふるさと納税。

こちらも規制が強化されましたが、まだまだ1万円で1ケースの記念品(?)は残っているようです。

 

泉佐野市さんは、ビール以外でも充実しているから、注目です。

 

 

編集後記

今日は持ち時間が少ないため、このあたりで。

また次回。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

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