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【920号】高級品を扱う実店舗小売が、「スローショッピング」を促す理由とは?

Club Monaco Store Canada

 

 

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

The Slower You Shop, the More You Spend

 

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2)要約

ナチュラル高級化粧品のオリジンズでは、来店客が座席に座れば、客単価が4割以上増えるという。店内を回遊することにより、店内体験を楽しみ、購入確率が高まるからである。これを、スローショッピングという。

 

実店舗型小売が、スローショッピングを促すのは、スピードと利便性で優るネット通販と差別化する必要があるからである。また、消費者の中で、モノの購入よりも体験を好むことも関係する。

 

従来は、実店舗でも買い物時間のスピードアップを図ってきた。今後の実店舗は、売場というよりも、顧客と相互交流できるマーケティングスペースという意味合いが強くなる。

 

3)キーとなる英文

Stores are trying to slow down the shopping experience, a movement known as “slow shopping.”

 

4)キーとなる英文の和訳

小売店が狙っているのは、買い物体験に時間を掛けてもらうことである。

この動きは、「スローショッピング」と言われている。

 

5)気になる単語・表現

adherent 名詞 味方、支持者;(~に対しての)粘着性
overt 形容詞 明白な
installation 名詞 (備え付けられた)装置
cozy 形容詞 居心地のよい
entice 他動詞 ~を誘惑する
burst 自動詞 爆発する;(心などが~で)一杯になる
outfit 他動詞 ~を装備する;~に供給する
fixture 名詞 作り付け備品
communal 形容詞 共同の、共有の
plentiful 形容詞 豊富な
splurge 自動詞 誇示する;収入以上の金を使う
luxury 形容詞 豪華な
indulgence 名詞 ふけること;道楽;甘やかすこと
overstimulate 他動詞 ~を過剰に刺激する
engaging 形容詞 人を引きつけること;愛嬌のある
compensate 他動詞 ~に報いる
contact 名詞 連絡

 

(今回ピックアップ英単語)

【adhere】

adherentは、adhereの名詞形。

1)(~にしっかりと)くっつく、固着する、粘着する、付着する

The gum adhered to the sole of the shoe.

「ガムが靴底にくっついた」

2)(人が主義などに)固守する、かたくなに支持する

adhere to one’s decision

「自分の決意を絶対に買えない」

He adheres to the Democratic Party.

「彼は民主党の支持者だ」

(英英)

to stick firmly to something

「firmly(堅く、しっかり;断固として)」というニュアンスが入る。

 

6)ビジネスのヒント

実店舗小売が「スローショッピング」を目指すのは、当たり前と言えば当たり前。というのも、スピード・利便性ではネット通販に敵わないから。ただ、実店舗小売も、長年時短を訴求してきました。例えば、セルフレジやエキスプレスレーン(買い物点数の少ない人向けの急速レジ)、店員呼び出しボタンを導入したり、豊富な品揃えによりワンストップショッピングを可能にしたり。ネット通販がここまで一般化していなかったからでしょう。ネット通販は、確実に実店舗小売に影響を与えています。

 

改めて、スローショッピングを定義すると、

 

スローショッピング=実店舗小売で、店内回遊を促すことにより、店内体験を充実させ、買い物時間を長くすること

 

となるでしょうか。この結果、購入確率・購入点数が増え、客単価・売上が増加します。

 

実店舗型小売がスローショッピングを訴求するのは、ネット通販との差別化のためだけではありません。

 

【スローショッピングと消費者ニーズ】

消費者は、高級品を買って誇示するよりも、充実した体験をしたいというニーズを持つ

 

一言で言えば、消費がモノからコトにシフトしているということになります。特に顕著なのが、高級品。単に高級品を買って、人に見せびらかせるよりも、高級品を買うプロセスを楽しみたいのです。だから、高級品を販売するのは、その買うプロセス・体験をより充実したものにする必要があるのです。

 

記事で紹介されたスローショッピングに対応した販売手法をまとめると、次のようになります。

 

【高級品ブランドのスローショッピング対応事例】

  1. オリジンズ(エスティー・ローダー社傘下の高級化粧品)

自分撮り向けの店内装飾や、長い共有テーブル、商品を試せる大きなシンク、豊富な座席を導入

  1. ローズフーズ(ノースカロライナの地場スーパーチェーン)

店内庭園のハーブを摘み取りできるサービス、クラフトビールバーやキッチンスペースで試飲・試食を実施

  1. クラブモナコ(ラルフローレン社傘下のアパレルブランド)

立地に応じた個性的な店内デザイン・備品を採用、備品の販売に発展

  1. アーバン・アウトフィッターズ(アパレルブランド)

ロックコンサートや美術イベントなどを実施

 

共通点は、よりゆっくり楽しめる店内雰囲気やイベントを提供しているという点。これにより、集客・店内での長い滞在を促しているのです。これらの実店舗は、売場からマーケティングスペースにシフトしているのです。

 

実店舗の変化は、従業員の評価にも変化を及ぼします。先述のオリジンでは、売上目標よりも顧客との関係を重視しています。来店客といかに親しくなって、その連絡先を確保するか。そして、その顧客とコミュニケーションをいかに密に行うか。評価基準がこのように変わったのは、従業員がガイドとして顧客と対応し、店内体験を気に入ってもらえれば、再来店の確率が上昇するからです。来店客の体験満足度が高まれば、短期的な売上に繋がらなくても、長期的な収益に大きく寄与するのです。

 

そう言えば、ついこの間まで、実店舗小売はショールーム化を懸念していました。しかし、高級品に限って言えば、逆にショールーム化を目指しているということになります。実店舗というネット通販にはないハードをショールームとして活かすことにより、ネット通販との差別化を図るだけではなく、ブランドロイヤルティを高めて、実店舗・通販サイトを問わず、売上を獲得しようというしたたかな戦略を採っているのです。

 

また、店員とのコミュニケーションや店内体験を通じて、来店客の連絡先や属性を獲得するということは、ID登録してもらうことで購入履歴やサイト内行動をマーケティングに活かすネット通販に似ているとも言えるのではないでしょうか。実店舗がネット通販の強みを取り入れているのです。

 

ネット通販の普及が進むほど、実店舗ではスローショッピング化が進むのかもしれません。単に商品を並べているだけでは、売れないのです。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 実店舗小売がスローショッピングに対応するのは、スピード・利便性に優るネット通販と差別化するためである。
  2. また、消費者ニーズへの対応という意味合いもある。消費者は、高級品を購入して誇示するよりも、その買い物体験を重視している。
  3. 高級化粧品やアパレルでは、より楽しい店内雰囲気やイベント実施により、店内滞在時間を長くして、客単価の引き上げを目指している。
  4. これは、実店舗が売場からマーケティングスペースに転化したとも言えるだろう。ショールーム化が懸念されたが、逆にショールームになることで、ネット通販にはないハードを活かして、ブランドロイヤルティを高めることができる。
  5. また、店内体験を通じて、来店客の連絡先や属性を把握することができる。これは、ID登録を通じてユーザーの連絡先・購入履歴・サイト内行動を把握できるネット通販の強みを取り入れたことになる。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

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伊藤園が開発に関与しているので、納得と言えば納得。

100円で買えるのが、嬉しいですね。

しかも、サークルKサンクスは、楽天の期間限定ポイントが使えます!!

StyleOne 緑茶500ml

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

スローショッピングを促せば、客数の減少はある程度覚悟しなければなりません。

ただ、それほど混んでいないのも事実。

グローバルチェーンを除いて、実店舗が生き残るには、店内体験を充実化させることにより、スローショッピングを促すしかないように思えてなりません。

もちろん、接客スキルは必須なので、このあたりが競争のポイントになるでしょうか。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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