【903号】酒類大手のペルノーリカール社が苦戦する米市場を重視する理由とは?
◎本日のニュース
1)見出し
Vodka Falls Out of Vogue in U.S., Posing Challenge for Pernod
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2)要約
ウオッカブランド・アブソルートで有名なペルノーリカール社は、世界で最も重要とされるアメリカのリカー市場で苦戦している。その理由は、消費者の嗜好の変化に対応できず、ウォッカがその被害を一番受けているからである。
その嗜好の変化とは、持続するカクテル人気とアメリカ産バーボンブームである。特に、後者は、ミレニアル世代が再度関心を寄せている。一方で、ペルノ社はアメリカ産バーボンで売れるブランドを持っていない。
ただし、グローバルの収益は好調で増収増益を記録している。ウォッカ以外にもウィスキーやコニャックで複数のブランドを持ち、欧州・中国・インド市場が好調だからである。ユーロ安という追い風も大きな要因である。
3)キーとなる英文
In the U.S., bourbon is in and vodka is out. That’s making Pernod Ricard SA, owners of the Absolut vodka label, a laggard in the world’s most important liquor market.
4)キーとなる英文の和訳
アメリカでは、バーボンがブームでウォッカは廃れている。
そのため、ペルノーリカール社は、アブソルートというウォッカブランドを持つので、世界で最も重要な酒類市場で落ちぶれている。
5)気になる単語・表現
vogue | 名詞 | 流行 |
laggard | 名詞 | のろま、落伍者 |
marque | 名詞 | ブランド |
shun | 他動詞 | ~を避ける |
indulge in | 自動詞句 | ~を飲食する;(酒など)をたっぷり飲む |
stall | 他動詞 | (車)をとまらせる;~を失速させる |
slake | 他動詞 | (欲望など)を満たす |
casualty | 名詞 | 損害を受けた物;(事故などの)死傷者、被害者 |
underarchiever | 名詞 | 評点以下の生徒;目標を達成できない人 |
splashy | 形容詞 | 人目を引く |
in | 副詞 | (服装などが)流行して(反対はout) |
(今回ピックアップ英単語)
【indulge】
- 「(快楽など)にふける、~をほしいままにする」
He sometimes indulges himself in idle speculation.
「彼は時々たわいもない空想にふける」
- 「(子供など)を甘やかす(spoil);思い通りにさせる」
You should’nt indulge a child.
「子供は甘やかしてはいけない」
- 「(趣味・欲望など)を満足させる(satisfy)」
She indulged her craving for chocolate.
「彼女はチョコレートを心ゆくまで食べた」
※craving for「~への切望、渇望」
6)ビジネスのヒント
前号から続けての酒ネタです。酒が好きだからでしょうか、酒に関する記事はついつい読んでしまいます。それ以上に、酒類メーカーにはマーケティングに長けた企業が多いので、参考になることが多いですね。
今回取り上げるのは、ペルノーリカール社。日本で言えば、スコッチのシーバスリーガルで有名ですが、アメリカではウォッカのアブソルートで有名な企業。その傘下には、ジェムソン(アイリッシュウイスキー)やマーテル(コニャック)などを持つ、英国ディアジオに次ぐ酒類企業大手です。そのペルノーリカール社が、世界で最も重要とされるアメリカ市場で苦戦しているようです。その要因は、もちろん消費者ニーズの変化に対応できなかったから。
【アメリカのスピリッツ市場で起こる変化】
- 息の長いカクテル人気
- アメリカ産バーボンブーム(特にミレニアル世代)
「変化」という割には、さほど大きな変化ではありません。注目すべきは、2のアメリカ産バーボンブーム。特に、ミレニアル世代が再度関心を寄せているようです。「renew」という単語が使われているので、以前にもミレニアル世代が盛んに飲んだことがあったのでしょう。
要は、アメリカのスピリッツ市場は絶好調なのですが、アメリカ産バーボンブームの煽りを受けているのがウォッカ。ウォッカは、市場規模を縮小させています。そして、アメリカ市場ではウォッカが稼ぎ頭のペルノ社が、アメリカンバーボンの犠牲者になっているのです。
【ウォッカとウィスキーの消費量の対比】
(アメリカ市場)
- ウォッカ→-3%
- ウィスキー→+7%
(グローバル市場)
- ウォッカ→-2%
- ウィスキー→+17%
※アメリカ市場は昨年実績で、グローバル市場は2014年を2010年と比較
アメリカでウィスキーの消費量が伸びたのは、バーボンとテネシーウイスキーが7.4%も増加したから。一方で、スコッチウイスキーはそっぽを向かれているようです。シーバスリーガルという世界的スコッチウイスキーブランドを持つペルノ社としては、痛いところです。
ペルノ社は、複数のスピリッツで有名ブランドを持つものの、アメリカの全売上の半分をアブソルートで稼いでいます。さらに、アメリカ産バーボンブランドを持たないことで、アメリカンバーボンブームに乗れないどころか、ウォッカの市場縮小をモロに受けることになったのです。
ちなみに、競合他社は、アメリカでのアメリカ産バーボンブームには手を打っています。
【競合他社によるアメリカ産バーボンブームへの対策】
- ディアジオ社→バーボンブランドのブレットの蒸留所をケンタッキー州に増設
- バカルディ社→ケンタッキー州のプレミアムバーボン・エンジェルズエンヴィを買収
他社がアメリカ産バーボンの製造・販売に力を入れる一方で、ペルノ社は、目立つ販促やフレーバーウォッカでアブソルートの販売に力を注ぐのみ。バーボン市場の拡大を指をくわえて見ているだけでは、業績が低迷するのも仕方ありません。
ただし、ペルノ社のグローバルの収益は、増収増益。その要因は、欧州市場の復活、中国市場での安定したコニャック売上、インド市場での地元ウィスキーの売上急増、それにユーロ安です。ならば、苦戦するアメリカではなく、欧州や新興国に力を注げばいいかと思われますが、そうではないようなのです。というのも、アメリカ市場はオイシイ市場だからです。
【アメリカ市場がオイシイ理由】
- 人口増などで市場自体が拡大しているから→客数増
- 高単価商品が売れるから→客単価増
要は、客数・客単価とも今後伸びる可能性が高いからです。対照的に、欧州はユーザー数が頭打ちであり、新興国は人口増が期待できるものの低価格品・大衆品が人気であり、高単価商品が売れない市場なのです。ユーザー数が伸び、さらに高単価のプレミアム品が売れるアメリカ市場が、世界で最も重要とされるのは当然なのです。
高単価のプレミアム品が売れて、さらに客数の伸びが期待できる市場は、そうありません。一般的に、客数と客単価は逆の相関関係があると考えられています。しかし、市場を細分化すると、人口減の日本でも酒類のアメリカ市場のようなオイシイ市場があるかもしれません。
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《今回のヒントのまとめ》
- ペルノーリカール社が、苦戦するアメリカ市場を重視するのは、人口増加により成長が期待できる一方で、高単価のプレミアム品が売れる市場だからである。客数・客単価とも伸びるオイシイ市場と言える。
- ペルノ社がアメリカで苦戦するのは、スピリッツ市場での変化に対応できていないから。その変化とは、有名ブランドを持たないアメリカ産バーボンブームである。一方で、稼ぎ頭のウォッカ消費量は減少している。
- 競合他社は、アメリカ産バーボンブームに対し、蒸溜所の増設やブランドの買収で対応しているが、ペルノ社はウォッカのアブソルートの販売に力を注いでいるだけで、対応してこなかった。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
あくまで、ポイント消化のための商品ですが、このふりかけはよく買います。
お弁当(?)でよくご飯にまぶすのですが、わかめの塩味としその旨みでご飯が美味しくなるので、重宝しています。
100均でも売っていたような記憶がありますが、期間限定ポイントの消化にはぴったりではないでしょうか。ヤフーショッピングにもありますよ。
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読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
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◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
ウィスキー、特にバーボンの記事を読む度に、バーボンが異様に飲みたくなります。
サントリーがビームを買収してから、かなり安くなったのですが、750mlの飲む予定もなく、さらに保管場所も取られることから、なかなか手を出しづらいのが現状でしょうか。
一方で、焼酎はマイブーム。炭酸水で割った無糖サワーが一番人気。
そう言えば、焼酎の輸出ってどの程度伸びているのでしょうか。
サワーとして売り込めば、海外でも結構売れると思いますが。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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