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【570号】電力会社が小売企業と提携する理由とは?

By ell brown

 

◎本日のニュース

1)見出し
Electricity? That’s in Aisle 5.
【出典】
goo.gl/dv1qd

 

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2)要約
世界中で、電力会社と小売企業との提携が進んでいる。
この提携により、電力サービス・

電力関連商品が小売店で販売されている。

このような提携が可能になるのは、電力会社・小売企業双方に
メリットがあるからである。電力会社にとっては、
小売企業の優れたカスタマーサービスと消費者へのブランドを
活用することができる。一方、小売企業は、
家庭用の電力関連市場という成長市場に参入することができる。

この背景には、規制緩和により電力市場に競争原理が
働くようになったということがある。そのため、
電力会社は、顧客離れを防ぐために、
小売店の店頭を通じて顧客ロイヤリティをつくり上げる必要が出てきた。
また、燃料価格の上昇という問題も影響している。その結果、
利益が圧縮される電力会社は、新たな収益源が必要になり、
電力関連商品の販売に活路を見出すことになった。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Utilities around the globe are teaming up
with retailers such as Marks & Spencer Group PLC in Britain,
Coles Supermarkets in Australia and Best Buy Co. in the U.S.
to sell energy and related products directly to consumers.

4)キーとなる英文の和訳
世界中の電力会社は、英国のマークス・アンド・スペンサーグループ社や、
オーストラリアのコールズスーパーマーケッツ、
アメリカのベストバイ社のような小売企業と提携している。
その目的は、電力と電力関連商品を直接消費者に
販売するためである。

5)気になる単語・表現
utility名詞公益事業
energy名詞エネルギー;精力
team up with自動詞句~と強力する;~と調和する

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
世界中で、電力会社と小売企業との提携が進んでいるという。
その例として、

英国→マークス・アンド・スペンサーグループ社(GMS)
オーストラリア→コールズスーパーマーケッツ(スーパーマーケット)
米国→ベストバイ社(家電量販店)

が取り上げられている。これらの小売店で、電力サービスや
電力関連商品が販売されている。電力関連商品とは、
節電機器・ソーラーパネル・絶縁体・スマートメーターなど。

電力会社が小売企業と提携に至った原因には、
次の二点が挙げられる。

◯規制緩和により独占市場から競争市場に変化したから。
◯燃料価格上昇により利益率が低下したので、
新たな収益源が必要になったから。

いずれも外部環境の変化。前者により、
既存顧客を競合他社に奪われる可能性が出てきた。
顧客流出を防ぐためには、顧客ロイヤリティを作り上げる必要がある。
その方法として、顧客との接点がある小売店と提携した。
店頭に自社の電力サービスや電力関連商品が並ぶことにより、
顧客が自社ブランドと接する機会を増やすことができる。また、
すでに顧客ロイヤリティを確立している提携先小売企業のブランド
活用することで、新規顧客を獲得することも可能である。さらに、
店頭で電力関連商品と電力サービスをパッケージにすることにより
目に見えない電力サービスが売りやすくなる。

後者について、新たな収益源になるのは、電力関連商品である。
特に節約に結びつくスマートメーターのような商品は、
購入者にとって経済的にプラスになるので、販売しやすい。一方、
電力会社にとっては、電力供給による売上が減る一方で、
機器の売上・サービスの月額利用料金という新たな収益源の獲得になる。

ただ、小売企業のマーケティング力なしには、
この提携は進まなかったように感じる。マーケティング力とは、

1.ターゲットのニーズを見出す
2.ニーズを満たす商品を開発・販売する
3.顧客ロイヤリティを形成・高める

という三点を示す。この三点を小売企業が持っているからこそ、
電力会社は小売企業と提携するようになった。
記事で示された次のような事例は、小売企業のマーケティング力を
うまく活用している。

AGLエネルギー社とコールズスーパーマーケッツとの提携
→コールズのポイントプログラムを活用
◯AGLの顧客は、コールズで使えるポイントが付与される。
◯コールズの顧客は、AGLと契約すればポイントがもらえる。
◯ポイントプログラム活用により、オーガニック商品をより多く購入する
顧客ほど、ソーラーパネルを購入しやすいことがわかった。

この事例では、ポイントプログラムというコールズスーパーマーケッツの
マーケティング力が活用されている。ポイントプログラムが無ければ、
オーガニック商品ユーザーとソーラーパネル売上の関係はわからなかっただろう。
もちろん、ポイントプログラムユーザーというコールズスーパーマーケッツの
顧客数がその前提となるが、多くの顧客を獲得できたのは、
コールズスーパーマーケッツがニーズを見出し、
そのニーズを満たす商品を開発(PBの場合)・
販売してきたからである。

小売企業は、そのマーケティング力を活用すれば、
単にモノを販売する以上の収益を挙げられるのではないか。
逆に言えば、マーケティング力に劣る小売企業は、淘汰されることになる。

Coles Supermarkets www.coles.com.au/
Marks & Spencer  www.marksandspencer.com/
Best Buy www.bestbuy.com/

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《今回のヒントのまとめ》
1)電力会社が小売企業と提携した理由は、規制緩和による
競争市場への変化に対応するためであり、またコスト上昇による
新たな収益源の確保のためである。

2)小売企業のマーケティング力を活用すれば、電力会社は、
顧客ロイヤリティの形成・向上が容易になる。また、
小売企業のブランドを活用すれば、新たな顧客を獲得できる。

3)このように、ニーズを見出し、ニーズを満たす商品を開発・販売し、
顧客ロイヤリティを形成・高めるマーケティング力は、
小売企業の大きな強みである。

4)この強みを活かせば、モノを販売する以上の収益を
上げられるのではないか。逆に、マーケティング力が劣れば、
淘汰されることになる。

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編集後記
電力関連商品の小売店での販売は、日本でも家電量販店や
ホームセンターで起こっています。
これが、スーパーにまで広がることは疑問ですが、
イオン・セブンあたりはその認知度を利用して、
販売を手がけるでしょう。
電力サービスそのものは、前提となる規制緩和が
まだまだ不足しているので、当分地域独占が続くんでしょうね。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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