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【487号】スペインでノンアルコールビール市場が大きな理由とは?

ノンアルコールビール(from flickr)

◎本日のニュース

1)見出し
Taking the Buzz Out of the Beer

【出典】
goo.gl/YNZte

2)要約
欧州の大手ビールメーカーが、

ノンアルコールビールの販売に力を入れている。
また、ノンアルコールビールの個人消費量が世界一のスペイン市場を、
その販売戦略のモデルとしている。

ノンアルコールビールに力を入れる理由は、
自国で低迷するビール販売を補うためである。
さらに、外部環境では、消費者の健康志向、
ノンアルコール飲料の女性への人気、
高齢者の需要、運転手への需要などがあり、
ノンアルコールビール人気につながっている。
一方、内部環境では、その利益率の高さがメーカーの販売意欲を駆り立てる。
それは、酒税がかからないにもかかわらず、
ビールと同等の価格で売れ、しかも値引き対象になりにくいからである。

ノンアルコールビールの問題点は、市場が小さいことである。
しかし、スペインは、総ビール市場の13%もノンアルコールビールが占めている。
そのため、大手ビールメーカーは、フレーバーの付いた
ノンアルコールビールを販売するなど、
スペインで成功した手法を他国に導入している。

他方、ビールは、消費者の節約志向により売上が停滞している。
ただし、これは先進国でのこと。新興国では、
人口増加・中間層の出現により、今後大きな成長が見込める
重要な商品として位置づけされている。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
To help combat flat sales at home, brewers are looking to
Spain as a model for marketing nonalcohol beer.

4)キーとなる英文の和訳
自国で横ばいする売上を伸ばそうと、ビールメーカーは、
ノンアルコールビール販売モデルとして、スペイン市場に注目している。

5)気になる単語・表現
combat  他動詞     ~と戦う
look to 自動詞句    ~に立ち向かう

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
欧州の大手ビールメーカーによるノンアルコールビール強化の動きについて、
以下のような事例が紹介されている。
◯ハイネケン社(オランダ Heineken NV): 2008年以降、オランダ・イタリアなどで、
10種類以上のノンアルコールビールを販売。
◯カールスバーグ社(デンマーク Carsberg A/S):最近、ノルウェー・フィンランドなどで
ノンアルコールビールを発売。
◯アンハイザー・ブッシュ・インベブ社(ベルギー Anheuser-Busch InBev NV):
今年、ベルギーで、ヒューガルデン(Hoegaarden)ブランドのノンアルコールビールを発売。
ピルスナーに味が似たノンアルコールのビール系清涼飲料水、
ジュピラーフォース(Jupiler Force)を発表。

大手ビールメーカーがノンアルコールビールに力を入れるのは、
通常のビールの売上が低迷するからである。
西欧でのビール小売販売数量は、過去5年間で7%減少し、
273億リットルに縮小。一方、ノンアルコールビールは37%も上昇し、
5億5250万リットルに伸びている。
さらに、2015年までに全ビール市場は2010年比で7%縮小するのに対し、
ノンアルコール・低アルコールビール市場は1%拡大するとされている。

このようにノンアルコールビール市場は拡大しているのであるが、
その要因をメーカーから見た外部要因・内部要因に分けて説明すると、
以下のようになる。
【外部要因】
1.消費者の健康志向の高まり:一方でアルコール離れを引き起こす
2.女性への人気の高まり:飲みやすいから
3.ビールを飲めなくなった高齢者の需要の拡大期待
4.これまで炭酸飲料やジュースを飲んでいた運転手への人気
【内部要因】
1.利益率がビールよりも高い:ノンアルコールのため酒税が低いにもかかわらず、
ビールと同等の価格で売れ、値引き対象になりにくいから。

健康志向の高まりは大きな消費トレンドであるが、
メーカーにとって利益率の高さは大きな魅力である。
特に、値引きされにくいことにで、
長期間に渡って利益を確保しやすくなる。
一方で、ビールは目玉商品として値引きされやすいので、
メーカーが力を入れる理由がよくわかる。

ただし、ノンアルコール市場に問題がないわけではない。
その問題とは、市場規模の小ささである。記事によると、
西欧諸国全体では、ビール全体の2%にも満たないという。
いくら利益率が高いといっても、
2%にも満たない市場では全体の利益に対するインパクトは小さい。
そこで、ノンアルコールビール大国のスペイン市場に注目することになる。

スペインでは、ノンアルコールビールはビール全体の約13%も占める。
西欧諸国全体の6倍以上もの大きさ。
しかも、ノンアルコールビールの歴史はそれほど長くはない。
1980年代に売り場に登場し、本格的に売れたのは10年前から。

この短期間の間に市場が大きくなった理由として、3つ挙げられる。それは、
1.飲酒運転撲滅のため、政府とメーカーが広告キャンペーンを始めたから。
2.スーパー・コンビニエンスストアだけでなく、
大部分のバーやレストランで飲めるから。
3.活発な商品開発により、ビールの味に近い商品や
フレーバー付き商品などニーズにマッチする商品を発売したから。
である。

1については、政府によるお墨付きをもらうとおもに、
ノンアルコールビールを飲む大義名分を伝えることになる。
社会の善につながる商品として位置づければ、
より多くの人からの支持を受けやすい。

2により、ノンアルコールビールへのアクセスは容易になった。
ノンアルコールビールがないからといって、
別のお店に行く人は少ない。なければ、炭酸飲料やジュースを飲むであろう。
ノンアルコールビールを飲める場所を増やすことにより、
この「ビールを飲みたくてもビールを飲めなくて、
これまで清涼飲料を飲んでいた」人の隠れた需要を引き出すことができる。

最後に3であるが、ノンアルコールビールの品質に関するものである。
より消費者が望むような味(この場合ではビールにより近い味、
フレーバーに付いた味)を付けることで、
ノンアルコールビールに不満を持っていたビール愛好家だけでなく
苦いビールよりも甘いカクテルが好きな若者にも、
売れることになる。これまで見向きもしなかった消費者の需要を、
喚起することになる。

このようにスペインにおけるノンアルコールビールの成功は、
1.大義名分
2.アクセスしやすさ
3.需要喚起につながる商品開発
により可能になった。ノンアルコールビールだけでなく、
その他食品(飲料・酒類を含む)にも、
この成功事例・成功法則は応用できるだろう。

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《今回のヒントのまとめ》

1)欧州の大手ビールメーカーがノンアルコールビールに力を入れるのは、
普通のビール市場が低迷する一方で、
ノンアルコールビール市場が伸びているからである。

2)それ以上に力を入れる大きな要因は、
ノンアルコールビールの利益率が高いからである。
特に、値引き対象になりにくい点は、
長期に渡る高い利益率につながり、
ビールメーカーにとって大きな魅力である。

3)しかし、ノンアルコールビール市場にも問題がある。
それは、市場の小ささである。
西欧諸国におけるビール全体の市場に占める割合は、
2%にも満たない。

4)一方で、スペインは、ノンアルコールビール販売の歴史が
それほど長いわけでもないのに、
ビール全体の市場に占める割合は約13%にも及ぶ。

5)スペインでノンアルコール市場が大きく拡大したのは、
「ノンアルコールビールを飲む大義名分を伝えたから」
「小売店だけでなく飲食店でも普通に飲めるようになったから」
ビールに近い味やフレーバー付き商品など需要を喚起する商品開発を行ったから」
という3つの要因による。

6)この「大義名分」「アクセスのしやすさ」
「需要喚起につながる商品開発」は、ノンアルコールビールだけでなく、
その他の食品の販売にも応用できるだろう。

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6)おすすめ商品・サービス

◎Winecarte 簡単ワインの選び方
一番新しい記事は、

ロジャー・グラート・カヴァ・ロゼ・ブリュット2007
(Roger Goulart Cava Rose Brut 2007)
goo.gl/vWkeH
です。

最近、ワインを勉強しています。
それをアウトプットする意味でも、
ワインのサイトを始めました。
焦らず少しずつ作成する予定です。
wine.ryotarotakao.com/

編集後記
こんばんは、高尾です。
ノンアルコールビール、日本でのじわじわと売り場を広げています。
コンビニでは、1段はノンアルコールビールで埋められています。
次は、フレーバー付きが発売されるのでしょうか。
注目です。

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