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【691号】アメリカ・サラダ市場が教えてくれるスーパーにおける売場の変化

ドレッシングのかかった美味しそうなサラダ

by courtesy of Geoff Peters

◎本日のニュース

1)見出し
Salad Dressings Are Getting Squeezed

 

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2)要約

ユニリーバ社が、サラダ用ドレッシングのウィッシュボーン事業の、ピナクル・フーズ社への売却を発表した。この再編劇は、従来型ドレッシングの低迷を象徴している。

 

ドレッシング市場では、ストアブランドであるPB商品のシェアが拡大している。その要因は、節約志向を強めた消費者による支持の高さであり、NB商品との違いを見いだせないために、景気回復後も使い続けているからである。

 

また、新鮮・有機という特徴を持つプレミアムブランドも、シェアを拡大している。こちらは、富裕層を惹きつけている。この中で、従来型の中間価格帯ブランドは苦戦を強いられている。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Private-label dressings are peeling away budget-conscious consumers, and upscale brands with fresh, organic offerings are luring high-end shoppers.

 

4)キーとなる英文の和訳

PBドレッシングは、節約志向の強い消費者を奪い取っている。

また、新鮮・有機を売り物にする高級ブランドは、富裕層の心を惹きつけている。

 

5)気になる単語・表現

peel away 他動詞句 ~をむきとる;~を剥がす
offering 名詞 売り物;提供
lure 他動詞 ~を誘惑する、~を誘い込む

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

アメリカのサラダ用ドレッシング市場で、従来型のドレッシングが苦戦しています。その背景には、低価格のPB商品と高価格のプレミアム商品の躍進があるそうです。両者のシェアが拡大している要因をまとめると、次のようになります。

 

【PB商品・プレミアム商品のシェア拡大要因】

[PB商品]景気後退期に買い始めた節約志向の強い消費者が、景気回復後も購入を継続しているから

[プレミアム商品]新鮮・有機という特徴が富裕層を魅了しているから

 

つまり、消費者の中で起こった二極化に、PB商品・プレミアム商品が合致しているから売れており、一方で、中間価格帯の従来型ドレッシングは、いずれの層のニーズにも合わず、苦戦していることがわかります。

 

従来型商品・PB商品・プレミアム商品に関する数字が、記事には取り上げられていました。まとめると、次のようになります。

 

【ドレッシング市場における各種データ】

[従来型]クラフト・フーズ・グループ社(Kraft Foods Group Inc.)は、ドレッシング部門の売上低迷のせいで、直近四半期の加工食品事業の売上が6.8%減少。クラフト・フーズにとって、加工食品事業最大の事業。

[PB]ビネガー型を除いた全米ドレッシング市場でのシェアが、5年前の10.3%から昨年は14.4%に拡大。

[従来型]ウィッシュボーン(Wish-Bone)ブランドは、同期間で10.6%から9.1%に減少。

[従来型]クラフト・フーズのドレッシング全ブランドは、同区間で25.1%から19.6%に減少。

[従来型]クロロックス社(Clorox Co.)のヒドゥン・バレー(Hidden Valley)は、同区間で25.4%から28.7%に拡大。

[プレミアム]従来型ドレッシングの2~3倍のスピードで成長。

 

従来型のヒドゥン・バレーのデータを見て、不思議に思った人も多いかと思います。というのも、シェアを減少している従来型の中で、唯一シェアを拡大しているからです。これには、中間価格帯ドレッシングを売る秘訣が隠されています。

 

ヒドゥン・バレーのドレッシングのシェアが拡大しているのは、価格以外で差別化を行なっているからです。具体的には、ランチドレッシングでより濃厚・クリーミーな商品を発売することで、消費者の支持を得ているようです。ウィッシュボーンも、バッファローランチのような独自フレーバーの発売により、テコ入れをしているようです。

 

しかし、このようなフレーバーの差別化も、今後シェア拡大に寄与するかはかなり疑問です。それは、スーパーにおいて売場に大きな変化が起きているからです。その変化をまとめると、次のようになります。

 

【アメリカのスーパーにおける売場の変化】

店舗中央の加工食品売場の縮小

生鮮売場の拡大

 

つまり、スーパー側が、加工食品よりも生鮮品の販売に力を入れるのです。その理由について、記事では説明されていませんが、恐らく加工食品が価格競争に陥る可能性が高いのに対し、生鮮品は価格ではなく鮮度で勝負できるからではないでしょうか。そして、この売場の変化は、ドレッシング市場のシェア変動に合致していることがわかります。

 

【売場の変化とドレッシング市場のシェア変動の関係】

[PB]従来型のNBよりも利益率が高いために、縮小された加工食品売場でも優先的に販売される

[プレミアム]青果売場近くの冷蔵ケースで販売されることが多いため、生鮮売場拡大の追い風を受ける

[従来型]加工食品売場縮小の悪影響をもろに受け、取扱商品数自体が減少している

 

つまり、従来型のNBドレッシングは、いくら価格以外で差別化しても、売場面積が減少しているので、棚に並ぶ事自体が難しくなっているのです。だからこそ、シェア上位のヒドゥン・バレーやウィッシュボーンはフレーバーの差別化で成功しているものの、シェア下位のブランドは同じ成功事例が適用される保証はないのです。

 

消費者の懐事情やニーズの変化によって、ドレッシング市場のシェアに大きな変動が起こったのは事実です。しかし、売場の変化も、ブランドシェアの変化に大きな影響を及ぼしているのではないでしょうか。

 

Wish-Bone www.wish-bone.com/

Pinnacle Foods pinnaclefoods.com/

Kraft Foodsのドレッシング www.kraftrecipes.com/cooking-tips/foodbasics/saladcenter/salad-dressing.aspx

Hidden Valley www.hiddenvalley.com/

Bolthouse Farms(プレミアムブランド) www.bolthouse.com/

 

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《今回のヒントのまとめ》

アメリカのサラダ用ドレッシング市場で、シェアの大きな変動が起きている。その変動とは、低価格帯のPB商品と高価格帯のプレミアム商品のシェアが拡大する一方で、中間価格帯のNB商品のシェアが縮小しているということである。

この要因は、PB商品が節約志向の強い消費者を、プレミアム品が品質重視の富裕層を惹きつけており、中間価格帯のユーザーから顧客を奪っているからである。

売場の変化も、シェアの変動に大きく寄与しているだろう。つまり、スーパー側は、店舗中央の加工食品売場を縮小する一方で、生鮮売場を拡大している。

これにより、より利益率の高いPB商品や青果売場近くの冷蔵ケースで販売されるプレミアム商品が売場を確保できる一方で、従来型NB商品は売場確保が難しくなっている。

売場の確保が難しければ、いくらフレーバーで差別化しても、シェア回復は難しいだろう。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

最近こちらの本を読みました。

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また、デフレの中値上がりを続ける大学の授業料が、今後どうなるかの予想もとても興味深かったです。

文庫本でも読めるので、旅行のお供にいいかと思います。

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◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

 

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

 

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

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編集後記

日本では、スーパーだけでなく、無印良品やカルディファームでもドレッシングが売っています。

ドレッシングが変われば、サラダ全体の満足度も大きく変わることを考えれば、ドレッシングは価格よりも品質重視になっても不思議ではありません。

とは言っても、懐事情という制約もあります。

日本も、アメリカのように、安いPB商品と美味しいプレミアム品に二極化しても不思議ではありません。

 

 

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