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【522号】ポストメイツ、新興企業が即日配達サービスに参入できる理由とは?

デリバリーサービスBy TomNatt

 

◎本日のニュース

1)見出し
Bid for Same-Day Delivery Taps the Smartphone Boom

【出典】
goo.gl/ny4d0

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2)要約
ネットで注文した商品を即日届けるサービスに参入した新興企業が

ある。
その企業とは、ポストメイツ社。参入に大きな追い風になったのは、
スマートフォンブームである。ポストメイツは、サンフランシスコ地域にて、約30の運送会社と提携し、
即日届けサービスを提供している。スマートフォンのGPS機能により、
配送中の運送会社の居場所がわかり、配送途中でも
追加の配送依頼をかけることが可能になった。

ただし、これまでに即日届けサービスに参入した新興企業同様、
ポストメイツも難題に直面している。
それは、ビジネスモデル確立の難しさと、
グーグル・アマゾンなど大手ネット企業の参入である。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Postmates Inc., a San Francisco Internet start-up that
launched its same-day delivery service in December,
is hoping to succeed by tying its business to
the proliferation of smartphones.

4)キーとなる英文の和訳
ポストメイツ社は、サンフランシスコの
インターネット新興企業であり、
12月に即日配達サービスを開始した。

スマートフォンの急激な増加をビジネスに結びつけることで、
成功に導こうとしている。

5)気になる単語・表現
proliferation名詞激増

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
記事によると、即日配送サービスに参入した新興企業は多いが、
その大部分が失敗したという。その最大の理由は、
ビジネスモデルを確立するのが難しいからである。
たとえば、90年代後半に参入したコズモドットコム社(Kozmo.com Inc.)は、
提携した運送企業とのネットワークを築くのに、多額のコストがかかり、
それが失敗要因になっている。また、2000年代半ばに参入した
リケッティシップ社(LicketyShip Inc.)は、
参加小売店の商品を自社サイトで販売しようとして、
商品管理に失敗している。

ポストメイツ社(Postmates Inc.)も、ビジネスモデルの問題から免れない。
さらに、大手の参入という外部環境の変化にも遭遇している。
グーグル社(Google Inc.)は、大手小売チェーンの通販サイトで購入した商品を、
発送先の最寄り店舗から配達する仕組みで参入してきた。
また、アマゾンドットコム社(Amazon.com Inc.)は、
アメリカの10の都市限定で、特定の商品に限り、
9ドルの追加料金で即日配達を実施している。

これらの問題に対して、ポストメイツが取った施策とは、
1.スマートフォンのGPS機能を活用した
配送ネットワークの構築
2.サンフランシスコ地域限定
3.商品の販売はせず即日届けに特化
である。

1については、ネットで決済された後から、
フルにスマートフォンを活用している。
決済後のプロセスは、
消費者が支払いを済ませる→店舗はiPhoneなどの
スマートフォンを使って、最寄りの運送会社に
配達依頼を送る→運送会社は、スマートフォンに依頼が入り、
ボタン一つで受託
である。配達中の運送会社でも、
GPS機能によって居場所がわかるので、
配達依頼を受けることができる。
これにより、一台の自動車で複数の配達が可能になり、
コストを抑えることができる。

2については、物理的な配達時間がどうしても発生するため、
仕方ないことだが、地域を絞ることにより、
その地域の即日宅配サービスでナンバーワンになることができる。
ランチェスター戦略における地域戦略である。

3については、アマゾンのように商品の販売はしない。
単に、依頼されたモノを即日届けるサービスのみを提供する。
ランチェスター戦略で言う商品戦略。これは2とも関係し、
サンフランシスコ地域での即日宅配サービスで
ナンバーワンになることができる。

このように、ポストメイツはスマートフォンの普及と
ランチェスター戦略を活用しているのであるが、
不思議に思う点がある。それは、
配達サービスがポストメイツの強みではない
という点である。ポストメイツは、単にシステムを
提供しているのであり、配達業務をしない。
ならば、配達業務を実際に行う運送会社の方が、
即日配達サービスの強みを持つと言えないだろうか。

ここで問題になるのは、
即日配達サービスは、一企業では行うのは難しい。
ということである。つまり、モノを引きとって届けるのに
物理的な時間がどうしてもかかってしまう以上、
複数の企業(もしくは個人)が提携しないと、
モノを即日(ホームページによると通常2時間以内)に
届けることはできない。一方、普段競合する企業同士が提携するのは、
そう簡単なことではない。仕事の奪い合いが起こるかもしれないし、
競合他社の足を引っ張ることも起こるかもしれない。
ここに、配送業務を行わないポストメイツの強みがある。

ポストメイツが、システムの提供と受注を行い、
最寄りの運送会社(または個人)に配達を依頼することにより、
競合企業が交わることが無くなる。
配達を受ける企業(または個人)は、仕事が増えるというメリットがあり、
ポストメイツは手数料収入というメリットがある。
(ちなみに、手数料は運賃の25~40%。)もちろん、
即日配達を依頼した消費者は、注文日にモノを受け取れるという
メリットがある。ウィン・ウィン・ウィンの関係が成り立つ。

新規参入の問題については、運送会社と提携し、
配達システムを確立する難しさが参入障壁となる。
逆に言うと、サンフランシスコ地域以外で他社の
即日配達サービスを開始すれば、
ポストメイツはその地域へ参入しにくくなるということでもあるが

企業同士の提携が難しい運送会社をネットワーク化することにより
ポストメイツは、配達業務を持たない弱みを強みに変えた。
既存企業同士を束ねることは、業界外からの新規参入を可能にしてくれる。

***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)ポストメイツは、これまで死屍累々の即日配達サービスに参入した。
グーグル・アマゾンなどの大手企業の参入という問題にも直面している。

2)これらの課題を克服するために、普及するスマートフォンの活用、
サンフランシスコ限定という地域戦略の採用、即日配達サービスに
特化するという商品戦略の採用という方法を採っている。

3)また、配達業務を実際に行わないポストメイツが、
即日配達サービスに参入した点も見逃せない。これは、
競合する企業同士の提携が難しいことを逆に利用している。

4)同じ行会内の既存企業同士を束ねることは難しい。
だからこそ、業界外からの新規参入が可能になる。

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7)おすすめ商品・サービス

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編集後記
即日配達サービスと言えば、バイク宅配でしょうか。
東京にいる頃は、よく見かけましたが、
神戸ではほとんど見かけません。
価格が高いことが原因で利用が少ないならば、
スマートフォンを利用した即日宅配サービスは、
低価格を武器に需要を掘り起こす可能性があります。
まるで、即日配達業界のLCCですね。
今年もよろしくお願いいたします。
※個人的事情により、2012年の年賀状送付は
控えさせていただきました。ご了承願います。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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