【555号】ファストフード企業による直営店のFC化、店舗はどう変わるのか?
By sirwiseowl
◎本日のニュース
1)見出し
Fast-Food Franchisees Bulking Up
【出典】
goo.gl/hykwb
2)要約
ファストフード企業が、直営店のフランチャイズ(FC)
この背景には、景気後退による売上の悪化があり、
FC化により利益率の向上を目指す。一方、FC契約の委託を受けるフランチャイジーには、
実績のある旧直営店の方が、追加投資が少なく済むので、
投資の回収が早いというメリットがある。
ただし、FCの専門家の中には、直営店の大部分や
全てをFC化することは、そのブランドに対する自信を
失っていることの兆候であるとして、
注意を呼びかける人もいる。実際、直営店と言えども、
長期間店舗運営に問題があると店舗がひどく荒廃するので、
収益改善には改修など大きな投資が必要になる。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Weaker sales following the recession are prompting
many big fast-food chains to adopt leaner business models
by unloading company-owned outlets to franchisees.
4)キーとなる英文の和訳
景気後退に伴う売上の悪化により、
直営店のFC化によって、
5)気になる単語・表現
adopt他動詞(新しい理論・技術など)を採用(し実行)する
※ adaptは修正を加えて採用すること
lean形容詞(筋肉質で)やせた;困窮の、貧弱な;
unload他動詞(人・積荷)をおろす;~を取り除く
outlet名詞販売店、小売店;販路;販売代理店;支店
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
大手ファストフードチェーンが進める直営店のFC化の事例として
以下のものが紹介されている。
◯バーガーキングホールディングス社(Burger King Holdings Inc.)
2013年初めまでに、全米の約7200店舗の大部分、
◯マクドナルド(McDonald’s)
2007年以後、全世界の直営店比率が23%から19%に低下。
◯ヤムブランズ社(Yum Brands Inc.)
ケンタッキーフライドチキン(KFC)・ピザハット・
2010年、全米の直営店比率が15%から13%に低下。
KFC・ピザハットは5%にまで下げる。タコベルは、
◯ジャンバ社(Jamba Inc.)
ジャンバ・ジュースを運営。直営店比率は、70%から40%
◯ジャックインザボックス社(Jack in the Box Inc.)
2004年以後、FC比率が22%から72%に上昇。
大手ファストフードチェーンが、直営店のFC化を進めるのは、
利益率が高いからである。フランチャイズ本部
(=大手ファストフードチェーン)から見た直営店と
FC店の違いを簡単に比較すると、以下のようになる。
◯直営店:(費用)店舗建設費用・運営費用・材料費など
(利益)売上の一定割合
◯FC店:(費用)募集費用・運営サポート費用
(利益)固定ロイヤリティ収入+売上の一定割合
費用について、店舗建設費用が莫大にかかるので、
直営店よりもFC店の方がずっと小さい。一方、利益面では、
売上金額にかかわらず発生する固定ロイヤリティ収入があるので、
景気の影響を受けにくく、安定することになる。その結果、
フランチャイズ本部は、
◯店舗を持たない→資産(=asset)が小さくなる
◯景気に影響されない固定収入がある→利益(=return)
となり、ROAが向上し安定する。
景気後退により売上・
ROAの向上・安定を目指して直営店のFC化を進めることは、
メリットがあり理解できる。
一方、FCとして運営委託を受ける側(=フランチャイジー)
直営店を譲り受けることにメリットがある。
それは、実績があるということである。通常、
FCを契約後に新店をオープンさせる場合、
行わなければならない。それは、全国レベルの有名ブランドの
ファストフードチェーンでも、発生する仕事である。しかし、
直営店の場合は、運営実績があるので、見込み客・
だから、一から見込み客の集客を行う必要はない。
特に、フランチャイズに参加した時に新店オープンで苦労した
FCオーナーにとっては、
また、新規に店舗を建設する必要がないために、
初期投資が小さくて済むというメリットもある。
ただし、直営店のFC化には問題点もある。
【本部側】
1.リスクが小さい一方で、リターンも小さくなる。
2.管理運営が徹底できずに、
【フランチャイジー側】
3.営業実績の悪い問題店の譲渡を受けると、
収益改善に多額のコストが掛かる可能性がある。
4.
ブランド価値が大きく毀損されている場合がある。
1については、
売上に比例する利益部分が小さくなることに起因する。
母数の売上が無くなるために、利益額は減少する。
2については、FC本部とフランチャイジー企業との関係は、
対等である点に起因する。直営店ならば、
各店舗は本部の方針に従わざるをえず、
一方、FC店の場合は、フランチャイジー企業は独立企業であり、
契約によって本部からブランドの使用権・
問題があれば契約は破棄することも可能なので、
本部はFC店に強く指導できなくなり、
可能性がある。
3については、直営店の譲渡を受けると、店舗だけでなく
スタッフも付いてくるという点に起因する。
スタッフに問題があれば、店舗は荒れる。荒れた店舗には、
見込み客によるマイナスの口コミが起きかねない。このように、
新店がゼロからのスタートならば、問題点はマイナスからの
スタートとなる。よって収益を改善するには、
新店よりもコストがかかる恐れがある。実際、
バーガーキングの直営店をFC化する場合、店舗改修などにより
新店出店費用の半分以上も掛かる場合があるという。
4については、FCが専門の弁護士による意見である。
直営店のFC化を進めるのは、
リターンはリスクに比例するので、FC化は利益額の減少を招く。
それでも、FC化を進めるということは、
望めないということに他ならない。それだけ、
ブランド価値が毀損しているということなので、
そのツケは譲渡を受けたフランチャイジーが背負うことになる。
このように、直営店のFC化には、本部・
メリット・デメリットが存在するが、利用する消費者にとっては
次のようなメリットが考えられないだろうか。それは、
地域特性により店舗が多様化する
という点である。直営店がFC化すると、
運営がフランチャイジーに委ねられるので、
店舗が悪化する懸念もあるが、
メリットもある。つまり、
直営店=他の直営店と同じ商品を提供
FC店=直営店と同じ商品+αを提供
になるので、プラスαの部分で、
もちろんこれが成り立つには、
ただ、緩くすることによって店舗の価値が高まり、
本部・FC店双方の利益が向上するのであれば、
***************************
《今回のヒントのまとめ》
1)大手ファストフードチェーンが、
景気後退による売上悪化に直面したためで、FC化によって
出店リスクを軽減するとともに、利益率を向上することができる。
2)一方、店舗の委託を受けるフランチャイジーにとっては、
店舗建設などの初期投資が低くなり、
3)もちろんデメリットもある。本部側は、FC化により利益額が
減少するとともに、運営を委託することで商品の品質が
低下するリスクが起こる。一方、フランチャイジー側は、
問題点を譲渡した場合、
4)利用者側から見ると、FC化により地域特性にあった店舗が
生まれれば、各店舗に違いが生まれ、利用価値が高まる。
ただし、そのためには、より緩いFC契約が必要になる。
*************************
7)おすすめ商品・サービス
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
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編集後記
実は、先日FCフェアに参加しました。
比較的小さなイベントだったのですが、
本部側の熱心さは凄まじかったです。
いかにFCビジネスが儲かるかについて、
体感できました。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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