【1100号】アメリカ農業経営者が、気候変動対策として品種改良に期待しない理由とは？

 

 

※火曜日は簡易版に変更しました。

◎本日のニュース

1)見出し

Farmers Scramble to Adapt to Volatile Weather

 

 

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2)ビジネスのヒント

アメリカ農業経営者（”farmers”ですが、規模から考えて、「農家」とよりも「農業経営者」の方が適切）にとって、気候変動の大きさは頭が痛い問題のようです。そのきっかけとなったのが、2012年の記録的な猛暑と干ばつ。この”天災”は、318億ドルもの被害を及ぼし、1980年の記録開始以来7番目に大きな被害額だったようです。

 

これがターニングポイントとなり、アメリカの農業経営者は、気候変動は今後も起こるものと考えるようになり、自衛するようになりました。興味深いのは、気候変動を異変ではなく、「ニューノーマル」と捉えるようになった点。気候変動対策が、常時必須のものとなり、必要経費となったため、穀物など農作物価格上昇を招いたと考えられます。

 

ここで注意したいのは、農業経営者が農業関連企業による品種改良ではなく、自らの工夫で自衛しているという点。モンサントなど巨大なアグリビジネスが存在するアメリカでは、品種改良も盛んと思われますが、農業経営者は自衛の道を選びました。その理由は明快です。

 

【農業経営者が気候変動対策として品種改良に期待しない理由】

新しい品種の開発と半ビアまでに数十年かかり、その間に気候がさらに変わっている可能性がたかいため。

 

つまり、スピーディーに対応できないからです。品種改良を待っていれば、その間の気候変動の被害をまともに食らうことになり、農業ビジネスの利益率が低下します。さらに、品種改良には時間が掛かり、その間に気候がさらに変動し、改良が意味をなさない恐れがあるからです。

 

アメリカ農業経営者が行う具体的な自衛策をまとめると、以下のようになります。

 

【気候変動への自衛策】

1. 古典的手法により、土壌の水分を維持する
2. 先進的手法により、栽培スピードを速くする
3. より効果的な灌漑を行う

 

1について、古典的手法とは、収穫後に畑に残ったものすべて取り除くのではなく、茎と根を残すという方法。これにより、土壌に水分を溜まりやすくします。この結果、干ばつに対応できます。

 

2について、先進的手法とは、GPSや衛生受信プランターの使用です。これにより、より早く・より正確に播種し、速く栽培ができるようになります。この結果、急激な気候変動の影響を小さくできます。

 

3について、ミストシステム（霧吹きのようなもの？）を使って、一時的に発育を休止することで、早霜から農作物を守ることができます。農作物は、急激な気温変動に弱いため、この奇策が機能するのです。

 

【注目点】

1. 古典的手法こそ、費用対効果は大きい。
2. スピードは農業でも利益を生み出す。
3. 商品開発よりも、生産・販売など方法の改良こそ、環境の変化に即座に対応できる。

 

1について、ついついITなどを使った先進的手法に目が行きがちですが、古典的手法こそ大きな設備投資などいらずに効果を生み出せるものです。

 

2について、他の業界同様に農業でもスピードは有効なようです。単純に、スピードを速めることにより、生産に掛かる時間は短くなり、時間当りの生産量は増えます。

 

3について、農業だけに関わらず、新商品の開発よりも、既存商品の生産・販売の改良の方が、即実行可能です。改良を含めた商品開発は、研究開発を伴うこともあり、とかく時間が掛かるもの。手法・仕組みなどソフト面の改善こそ、急速な環境変化の対応に力を発揮するのです。

 

農業のビジネスの1つ。農業の最新事情は、他の業界でも活用できそうです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

アメリカの農業経営者が、気候変動対策として、品種改良ではなく自衛を選んだのは、急激な環境変化に対してよりスピーディーに対応できるから。

スピードはどの業界でも利益を生み出す。

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「社長室の冬」は原作がありますので、書籍でも読めますよ。

 

 

編集後記

日本でも、雨が少ないかと思えば、ゲリラ豪雨や洪水が起こり、気候変動は大きくなっています。

食料にとって、このような外部環境の変化は、コストアップ要因。

何も無ければ、自然にインフレになっていくのでしょうね。

 

 

 

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