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【529号】米ターゲットが採った実店舗のショールーム化回避策とは?

◎本日のニュース

1)見出し
Showdown Over ‘Showrooming’

【出典】
goo.gl/cAFcg

2)要約
米ディスカウント大手のターゲットは、
実店舗のショールーム化を避けるための対策を採ろうとしている。
ショールーム化とは、買い物客が実際の商品を見に実店舗には来るが、
実際には、より低価格で販売しているネット通販で購入する
という現象である。

ターゲットは、納入業者の協力のもと、ショールーム化に対抗する。
その方法は3つあり、一つ目は、ネット通販で販売していない
独自商品の開発・販売である。これにより、
PCやスマートフォンでの価格比較が不可能になる。
二つ目は、独自商品の開発ができない場合、
比較される価格への引き下げを要望している。
最後に、定期的に購入される商品を割引販売する
定期購入サービスの開始を予定している。

これらのターゲットの回避策に対しては、否定的な意見もある。
その理由は、実店舗が直面する根本的な問題を解決していないからである。
その問題とは、ネット通販は人件費割合が低く、
税負担がない場合があるなど、ビジネスモデルの違いである。
また、アマゾンなどは、小売とは別の収益源を持つことにより、
ネット通販の価格競争力が高くなる。さらに、
消費者がネット通販を選好しているという問題もある。

年末商戦の実績を見ると、ターゲットの苦戦ぶりは鮮明である。
既存店売上高は上昇するも、会社予測の半分にしか達していない。
特に、家電・映像・書籍・音楽の売上低迷は深刻で、
この要因はネット通販との競争激化である。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
In one of the starkest signs yet that chain stores fear
a new twist in shopping, Target is asking suppliers
for help in thwarting “showrooming”-that is,
when shoppers come into a store to see a product in person,
only to buy it from a rival online, frequently at a lower price.

4)キーとなる英文の和訳
これは、チェーンストアが新しい買い物の変質を恐れる
これまでで一番厳しい兆候の一つかもしれない。
それは、ターゲットが納入業者に、店舗のショールーム化を
免れるために助けを求めていることである。
ショールーム化とは、買物客が実物の商品を見に来店する
際に起こることで、結局競合するネット通販で買うことになる。
そして、多くの場合はネットの値段は店舗より安い。

5)気になる単語・表現
stark 形容詞 厳しい;硬直した
yet 副詞 (最上級を示す語の後で)これまでで
twist 名詞 急変;よること;ねじれ
thwart 他動詞 挫折させる
in person 実物の、本人
only to 結果は~にするだけだ

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
実店舗のショールーム化に対するターゲットの対策
についての記事である。実店舗のショールーム化とは、
商品実物を確かめるために実店舗を使い、
購入はネット通販で済ませる
といもの。スマートフォンを使えば、実店舗内で
ネット通販との価格比較ができる。スマートフォンの普及が、
実店舗のショールーム化を推し進めているとも言える。

ターゲットが採った対策をまとめると、以下の2点。

1.ネット通販にはない独自商品の拡充
2.ネット通販に負けない価格への引き下げ

2については、さらに二つに分かれる。一つは、
ネット通販価格と同じになるように、単純に値下げすること。
もう一つは、定期的に購入する商品に定期購入コースを設け、
割引することである。

そもそも、ある課題を解決するために対策を講じる時は、
その課題の原因を考えて、その原因を無くす方法を考える。
これにより、根本から解決され、課題は消滅する。
この視点からみると、ターゲットの対策は、
ピントが外れているとしか言えない。
実店舗のショールーム化が起こる要因は、
ネット通販が実店舗で販売する商品をより低価格で販売しているから
である。商品については、実店舗側がネット通販で
売っていない商品を扱えば、解決できる。問題になるのは、
ネット通販がなぜ低価格で販売できるのかという点。この理由は、
ネット通販のビジネスモデルは、実店舗とは異なるから
である。ネット通販のビジネスモデルは、
実店舗を持たずインターネットで販売することにより、
実店舗よりも人件費がかからず、売上税が掛からない場合が多い。
よって、実店舗よりも低価格で販売できる。
というものである。ネット通販は、掛かる経費が実店舗とまるで違う。

さらに、消費者がネット通販を好んで使うことも、
実店舗のショールーム化を促す。詳しいないようは
記事に書かれてなかったが、恐らくネット通販には、
1.スペックなどの詳しい商品情報が豊富に掲載されている。
2.価格・スペックなどを基準に商品比較ができる。
などの、実店舗にはない利用メリットがある。
実店舗で上記2点を行おうとすれば、店員に質問する必要や、
カタログを見比べる必要が生じる。ネットなら
クリック一つでできることを考えると、
この作業は面倒に感じてしまう。

これまでのことを考えて、実店舗のショールーム化を
避けるための方法として、
1.ネット通販で取り扱っていない独自商品を販売する。
2.価格以外のサービスで差別化する。
が考えられる。ターゲットの採った対策と比較すると、
2番目が違っていることがわかる。

一方、ターゲットがネット通販との価格競争に晒されている商品は、
家電・DVD・書籍・CD。2010年年間売上の約20%を占める主要商品である。
しかし、この主要商品の売上割合が、2009年の約22%をから
下落していることがわかる。ネット通販との価格競争が下落要因である。

家電では独自商品を開発できるものの、
家電以外のメディア商品は差別化がほとんど効かない。
ということは、独自商品開発という実店舗のショールーム化回避策が、
この主要商品に効かないことになる。1番目の独自商品開発も、
満足な対策とは言えない。

ならば、実店舗のショールーム化を避けるためにどうすればいいのか。
以下の方法はどうであろうか。
1.アパレル・雑貨など差別化しやすい商品を拡充する。
2.店員による臨機応変なサービスを充実する。
3.ついで買いなど需要を喚起させるプッシュ型の売り場を作る。

1について、従来から独自のアパレル商品を販売していたターゲットには、
やりやすい方法だろう。実際、地方の人気ショップから
セレクトした流行品ブランドを始めるとのこと。
食品、ヘアケア・美容商品での独自商品の開発も進めるとしている。

2については、セルフサービス・ディスカウント販売のターゲット
には難しい。ただし、アフターサービスを充実させるなど方法はある。
ネット通販が持たないリアルな店員は、実店舗の強みであるから、
活用しない手はない。

3について、ついで買いを起こさせれば、
単品で小さな利益しかとれなくても、トータルで一定の利益を確保できる。
さらに、検索などユーザーのアクションを起点とする
ネット通販にはできない、プッシュ型の売り場を作ることができれば、
店舗内で「欲しい」と思わせることができる。例えば、
大型POPや動画・デジタルサイネージなど。買物客の意志に関係なく、
目や耳に飛び込むように商品情報・販促情報を発信すれば、
来店前には思ってもみなかった商品の購入につながるかもしれない。
もちろん、ターゲットには導入可能である。

要は、ビジネスモデルの違うネット通販と、単純な価格競争を行わないこと。
そして、実店舗の持つ強みを活かすことである。

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《今回のヒントのまとめ》
1)年末商戦が振るわなかったターゲットは、
店舗のショールーム化回避に動き出した。

2)その対策とは、ネット通販が取り扱わない
独自商品の開発・販売と、値下げである。

3)しかし、実店舗よりもコストの低いネット通販の
ビジネスモデルを考えると、単純に値下げしても
、不毛な価格競争に陥るだけで、解決しない。

4)取りうる方法は、「アパレル・雑貨など差別化しやすい商品を拡充する」
「店員による臨機応変なサービスを充実する」
「ついで買いなど需要を喚起させるプッシュ型の売り場を作る」
ではないか。

5)要は、ビジネスモデルの異なるネット通販と
単純な価格競争を行わないこと。そして、
実店舗の持つ強みを活かすことである。

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7)おすすめ商品・サービス

◎ Winecarte 簡単ワインの選び方

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
wine.ryotarotakao.com/

編集後記
スマホがあれば、価格比較が簡単にできます。
これに悩む小売店も多いことでしょう。
価格が比較的高いのに売れている商品。
価格が比較的高いのに売れているお店。
これらを調査・分析すると、ヒントがわかるかもしれません。

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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