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【935号】完全自動運転技術によって起こる、自動車業界・消費者の変化とは?

Google Self-driving car, Mountain View, CAAli Eminov

◎本日のニュース

1)見出し

Could Self-Driving Cars Spell the End of Ownership?

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2)要約

2020 年には、世界での自動車販売台数は一億台に到達されるとされ、稼働する自動車は激増している。その結果、大気汚染などの問題を引き起こしている。一方で、 不合理にもその利用率はかなり低く、アメリカでたったの5%とされている。そこで、コンドミニアム同様にシェアされれば、課題はある程度解決されるだろ う。

その鍵となるのは、完全自動運転技術である。この技術が普及すれば、自動車は所有から共有(シェア)の対象となる。自動車そのものの購入から、移動距離に対して支払うようになるだろう。

ただし、それは自動車販売台数の減少を意味するので、自動車メーカーにとっては痛手となる。さらに、自動車利用権の販売に対して、大手自動車メーカーと中小メーカーとの競争が起こり、競争環境が激変する。

3)キーとなる英文

A decade hence, major auto makers and smaller players will be at each others’ throats for the privilege of sending consumers vehicles a la carte, for a one-way trip, an afternoon, a weekend, a month. These transactions will move through the glowing bowels of your monthly credit accounts, and you won’t even feel them.

4)キーとなる英文の和訳

今から10年後には、大手自動車メーカーと中小メーカーの激しい競争が起こっていることでしょう。

その対象は、消費者に好きな時に自動車を送る権利に対して。

例えば、片道や午後、週末、月間など。

これらの取引は、消費者がよく使うクレジットカードの月間支払いを通じて行われ、消費者はその支払いに痛みを感じさえもしないだろう。

5)気になる単語・表現

alike 副詞 同様に
blight 他動詞 ~をだめにする;(霜などが)(植物)を枯らす、害する
siren 名詞 サイレン
embrace 名詞 容認;抱きしめること
absurdity 名詞 不合理
ad hoc 形容詞句 特別の
condo 名詞 分譲マンション= condominium
awful 形容詞 ひどく
generation 名詞 一世代;約30年間
autonomy 名詞 自律性;自主
tramp steamer 名詞句 不定期貨物船
summon 他動詞 ~を召喚する
hence 副詞 今から
be at each other’s throats 熟語 互いにいがみ合っている、激しく言い争っている
dread 名詞 (極度の)恐怖
untapped 形容詞 手付かずの
hobble 他動詞 ~を妨げる
incarceration 名詞 投獄;閉じ込めること
funnel 他動詞 ~を注ぎこむ
fleet 名詞 集団
lust 名詞 強く欲望
constantly 副詞 絶えず
replenish 他動詞 ~を再び満たす
notice 名詞 注目;通知
obligation 名詞 義務
transportation 名詞 輸送
enthusiasm 名詞 熱狂
wane 自動詞 衰える;弱くなる
attest 自動詞 証言する、証明する
artifact 名詞 人工遺物
hyper 形容詞 非常に興奮した
prosperity 名詞 繁栄;(金銭の)成功
reckless 形容詞 向こう見ずな
glut 名詞 十分な供給
hot-rodder 名詞 暴走族
dissenter 名詞 反対者

(今回ピックアップ英単語)

おやすみ

6)ビジネスのヒント

今 日は、生活面(LIFE)のアイデア欄に新しく出来た「万物の未来(the future of everything)」から。「万物の未来」では、いろんな業界・モノ・コトの将来を予想しているので、いろんなヒントが得られるかもしれません。そう いうことを期待して、今回は取り上げました。

テーマは、自動運転技術。日経新聞などでも頻繁に取り上げられている テーマであり、自動車産業のみならずIT産業にとっても、大きなビジネスチャンスのようです。自動運転技術の中でも、人の運転補佐が全く不要な完全自動運 転技術が今後普及すれば、自動車産業や消費者に大きな変化が起こるのとのこと。

その前に、記事で取り上げられた、自動車業界が直面する課題・矛盾をまとめると、次のようになります。

【自動車業界が直面する課題・矛盾】

  1. 自動車の激増による環境汚染
  2. あまりにも低い自動車利用率

自 動車が激増する一方で、利用率は低いという矛盾が起こっています。1に関して、2015年のアメリカ・中国の自動車販売台数は、年間で4000万台に届く とされています。これが、世界では2020年までに1億台に到達。そこで起こるのは、大気汚染です。記事の中で取り上げられていたのは、中国の北京市。政 府がいくら規制しようと、消費者の自動車が欲しい欲望は抑えられず、自動車稼働台数は増加し、それが環境汚染を起こしています。

2 について、世界的に自動車が増える一方で、その利用率はあまりにも低いという現実があります。例えば、アメリカでの自動車利用率は、たったの5%。一日で 例えれば、23時間は運転されずに、ガレージや駐車場に放置されたままということです。この無駄を解消できれば、1の環境問題を抑制できるのではないか。 その解決策として、

完全自動運転技術を使った自動車のシェア(共有)

が提案されています。

シェアですが、これはウーバーのような一台の自動車をみんなで共有するというものではありません。記事の筆者は、その「集合的消費」を完全自動運転技術が達成されるまでの「つなぎ」と表現しています。本命は、

完全自動運転技術を使った自動車のシェア

なのです。

【完全自動運転技術を使った自動車のシェアの概要】

  1. レベル4自律システムと呼ばれるものを採用→完全自動運転を可能にするAIを活用
  2. 人が運転しない自動車を、アプリを通じて来て欲しい場所の呼ぶことが可能
  3. 呼ぶのは、タクシーのような不定期交通の車ではなく、自分が指定した特定の自動車
  4. 必要な距離だけ利用することができる
  5. 支払い金額は、走った距離に応じて、登録したクレジットカードに自動的に課金される

AI を搭載したレベル4自律システムにより、完全自動運転が可能となり、人の乗らない自動車を呼ぶことが出来ます。しかも、その自動車は、不特定のタクシーの ようなものではなく、自分が指定した自動車。例えば、メルセベスの◯◯やらトヨタの◯◯やら、車種と色なども指定できるようです。だから、共有していて も、その車自体はまるで自家用車のように感じるかもしれません。アプリを通じて配車できることは、すでに一部のタクシーやウーバーのような配車サービスで 可能になっています。だから、この場合のキーワードは、

無人

特定の自動車を配車可能

となります。

この完全自動運転車のシェアが普及すれば、自動車業界や消費者にどのような変化をもたらすのか。そのプラス面・マイナス面をまとめます。

【完全自動運転車のシェアのプラス面】

  1. 自動車に乗れる人が増加する(業界・消費者)
  2. 交通事故による死傷や交通渋滞などの抑制(消費者)
  3. 自動車のイメージアップ(業界)
  4. サービス・課金方法などビジネスチャンスの拡大(業界)

【マイナス面】

  1. 所有から共有の対象になるために、販売台数・売上の減少(業界)
  2. 個人情報・属性の流出の懸念(消費者)

ま ずはプラス面について。1について、運転技術不要のため、視覚障害者やその他障害者、未成年の利用が可能になります。さらに、高齢者や経済的貧困層、免許 喪失者など免許を失った人が、利用者として戻ってくることになります。つまり、現在運転しない・できない巨大な消費者層が加わることになり、客数が拡大し ます。

2の事故・渋滞の抑制・解消は、3のイメージアップにつながります。4について、従来の高単価の自動車の売り 切りというビジネスモデルが崩れる一方で、サービス面・課金方法などで新たなビジネスチャンスを掘り起こすことができます。完全自動運転車のシェアでは、 車種の差別化・貸出返却方法・課金方法など、いろんな切り口でサービスを多様化することが可能だからです。

実際、こ れまで公開しなかった自動車シェア計画を発表した電動自動車のテスラは、モルガン・スタンレーにより目標株価が二倍に引き上げられました。これは、自動車 のシェアが、テスラにとってビジネスチャンスであり、2029年までに売上が現在の3倍まで拡大できる可能性があるからです。

次 にマイナス面。プラス面の4で述べたように、所有からシェアに切り替われれば、高額の自動車本体の販売というビジネスモデルが崩れることになります。これ は、既存のビジネスモデルのままでは、販売台数・売上の減少を避けることはできません。さらに、2に関して、アプリを通じて特定車種の手配をするので、ク レジットカードアカウントを含めた個人情報と自動車の利用履歴がコンピューターに蓄積されます。よって、個人情報・属性の流出が懸念されます。デジタル化 による利便性拡大の負の側面と言えるでしょう。

自動運転技術と言えば、ついつい技術を持つ企業の恩恵ばかり考えがち ですが、既存の業界や消費者にも影響を及ぼすのです。例えば、完全自動運転技術を持つ自動車を配車が簡単になれば、バス・タクシーの利用減少は避けること ができません。だから、何かしらイノベーションが必要になるのです。

今回は自動車だけにフォーカスしましたが、他の業界・商品が完全に自動化すれば、これまで不可能であったサービスが生まれることも十分考えられます。例えば、ハウステンボスの、ロボットホテルの「変なホテル」などはその一例でしょう。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 世界の自動車販売台数が今後急増し、環境汚染は避けられないと予想されている。一方で、自動車の利用率は驚くべきほど低い。アメリカでは、たったの5%にすぎない。
  2. この矛盾を解決するのが、完全自動運転車によるシェアである。これにより、自動車の利用率が向上し、販売台数を抑えることできる。
  3. 完全自動運転車によるシェアは、自動車業界・消費者にプラス・マイナスの影響を及ぼす。プラス面は、一人で自動車に乗れる層の拡大、事故による死傷・渋滞の抑制、自動車のイメージアップ、ビジネスモデルの刷新である。
  4. 一方でマイナス面は、購入されなくなることによる販売台数・売上の減少と、アプリを通じた利用により蓄積される個人情報・属性の流出懸念である。
  5. 自動車業界のみならず、各業界で自動化が進めば、既存のビジネスモデルは崩れる一方で、ビジネスチャンスは広がることだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

コストコで買ったゆずポン酢が、最高によかった。

これまでは、ミツカンの業務用ゆずポン酢を使っていたのですが、今回は少し割高の寺岡の牡蠣だし入りゆずポン酢を購入。

割高とは言っても、さすがコストコだけあって、家庭用のゆずポン酢よりは割安ですよ。

瓶入りで高級感のあるデザインは、開封すると、ゆずの強烈な香りに襲われます。

どんだけゆず入れるねんと、思うほどで、その香りを嗅ぐだけで、幸せな気分になるほど。

水炊きの後の雑炊に少し垂らすと、別の料理になったかと思うほどの美味しさでした。

家庭用もあるようなので、ゆず好きの人は是非。

寺岡家の牡蠣だし柚子ぽんず

楽天市場でも売っていますよ。

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

また風邪を引きました。

夏から数えて3度目です。

今回は、ちょっと温かいと判断して、薄着をして散歩したのが原因。

少しでも寒気がしたら、もう風邪まっしぐらです。

それにしても、これまで風邪の症状が出るにしても1・2月に一度あるぐらいで、ほとんど風邪を引かなかった記憶しかありません。

なぜここまで弱くなったのか?

これを機会に、運動を日課(週課)にした方がいいのでしょうね。

まずはストレッチから。

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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