【699号】チケット販売支援のスコアビッグが教えてくれる、チケット業界が抱える課題とは？

by courtesy of Greg Briggs

 

◎本日のニュース

1)見出し
Ticket Liquidator ScoreBig Hires Industry Veteran

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2)要約

チケット流動化サービスのスコアビッグ社は、チケットマスター社の元幹部のデビッド・コールドバーグ氏を、最高戦略責任者として迎え入れた。コールバーグ氏に期待されているのは、チケットを販売する企業と提携して、消費者の中で認知度を高めることである。

 

コールドバーグ氏は、チケットマスター社で、ペーパーレス発券システムやチケット買戻システム、チケット再販サイトの開発などを担当。コールドバーグ氏自身、売れ残りチケットを画期的な方法で販売するスコアビッグ社に惚れ込んでいるようで、今回のヘッドハンティングは相思相愛とも言える。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3）キーとなる英文

David Goldberg, 45 years old, said ScoreBig offers an “elegant” solution to one of the thorniest problems remaining in the booming live-event business: how to use discounts to unload unsold tickets, but without undermining their perceived value or irking season ticket holders.

 

4）キーとなる英文の和訳

デイビッド・コールドバーグ氏は現在45歳。

コールドバーグ氏によると、スコアビッグは、盛り上がるライブ・イベント業界に残る最も厄介な問題の一つを華麗に解決する方法を提供しているという。

その問題とは、売れ残ったチケットを処分するための割引の使い方であり、ただし、チケットの持つ価値を損なわず、シーズンチケット所持者を失望させてはならない。

 

5）気になる単語・表現

elegant	形容詞	（洗練されて）上品な、優雅な；（考え・処理・計画などが）（科学的で）的確な；簡潔な
thorny	形容詞	厄介な
unload	他動詞	（船・車など）の荷を卸す；（株・商品など）を処分する
undermine	他動詞	（名声など）をひそかに傷つける
perceive	他動詞	～を知覚する
irk	他動詞	～をうんざりさせる

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

スコアビッグ社（ScoreBig Inc. ）が提供するチケット流動化サービスとは、売れ残りチケットの販売支援サービスです。具体的には、売れ残りチケットをうまく売りさばくサービスを、提供しています。この仕組が画期的だからこそ、同業者であるチケットマスター(Ticketmaster)の元幹部が、ヘッドハンティングを受けたのです。そして、この仕組は、イベント業界が長年悩んできた課題をうまく解決するからこそ、その華麗さが目立つのです。

イベント業界が抱える問題とは、その価値を毀損させず、また正規価格で購入した人を不快にさせず、売れ残りチケットを処分販売するというものです。最悪の場合は、売れ残りチケットをタダで配るというやり方も考えられます。しかし、お金を払わずにチケットを貰った消費者は、来場する確率が低いということがわかっています。つまり、無料で配ると、客席で埋まらないという問題が生じるのです。よって、売れ残りチケットを販売して、いかに客席を埋まらせるかという問題とも言えます。

【イベント業界が抱える課題】

［1］    売れ残りチケットをどう売りさばくか。

［2］    ただし、チケットの価値を毀損させてはならない。

［3］    ただし、正規価格で購入した人を不快にさせてはならない。

［4］    ただし、実際に来てくれる人に売れなければならない。

そして、この課題が深刻なのは、イベント業界が販売するチケットの約40％が売れ残るという現実があります。

この深刻な課題を解決したのが、スコアビッグなのです。その画期的なチケット販売手法をまとめると、次のようになります。

【スコアビッグのチケット販売システム】

［1］    オークション方式で売れ残りチケットを販売→課題1・4を解決

［2］    落札するには、販売者が決めた最低価格を上回る価格を入札しなければならない→課題2を解決

［3］    最低価格・落札価格は公開されない→課題3を解決

［4］    落札に失敗すれば、入札後24時間、同じチケットの入札ができない→課題2を解決

スコアビッグ社のシステムの肝は、

落札価格を一定以上に保ち、その価格を公開させない

ことにあると言えます。これにより、ある一定以上の価格を維持することができ、さらにその価格を非公開にすることで、正規購入者への悪影響を回避できます。もちろん、オークション方式と言えども販売することに変わりないので、販売者は収益を確保できるとともに、お金を払った購入者の来場が期待できます。

日本のイベント業界も、同様の売れ残りチケット問題を抱えていることが推測できるので、スコアビッグが日本に上陸することも十分考えられます。

売上を最大化するには、在庫をすべて売りさばく必要があります。そのために使われるのが、割引です。しかし割引されていることがわかれば、正規価格で購入した人は損をしたと感じます。その結果、顧客満足度が低下するリスクがあるのです。この問題をチケットに関して解決したスコアビッグの仕組みを参考にすれば、他の商品における同様の問題も解決できるかもしれません。

ScoreBig

Ticketmaster

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《今回のヒントのまとめ》

1)  イベント業界は、売れ残りチケットをどう売りさばくかという問題を抱える。しかも、価値を毀損させず、さらに正規価格で購入した人を不快にさせない方法で、販売しなければならない。

2)  この課題を解決したのが、スコアビッグ。具体的には、オークション方式で販売するので、購入者が来場しないリスクは小さくなる。

3)  落札するには最低価格以上で入札する必要があり、また自動入札で最低価格を割り出すことができないので、価値の毀損を回避できる。

4)  さらに、落札価格・最低価格が公開されないので、正規購入者に配慮できる。

5)  在庫を売りさばくことで売上の最大化を目指すビジネスは、スコアビッグの仕組みから学べることがあるだろう。

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編集後記

今回の記事で思い出したのは、デパ地下の処分販売。

閉店間際に行けば、半額まで下がるお店もあります。

一度半額で購入できれば、正規価格で購入することが馬鹿らしく思ってしまいますね。

半額で売っても儲かる、のかもしれませんが。

 

 

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