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【715号】米家電量販店ベストバイがショールーミングを歓迎する理由

オレンジ色のベストバイ

by courtesy of Kevin Dooley

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Fear of ‘Showrooming’ Fades

 

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2)要約

家電量販店のベストバイは、ショールーミングを促すテレビCMを放映している。以前はショールーミングを回避する方針であったため、方針を180度転換したことになる。

 

ショールーミングの活用に転じたのは、ネット通販価格に合わせる価格保証を導入した結果、店舗販売が伸びたからである。ネットで買うつもりの来店客が、実店舗で購入したことになる。

 

かと言って、ショールーミングの脅威が消滅したわけではない。クリスマス商戦におけるネット通販利用の割合は増加傾向であり、ネット通販を含むベストバイの既存店売上高は、依然マイナスが続いている。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Best Buy Co. is daring bargain hunters to use its stores as showrooms.

 

4)キーとなる英文の和訳

ベストバイ社は、バーゲンハンターに実店舗をショールームとして使うよう、強く勧めている。

 

5)気になる単語・表現

dare O to V

他動詞句

Oに~するように挑発する、強く勧める

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ベストバイ社(Best Buy Co.)社がショールーミングを推し進めるのは、ショールーミングによって収益が改善しているからに他なりません。実際、ベストバイの既存店売上高を見ると、2012年第四四半期よりマイナス幅が大きく改善しています。

Best Buy Comparable Store Sales

phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=83192&p=irol-reports

 

昨年の第四四半期と言えば、ネット通販価格に合わせる価格保証を行った期間。つまり、ショールーミングを回避すべく価格保証を実施した結果、売上が好転したことになります。だからこそ、売上拡大を目指し、今度はショールーミングを歓迎する方針に転換したのです。

 

同様のショールーミングを歓迎する方針は、他の小売チェーンにも広がっています。

 

【ショールーミングを促進する大手小売チェーン】

◯ウォルマート・ストアーズ社(Wal-Mart Stores Inc.)→来店する前にネットで調べる「逆ショールーミング」で売上拡大

◯ターゲット社(Target Corp.)→無線LANを実店舗に導入し、スマホでの商品探しを推奨

 

ショールーミングによる収益改善を受けて、ベストバイは収益拡大の方法を転換します。それは、出店による収益拡大から既存店強化による収益拡大です。具体的には、単位面積あたりの売上最大化を目指すようになりました。

 

次の方程式を見れば、単位面積あたりの売上を最大化する方法がわかるかと思います。

 

単位面積あたりの売上=既存店一店舗あたりの客数X客単価=既存店一店舗あたりの来店客X購入確率X客単価

 

価格保証を行っているので、客単価の大きな向上は見込めません。よって、既存店一店舗あたりの客数を増やす必要があります。客数を増やすには、来店客を増やすとともに、その購入確率を引き上げる必要があります。購入確率の高い顧客とは、すでに買うと決めた顧客に他なりません。そして、それはネット通販で買う前提で来店した消費者なのです。ベストバイがショールーミングを促進するのは、当然です。

 

【ベストバイがショールーミングを促進する理由】

[ベストバイの方針]単位面積あたりの売上最大化

[方法]既存店一店舗あたりの来店客と購入確率の向上→購入確率の高いショールーミングユーザーの集客

 

また、消費者の中には、価格がさほど変わらないならば、店員とコミュニケーションの取れる実店舗で買いたいという人もいます。ベストバイは、ここにも着目し、顧客サービスの拡充に努めています。顧客サービスを拡充することで、購入確率をさらに引き上げることができるからです。

 

まとめると、ベストバイが導入した価格保証制度と顧客サービス拡充策は、次のような役割を果たします。

 

【価格保証制度と顧客サービス拡充策の役割】

[価格保証制度]既存店一店舗あたりの来店客の最大化

[顧客サービス拡充策]購入確率の最大化

 

ベストバイなどショールーミングを歓迎する小売チェーンが増えるからといって、ショールーミングの脅威が消滅したわけではありません。実際、昨年のクリスマス商戦におけるネット通販利用割合は、前年同期の24%から27%に拡大しています。また、全米の買物客の約4割が、ネット購入前に実店舗で確認しているそうです。ベストバイの予測では、600万人の来店客の5人に1人が、ネット購入を前提に来店しているので、ベストバイにとってショールーミングの影響は不可避なのです。

 

一方で、ショールーミングを行う消費者は、購入意欲が高いという大きな利点があります。ベストバイはこの利点に注目し、回避できないショールーミングを逆に促進することで、より効率的に収益を拡大しようと努めています。ベストバイの既存店売上高がプラスに転じれば、ショールーミングが実店舗にとってプラスになると証明されることになるでしょう。

 

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《今回のヒントのまとめ》

1)  ベストバイは、ショールーミング回避策から促進策に方針を大きく転換した。その理由は、ショールーミング対策として導入した価格保証により、既存店売上高が大きく改善したからである。

2)  単位面積あたりの売上最大化を目指すベストバイは、価格保証により購入確率の高いショールーミングユーザーを集客し、顧客サービスの拡充により購入確率をより高めることができる。

3)  ポイントは、ベストバイが、ショールーミングユーザーは購入確率が高いという利点に、着目したことである。

4)  ショールーミングの影響が不可避な以上、その利点に着目することで、収益拡大に活用できる。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

先日、こちらの格安ワインを飲みました。

実は、カルディの特売にて500円で購入。

格安ピノ・ノワールは失敗することが多いのですが、これが意外に美味しかったんです。

カリフォルニアだったからかな。

今でも一部店舗で販売されているので、熟したピノを飲みたい人は是非。

ちなみに神戸の店舗では以前598円で販売されていました。

(今はプロパーの798円です。)

フォレストヴィル ピノ・ノワール

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

ゾゾタウンのスマホアプリなど、日本の小売店の中でも、ショールーミング促進の動きに転じる企業(店舗)があるようです。

実際、価格だけで選んでいる人は意外に少ないかもしれないですね。

どうせお金を使うなら、気持ち良く使いたいですから。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

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