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【733号】AT&Tの新データ通信料課金制度から学べることとは?

AT&Tのマーク

by courtesy of Chris Young

 

 

◎本日のニュース

1)見出し 
AT&T to Let Content Companies Subsidize Users’ Data Costs

 

 

 

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2)要約

携帯電話キャリアのAT&T(ATT)は、コンテンツ提供者がユーザーのデータ通信料を補助できるプランを開始した。スポンサードデータと呼ばれ、このロゴが入ったコンテンツをユーザーが受信しても、データ通信料の課金対象にはならない。

 

ATTがこのような施策を編み出したのは、消費者がこれ以上のデータ通信料を負担しないと考えているからである。データ通信では従量課金が主流となり、データ使用量を気にする消費者が増えている。

 

一方、コンテンツ提供者は、ユーザーのデータ通信料を補助することにより、利用者拡大が期待できる。ただし、現在このプランを採用するコンテンツ提供者は3社に留まり、このプランの利用が広がるかどうかは不明確である。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

AT&T Inc.  formally opened the door Monday for companies like Google Inc. to subsidize the cost of using their services on smartphones and tablets. 

 

4)キーとなる英文の和訳

AT&T社は、月曜日、グーグル社のような企業が、スマートフォンとタブレット上で自社のサービスを利用する費用を補助できるようにした。

 

5)気になる単語・表現

subsidize

他動詞

~に助成金を与える、~を援助する

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

通信企業のATTが、コンテンツ提供者向けの新たなサービスを提供するようです。コンテンツ提供者とは、グーグル社やフェイスブック社などスマホアプリ提供企業。このサービスは、スポンサードデータと呼ばれ、コンテンツ利用者の代わりにそのデータ通信料をコンテンツ提供者が負担するというものです。スポンサードデータかどうかは、そのアプリ・サイトにロゴが入っているかどうかでわかります。ロゴの入っているコンテンツを利用すれば、利用者にはデータ通信料が発生しないという仕組みです。

 

ATT がこのようなサービスを生み出した背景には、データ通信の従量課金が主流となることで、データ通信収入の拡大が難しくなったことがあります。エンドユーザーが、データ通信量を気にして、データ通信利用を渋るからです。

 

【スポンサードデータが生まれた背景】

[1]    データ通信料が従量課金に移行した結果、消費者がデータ通信利用を抑制し、データ通信収入の増加率が漸減しているから

 

消費者の携帯電話利用が広がるにつれて、データ通信料を含む携帯電話料金が大きくなり、利用者の可処分所得に占める割合も増大しています。この現状を目の当たりにして、携帯電話料金を節約する動きが、消費者の中で増えているのです。さらに、データ通信料が、定額制から従量課金制に移行したことで、消費者はデータ通信を抑制することになります。その結果起こるのが、通信企業のデータ通信収入の頭打ち。記事に掲載されているグラフからは、データ通信収入は依然拡大していますが、その増加率は鈍っています。

 

そこでATTが目をつけたのが、データ通信の発生するコンテンツ提供者。コンテンツ提供者が、エンドユーザーの代わりにデータ通信料を負担すれば、ATTはデータ通信収入を拡大させることができます。一方のコンテンツ提供者も、エンドユーザーのデータ通信料を肩代わりすることで、新規ユーザーの獲得・継続利用を促進させることができます。

 

【スポンサードデータのメリット】

[ATT]データ通信収入を拡大できる

[コンテンツ提供者]新規顧客獲得・継続利用を促進できる

 

要は、請求先を、可処分所得が増えず支出を抑えがちな消費者から、利用者拡大による収益拡大が見込める企業に転換したということです。消費者はコンテンツ利用により支出しか発生せず、できるだけ節約しようと考えます。一方、企業は、コンテンツ提供によって収益を拡大できるので、スポンサードデータの支出を投資と考え、積極的に利用します。投資と考える主体に請求することによって、ATTはデータ通信収入をより容易に拡大できると考えたのです。

 

同様なビジネスに、地上波テレビやフリーペーパーがあります。いずれも、エンドユーザーに課金するのではなく、コンテンツ内の広告主を募集し、その広告主に課金しています。この結果、無料でコンテンツを提供できるようになり、エンドユーザー数の拡大を容易に進められ、その結果広告主にとってコンテンツの魅力が増すという好循環を生み出しています。

 

ATT以外にも、データ通信料の負担主体を変える動きが通信業界には起こっています。例えば、Tモバイル。Tモバイルは、プリペイド携帯電話の最安プラン利用者に、フェイスブックへの無料アクセス権を提供しています。この権利を行使すれば、データ通信契約がなくても、フェイスブックを利用することができます。この場合、データ通信料は、エンドユーザーではTモバイルが負担することになります。このサービスによって、Tモバイルは、新規顧客を獲得できるだけでなく、データ通信契約のないユーザーに、データ通信を利用する機会を提供することによって、データ通信契約への移行を期待できるのです。

 

ATTのスポンサードデータから学べることは、プライシングとは値段を決めるだけではなく、誰に課金するかも大きな課題であるということ。支出の抑制を考えやすい消費者よりも、投資効率を重視する企業に課金することによって、収益拡大が容易になるかもしれないのです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

1) ATTがスポンサードデータを導入したのは、データ通信が従量課金制に移行したことにより、ユーザーのデータ通信抑制が働き、データ通信料の拡大が今後難しくなったからである。

2) ATTに収益拡大をもたらすスポンサードデータは、コンテンツ提供者にとって、新規顧客の獲得・既存顧客の継続利用が期待できる。

3) ATTがデータ通信料の課金先をユーザーからコンテンツ提供者に移行させるのは、支出を抑制しやすい消費者よりも、投資効率を重視する企業の方が、より課金しやすいからに他ならない。

4) プライシングは単に値段を決めるのではなく、課金先を決めることも大きな課題である。特に、消費者ではなく企業に課金することによって、収益拡大がより容易になるかもしれない。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

お正月に飲んだ日本酒がこちら。

スッキリしていて、とても飲みやすく、どんどん進みました。

ちなみに、松竹梅さんの日本酒は始めて。

また飲みたい辛口です。

松竹梅 特選山田錦 特別純米

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

通信キャリアのスマホは持っていないのですが、日本でもスマホのデータ通信は従量制になったみたいです。

その制限枠はまだ大きいようですが、動画利用などデータ量の大きなサービスが増えると、制限枠が小さくなり、スポンサードデータのようなサービスが日本にも導入されるかもしれませんね。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

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