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【531号】ブランド化したPBと価格訴求に依存するNB

プライベートブランドBy raider3_anime

 

◎本日のニュース

1)見出し
Store Brands Step Up Their Game, and Prices

【出典】
goo.gl/1EGuJ

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2)要約
小売チェーンの独自ブランドであるPB商品は、
これまでNB商品よりも低価格であることをその強みとしていた。
しかし、そのPB商品を価格以外のブランドロイヤリティによって
購入する消費者が増えている。

小売店がPB商品を強化する目的は、
市場シェア拡大と利益率引き上げである。原材料コスト上昇を、
利益率の高いPB商品の販売強化によって克服しようとしている。
そのために、品質の改良のみならず、パッケージの形態や
掲載される商品説明にも改良を加えている。

PB商品の市場シェア拡大に脅威を抱くNB商品は、
価格を下げることによって対抗している。また、
PBを持たない小売チェーンへの販売を強化することや、
研究開発や広告宣伝に多額の予算を投じることで、
市場シェアを守るメーカーもある。ただし、
PB商品の製造をNBメーカーが行うなど、
PBの売上拡大すべてがNBメーカーにとってマイナス
というわけではない。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
But consumers are developing loyalty to store brands
for reasons besides price, and that could be a problem
for food and consumer-products companies as the economy rebounds.

4)キーとなる英文の和訳
しかし、

消費者はストアブランドに対してロイヤリティを感じ出している。
その理由は、価格とは別に存在している。
この事態は、食品や家庭用製品の企業にとって問題になるだろう。
景気が回復した時、その問題は生じるに違いない。
5)気になる単語・表現
besides前置詞句~のほかに、~に加えて◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
PB商品とは、小売店ブランドの商品で、
日本で言えばイオンのトップバリュや
セブン&アイのセブンプレミアムなどがある。
一方、NB商品とは、メーカーブランドの商品で、
日清食品のカップヌードルやハウス食品のククレカレーなど。
安いから売れていたと思われていたPB商品が、
実はそうではなかったというお話。
消費者は、PB商品にも、NB商品に似たブランドロイヤリティを感じている。

従来であれば、NB商品のメーカーは、
景気が回復すれば、消費者の懐も良くなるので、自社のNB商品が売れるはず。
と考え、PB商品に浮気していた消費者がNB商品に
戻ってきてくれると信じていた。しかし、
PB商品にロイヤリティを感じているからこそ購入しているとなれば、
話が違ってくる。

アメリカでは、原材料価格の高騰ゆえ、食品価格は上昇している。
これは、PB商品もNB商品も同じ。しかし、その上昇スピードが
異なっているという。価格を比べれば、
◯PB商品は、競合する全国ブランドのNB商品よりも平均29%安い。
にもかかわらず、
◯PB商品の価格上昇率は5.3%。ちなみに、
業界全体の平均は1.9%。
◯消費期限の短い商品に限っては、PB商品の上昇率は12%。
一方、NB商品は8%。
という結果に至っている。値上げ率が高くなっても、
PB商品が売れているということを考えれば、
NB商品を販売するよりもPB商品を販売する方が、
原材料価格上昇の悪影響を受けなくて済む。
小売チェーンにとっては、PB商品を販売する方がいいということになる。

さらに、小売店がPB商品を販売するメリットはある。
それは、
利益率の高さ
である。販路が確保された状態で開発されるPB商品の特徴は、
◯NB商品には掛かる宣伝・広告費がかからない。
◯製造工場の閑散期を狙って製造される場合が多いため、
製造コストが低い。
であり、つまりは
低コストで製造できる→利益率が高い
というメリットを持つ。

さらに、PBは小売チェーンのストアブランドであるため、
商圏内の競合店と商品で差別化できる。
NB商品しか扱っていなければ、競合店も同じ商品を扱いかねず、
価格競争に陥りやすい。

消費者がPB商品にロイヤリティを抱き、好んで購入していることは、
次のデータが証明している。
アメリカの家庭で消費される商品・飲料のPB比率は、20%から29%に上昇。
さらに、ロイヤリティを感じていることの証明として、
28%の消費者は、PBを選ぶ理由を価格以外に置いている。
が挙げられる。

このように、PB商品は、
◯小売店→利益率が高く、一方で消費者に支持されているために、
利益額を稼ぐことができる。さらに、原材料価格上昇分を価格に転嫁できるので、
利益率を維持できる。同商圏の競合店と商品で差別化できるので、
価格競争を避けることができる。
◯消費者→価格が低いだけでなく、ブランドロイヤリティを
感じているため、NB商品よりも好んで購入する。
なので、お店・お客さん双方にとってウィンウィンになる商品となる。
PB商品の売上が伸びないわけがない。

このPB商品人気をさらに高めようと、小売チェーンは
さらなるPBの刷新を試みている。記事で紹介されているのは、
1.品質を改良。
2.パッケージ形態を、より消費者ニーズに合わせる。
3.パッケージに掲載する説明文・デザインを、より消費者ニーズに合わせる。
の3つ。これらを可能にしているのは、
小売チェーンの元NBメーカー商品開発担当者。
メーカーで培った商品開発力が、PBの開発に活かされているという。

この事態に対して、NBメーカーは次のような対策を講じている。
1.値引き・クーポンによる価格訴求
2.PBを持たない販路を開拓・拡充
3.商品開発・広告宣伝の強化

NB商品に求められるのは、PB商品との差別化。
価格以外に魅力を感じてPB商品を購入する消費者が
増えていることを考えると、1の価格訴求はピントが外れている。
低価格ブランドを開発するにしても、価格以外の魅力が必要だろう。

2の販路については、商品の差別化ではなく販路の差別化。
PB商品を持たず、NB商品を積極的に販売してくれる小売店を
重宝するのは、理解できる。しかし、その小売店もいずれPB商品を
開発するかもしれない。販路の差別化だけでは、解決したことにならない。

3こそが、NBメーカーの強みだろう。小売チェーンは、
売り場を持つという強みがあるが、逆にそのカテゴリーの
技術・知識や市場環境の理解については、深さで劣る。
一方、NBメーカーは、専門だけに深さで勝る。この強みを活かして、

消費者に選んでもらうブランド作り

をする必要がある。
最終目標は、自社ブランドの商品を探してでも買ってもらう
と、言っても過言ではないだろう。売り場に自社製品がなければ、
通常の消費者は、その売場にある商品の中から代替品を選ぶ。
しかし、自社製品をどうしても欲しい消費者は、
販売店を探してでも買うかもしれない。このような消費者、
つまりブランドロイヤリティを感じる消費者を作ることが、
NBメーカーに求められる。そのためには、小売店を通じて
間接的に販売するにしても、消費者とより深い
コミュニケーションを取ることが必要になるだろう。

***************************
《今回のヒントのまとめ》

1)低価格が魅力のPB商品に、ブランドロイヤリティを
感じる消費者が増えている。

2)一方、小売店は、NB商品よりも利益率が高く、
コストアップ分の価格転嫁も容易にでき、
さらに競合店との差別化になるので、
PB商品に力を入れており、好循環が起きている。

3)この事態に対して、NBメーカーは価格訴求・PBのない
販路の開拓や拡充などで対抗しようとするが、求められるのは、
小売店にはない強みを活かすことである。

4)NBメーカーの強みである、専門的な技術力・知識や
市場環境の理解の深さを活かして、消費者に選んでもらう
ブランドを作らなければならない。そのためには、
消費者とのコミュニケーションをさらに深める必要があるだろう。
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編集後記
もともとPBの強いアメリカですから、
景気回復後もPBを購入する人は増えるでしょうね。
日本はどうなのでしょうか。
景気回復によって、NB商品に回帰するか、
それともPB商品が根付くのか。
選ばれる一部のNB商品が残るような気がします。
ロングセラーブランドの刷新に力を入れる大手メーカーの動きは、
PBの力が強まり一部のブランドしかNBとして生き残らないとい
危機感の表れのように、私には映ります。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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