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【716号】航空会社がビッグデータ活用に力を注ぐ本当の理由

機内のiPad

by courtesy of Global X

 

◎本日のニュース

1)見出し 
How Airlines Mine Personal Data In-Flight

 

 

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2)要約

航空会社が、搭乗客の個人データの有効利用に着目している。従来は搭乗客のデータを、収集した場面ごとに個別管理していたが、それを一つに統合。乗務員は、機内からそのデータにアクセスできる。

 

統合した個人データを活用することにより、顧客に応じた機内サービスを提供することができる。また、購入履歴を活用して、機内販売の売上を伸ばすことも可能だろう。

 

一方で、航空会社が個人情報を収集することに不安を感じる消費者もいる。また一般的に、航空会社によるデータプログラムから逃れられないことを、問題視する向きもある。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

After years of dithering, airlines are learning to use the wealth of customer data they collect.

 

4)キーとなる英文の和訳

長年躊躇してきた後、航空会社は、収集する顧客データという財産を活用できるようになりつつある。

 

5)気になる単語・表現

dither

自動詞

躊躇する(about, over)

learn to

他動詞句

(自分の努力で)~するようになる;~できるようになる

wealth

名詞

富、財産

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

航空会社が顧客の個人データ活用に着目できるようになった背景には、業界の安定があります。大手航空会社の破産による業界再編が進み、業績が安定し、巨額のIT投資に踏み切れるようになりました。

 

1990年代にも顧客データを保管するシステムがありましたが、有効利用できませんでした。それは、ロイヤリティプログラムや予約受付、機内での購入履歴など、収集した部門ごとに管理しており、顧客ごとに紐付けできなかったからです。IT投資に踏み切ることで、それを1つのデジタル情報に統合。固有のIDに様々な顧客情報を紐付けすることにより、顧客ごとの情報を蓄積できるようになりました。

 

この顧客情報はビッグデータに他なりません。ビッグデータ活用が叫ばれる中、十分な顧客データ量や利用機会を持つ機会が少ない中、航空会社は、データ量・利用機会双方とも恵まれています。だからこそ、顧客データの有効利用に力を注いでいるわけです。

 

そこで、航空会社が顧客データの有効利用により得られるメリットをまとめると、次のようになります。

 

【顧客データの有効利用で得られる航空会社のメリット】

[1]    顧客に応じたサービスを提供でき、リピーター・ファンを増加させることできる

[2]    機内売上を伸ばすことができる

 

そのメリットは、もちろん収益拡大です。1は、無料で提供される顧客サービスを充実させることで、リピーターやファンを増やすことできます。例えば、カプチーノを注文した顧客の次のフライトで、カプチーノを勧めれば、顧客はそのサービスに感動し、また利用しようと思うでしょう。

 

2は、有料サービスである機内販売の活性化です。顧客本人や似た属性の搭乗客の購入履歴を活用することで、より購入確率の高い商品の在庫を持ち、売上を伸ばすことができます。この機内販売、実は絶好の販売機会なのです。というのも、支払能力の高い消費者や財布の紐が緩んでいる消費者が、長時間一つの場所に居続けているからです。

 

ビジネス客ならば、それなりの収入があることが多く、支払能力は高いでしょう。一方、レジャー客ならば、買い物機会の多い旅行なので、買い物への抵抗が小さいはずです。

 

これらの優良顧客を、長時間一つの場所に滞在させるには、通常大きなコストが掛かります。例えば、百貨店が大きなコストを掛けて物産展などのイベントを行うのも、集客し滞在時間を長くさせるため。航空会社はこれを大したコストを掛けることなく行えるので、この絶好の販売機会を、顧客データを有効利用することで、活かそうとしているのです。

 

しかし、顧客データの利用に対して、反発があるのも事実。実際、航空会社が個人情報を収集していることに不安を感じる消費者も多いとされます。問題点をまとめると、次の通り。

 

【航空会社による個人情報収集の問題点】

[1]    知られたくない情報まで知られる恐れがあるから

[2]    データ収集プログラムから逃れられないから

 

1について、例えばコーヒーの好みは知ってほしいが、飼い犬の名前まで知られたくないという、消費者の意見があります。積極的に伝えたことではない情報を利用することには、慎重になることが必要とされるでしょう。

 

2については、自分のデータを利用して欲しくない人でも、勝手にデータが蓄積されるという点。この点に着目して、今後オプトアウト(許可があった場合のみデータ活用する)を採用する航空会社が出てくるかもしれません。

 

顧客の反発というリスクがあるものの、小売チェーンなど購入履歴を活用している企業が増えている点を考えると、航空会社が、機内販売の拡大のために個人データを活用するのは必然のように思えます。そういえば、機内でのデジタル機器の利用が緩和されましたが、これも個人データ収集が目的かもしれません。

 

[紹介されていた事例]

アメリカン(American)航空→乗務員による搭乗客データ保存を禁止(朝食の注文メニューなど)

ユナイテッド・コンチネンタル(United Continental)→ウェブ・販売・モバイルアプリを再構築することで、エコノミープラスの販売が急増。より興味のある顧客にターゲットを絞って販促を行ったため。

アレジャイアントエアー(Allegiant Air)→ラスベガス拠点の小規模航空会社。行き先に応じて、機内販売商品を変える。2013年前半だけで、仕入れ商品を2100万ドルも販売。

ジェットブルー(JetBlue)→来年か乗務員にアイパッド・ミニを支給。機内販売をテコ入れするため。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

1)  航空会社が個人データ活用に力を注げるのは、業界再編により業績が安定し、IT投資に踏み切れる余裕が生まれたから。

2)  個人データ活用によるメリットは、顧客に応じたサービスを提供することで、リピーター・ファンを増やせること。また、購入履歴を活用して、機内販売を増やせること。

3)  特に、機内販売が、支払能力の高いビジネス客や財布の紐が緩むレジャー客が、長時間一箇所に滞在するという絶好の販売機会なので、個人データを有効利用できれば、売上を容易に向上させやすい。

4)  しかし、航空会社による個人データ収集に不安を感じる消費者もいる。問題点は、知られたくないことまで知られることであり、またデータ収集から逃れられない点である。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

先日、こちらの格安ワインを飲みました。

実は、カルディの特売にて500円で購入。

格安ピノ・ノワールは失敗することが多いのですが、これが意外に美味しかったんです。

カリフォルニアだったからかな。

今でも一部店舗で販売されているので、熟したピノを飲みたい人は是非。

ちなみに神戸の店舗では以前598円で販売されていました。

(今はプロパーの798円です。)

フォレストヴィル ピノ・ノワール

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

記事には、衝撃的なことが書かれてありました。

それは、搭乗客のウェブ閲覧履歴や、ファイスブック上でのいいね表示まで、蓄積されるということです。

機内でWi-Fiサービスを提供するのは、閲覧履歴を収集したいからかもしれません。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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