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【940号】アマゾンの侵食を受けずに成長する小売チェーンの共通点とは?

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◎本日のニュース

1)見出し

These Brick-and-Mortar Stores Are Amazon-Proof

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2)要約

アマゾン・ドット・コム社は、その高い成長率を維持するために、新たなカテゴリーに進出している。しかも、薄利による進出のため、既存企業は大きな悪影響を受けている。一方で、防御に成功している実店舗型小売チェーンも存在する。

ダイヤモンドリングのシグネット・ジュエラーズは、比較的景気変動を受けないブライダルビジネスで売上の半分以上を稼ぐ。化粧品販売のアルタ・サロン・コスメティック&フレグランスは、肌の色に合う化粧品の提案販売を、家賃の低い郊外大型店で行っている。手作り品販売のマイケルズ・カンパニーズ社は、無名ブランドの商材を豊富な品揃えで販売している。

3)キーとなる英文

But while the challenges facing the latter group seem to mount daily, there are still some retailers whose turf looks defensible.

4)キーとなる英文の和訳

後者のグループに直面する課題は、日に日に増加しているようである。

一方で、防御可能に見えるカテゴリーの小売企業も依然存在している。

5)気になる単語・表現

solace 名詞 慰め、安堵
thigh 名詞 もも
revelation 名詞 意外な新事実
feature 他動詞 ~を呼び物にする、~を特集する
proliferate 自動詞 激増する
anachronistic 形容詞 時代錯誤の、時代遅れの
rarefied 形容詞 高尚な;お高くとまっている
haberdashery 名詞 紳士用服飾店
complement 他動詞 ~を完全にする、~を補足する
vein 名詞 傾向;静脈
finer 形容詞 高潔な
tip 他動詞 ~の先を切り取る;~の先に付ける
edification 名詞 教化;啓発
ensemble 名詞 アンサンブル;全体

(今回ピックアップ英単語)

【consistent】

(意味)

「~と一致する(with),調和する」「一貫した、変わらない」

(英英)

  • always behaving in the same way, or having the some opinions, standards
  • happening in the same way and continuing for a period of time
  • agreement with something; not contradicting something

(反対語)

inconsistent

(類義語)

「一貫した」consecutive, consequent

「一致する、一致した」agreeable, identical, correspondent, unanimous, solid

「堅実な」solid, sound

「辻褄が合う」hang together, join the flats

「両立する」compatible, go together

(コメント)

キーワードは、「同じ、一致した(the same)」。矛盾してない。

6)ビジネスのヒント

前 回に引き続き、実店舗小売について。ネット通販最大手のアマゾンの急成長ぶりは、依然衰えず、直近四半期でも年率約20%の売上増加率を誇っています。こ の成長性をキープするために、アマゾンは新たな小売カテゴリーに進出。例えば、生鮮品の宅配やアパレル・ファッションアイテムの販売、家具・マット販売な ど。憎らしいのは、アマゾンの投資家が利益率よりも売上増加率を重視しているために、薄利で進出している点。このとばっちりを食らうのは、既存企業であり ます。記事でも表現されているように、アメリカ小売業界は、「アマゾンか、アマゾン以外か」とされるほど、後者はアマゾンの侵食を受ける立場に追いやられ ているのです。

一方で、アマゾンの侵食を受けずに守りに成功している企業もあります。しかも、実店舗型の小売チェーン。その共通点から、実店舗型小売の生き残り策が見えてくるのではないでしょうか。

記事で紹介されている、アマゾンの侵食から防御に成功している3企業をまとめると、次のようになります。

【アマゾンの侵食を受けない実店舗型小売チェーン】

  • シグネット・ジュエラーズ(ダイヤモンドリング販売)

アメリカ・カナダ・英国に約3600店舗を展開。顧客ターゲットは中間層で、売上の半分以上がウェディングビジネスから。為替の影響は小さく、観光客への依存度は低い。ここ最近は、既存店売上高がコンスタントに3~5%増。

  • アルタ・サロン・コスメティック&フレグランス(化粧品販売)

全米に約860店舗を展開。大部分は郊外型大型店舗。家賃が低いために、収益性は高い。顧客ターゲットは、低~中間所得層。

  • マイケルズ・カンパニーズ社(手作り関連品販売)

比較的購入頻度が低く、無名ブランドの商品を幅広く販売。必需品ではないが、単価が高くないために、景気変動・天候・ファッショントレンドの影響を受けにくい。収益性よりも安定性に定評。

1 について、比較されるのが、世界的ブランドのティファニー。観光客への販売の多いティファニーがドル高の悪影響を受けているのに対し、ウェディングリング 主体のシグネットは、為替の影響をあまり受けません。だから、コンスタントに既存店売上高はプラスで推移しています。予想株価収益率(予想PER)は、 ティファニーが18倍に対して、15倍。小安定的に収益を拡大しているだけに、世界的ブランドに負けずに高い評価を受けていると言えるでしょう。

2 について、肌の色合いにあった化粧品を提案販売することは、ネット通販には真似のしにくいことです。アルタは、それだけではなく、家賃の低い郊外に大型店 を出店することで、高い収益性も誇っています。1平方フィート当りの家賃は、上場専門店16社の平均が約67ドルで中間値が約43ドルなのに対し、アルタ は約21ドル。この固定費の低さは、利益増加率に大きく寄与します。高収益ゆえに、株価にはプレミアムが付いて、予想PERは30倍にも達しています。

3 について、マイケルズは、価格競争に陥りやすい有名ブランドではなく、無名ブランドの手作り関連品を品揃え豊富に販売しています。生活必需品ではないもの の、単価が高くないために、景気変動・天候・ファッショントレンドの影響は小さいという安定性を持ちます。さらに、高いコストを掛けるのではなく、ディス プレーを新たに加えるだけで売場を新しくできるため、高い収益性も兼ね備えます。どちらかというと、安定性を評価されているために、予想PERは11.5 倍と低い数値になっています。

記事では、これらの共通点を「防波堤」としか書かれてありません。私なりに共通点を見出すとすれば、

提案能力を必要とする専門性の高さ

知名度の高さよりも、品質の高さ・合致を優先

となるでしょうか。

3 社とも、スペシャリティ・ショップ(専門店)です。しかも、その専門性は高く、有名ブランドなど知名度や人気の高さよりも、その品質の高さ・納得さで購入 が決定されるという特徴を持ちます。好例が、シグネットでしょう。知名度の高さではティファニーに劣るものの、ウェディングリングに特化することで、一生 に一度(?)の商品の提案に力を注いでいます。化粧品販売のアルタも、顧客の肌の色合いに一番しっくりする商品の提案がその魅力でしょうか。マイケルズ は、有名ブランドがあまり見当たらない手作り品関連市場なので、豊富な品揃えで提案力を補足しています。

提案力が要求されるカテゴリーだけに、価格競争には陥りにくい。だから、低価格で市場シェアを拡大するというビジネスモデルで成功したアマゾンは、なかなか進出しにくいのです。

また、いずれも、

購入頻度・ブランドスイッチが低いために、手に取って確認したいというニーズが高い

カ テゴリーである点も見逃せません。ウェディングリングならば、一生にさほど購入機会がありません。化粧品も、自分に合ったものが見つかれば、ブランドを変 えることは少ないでしょう。手作り関連品は、購入頻度がそもそも低いカテゴリーです。購入頻度・ブランドスイッチが低いからこそ、手に取って確認したいと いうニーズが高くなります。

ネット通販比率の低い日本でも、アマゾンなど大手ネット専業の新市場進出は今後増えるこ とでしょう。その侵食を受けにくくするためには、「専門性の高さ」「購入頻度・ブランドスイッチの低さ」という特徴を持つ商材を扱う必要があるのかもしれ ません。もちろん、その際に提案力の向上は欠かせません。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. アマゾンは、その成長力の高さを維持するために、新市場に薄利で進出している。よって、既存の実店舗型小売企業は大きな悪影響を受けている。
  2. 一方で、アマゾンからの防御に成功している実店舗型小売チェーンも存在している。それは、ダイヤモンドリングのシグネット・ジュエラーズ、化粧品販売のアルタ・サロン・コスメティックス・フレグランス、手作り品関連品販売のマイケルズ・カンパニーズ社である。
  3. シグネットはブライダルリングに特化、アルタは低家賃の郊外大型店主体のため高い収益性、マイケルズは景気・天候・ファッショントレンドの変更を受けにくい安定性が、魅力である。
  4. その共通点は、提案力を必要とする専門性の高さである。そのため、価格よりも品質を重視されるので、価格競争に陥りにくい。
  5. さらに、購入頻度・ブランドスイッチが低いために、一度手に取って確認したいというニーズが高い。よって、ネットよりも実店舗に軍配が上がる。
  6. 提案力を伴った上で、専門性が高く、購入頻度・ブランドスイッチの低い商材を扱ったならば、ネット通販の侵食から防御できるかもしれない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

コストコで買ったゆずポン酢が、最高によかった。

これまでは、ミツカンの業務用ゆずポン酢を使っていたのですが、今回は少し割高の寺岡の牡蠣だし入りゆずポン酢を購入。

割高とは言っても、さすがコストコだけあって、家庭用のゆずポン酢よりは割安ですよ。

瓶入りで高級感のあるデザインは、開封すると、ゆずの強烈な香りに襲われます。

どんだけゆず入れるねんと、思うほどで、その香りを嗅ぐだけで、幸せな気分になるほど。

水炊きの後の雑炊に少し垂らすと、別の料理になったかと思うほどの美味しさでした。

家庭用もあるようなので、ゆず好きの人は是非。

寺岡家の牡蠣だし柚子ぽんず

楽天市場でも売っていますよ。

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

あけまして、おめでとうございます。

2008年に始めたこのメルマガも、今年で8年目を迎えました。

週一回更新から始まり、一時は簡易版の発行も行ったものの、週二回に落ち着きました。

最近、少し負担を感じるので、また週一回に戻るかもしれませんが、継続を最優先したいと思います。

ご意見・ご感想があれば、いつでもどうぞ。

今年もよろしくお願いいたします。

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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