【719号】英国航空が機内食に「ウマミ」を活用、その理由とは?
by courtesy of RHL Images
◎本日のニュース
1)見出し
The Fight Against Bland Airline Food
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2)要約
日本人が最初に発見した第五の味覚、ウマミ。英国航空は、このウマミを機内食に長年活用している。というのは、機内食は、その構造上、味が薄くなりやすいからである。
さらに、ビジネスクラスやファーストクラスの利用客は、チケットを購入する際に、機内食で航空会社を決めることが多い。そのため、美味しい機内食を提供しないと、顧客を失う羽目になる。
一方で、競合する航空会社は、乾燥した機内に合うよう工夫する程度で、ウマミを特別活用していない。多くの乗客にとってその違いはわかりにくい、と考えるからである。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Over the past year, British Airways has altered its recipes to load up on umami-rich foods.
4)キーとなる英文の和訳
長年、英国航空はレシピを変更して、ウマミたっぷりの食材を利用してきた。
5)気になる単語・表現
alter |
他動詞 |
(人・物・事)を変える、改める |
load up on |
自動詞句 |
~をいっぱい手に入れる |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
英国航空(British Airlines)は、長年機内食にウマミを活用してきました。そもそもウマミとは、日本人が最初に発見した味成分であり、舌で感じられる5つ目の味覚と呼ばれています。日本に馴染みの深いウマミと、英国の組み合わせは少し違和感がありますが、そこには大きな理由があります。単に和食ブームだからではないのです。
【英国航空が機内食にウマミを活用する理由】
[1] ビジネスクラス・ファーストクラスの利用客は、機内食で航空会社を選び、その獲得競争が激化しているから。
[2] 高度が高く乾燥した機内では、通常の味覚が機能せず、薄味に感じるから。
[3] 機内食は、その構造上、乾燥し固くなりやすく、味気が無くなりやすいから。
まずは、食べる人のニーズから。通常、飛行機を選ぶ際は、ルートや価格・マイレージなどで決めますが、それはエコノミークラスの利用客でのこと。ビジネスクラスやファーストクラスの利用客は、機内食で選ぶのです。さらに、単価の高いビジネスクラスやファーストクラスの販売競争は激化しています。よって、魅力的な機内食を提供しなければ、顧客を失う恐れがあります。
一方で、機内食を食べる人に起因する理由もあります。機内では乾燥し、高い気圧のために、味覚の約30%を失うとされています。よって、陸上で食べると美味しい料理でも、機内では薄味に感じるのです。さらに、座席の薄暗いライトや低い気温のため、食事そのものが退屈に感じられる傾向があります。また、旅行におけるストレスも、味に悪影響を及ぼします。一方で、ウマミは、高度が高くなっても、その味気を失うことはありません。美味しくなりにくい機内食に、ウマミはうってつけなのです。
また、機内食はその製造工程上、味気が薄くなりがちです。離陸数時間前に調理され、急速冷蔵。それからセットされて、機内に持ち込み、保管されます。提供前に再加熱されることによって、乾燥し固くなるのです。これが、味が薄まる要因です。ウマミはこの課題を解決してくれます。
このように、ウマミは機内食にとって救世主のような存在ですが、他の航空会社での利用はさほど多くありません。機内食を宣伝するユナイテッド、デルタ、アメリカン、シンガポール各航空会社は、乾燥した機内に合う工夫はするものの、特にウマミを活用していません。その理由は、機内では味の違いがわかりにくいからです。空間の狭さや揺れる可能性だけでなく、微妙な味覚であるウマミそのものも関係するでしょう。違いがわかりにくいウマミの活用に力を入れても、顧客がその違いを認識し、満足してもらえなければ、意味がありません。
では、なぜ英国航空は、その違いがわかりにくいウマミの利用に力を注ぐのか。それは、顧客アンケートでウマミを使った食事の評価が高かったからに他なりません。特に、ビジネスクラスやファーストクラスの利用客は、食事に満足すれば、繰り返し利用してもらえる確率が高まります。さらに、ビジネスクラスやファーストクラスは、エコノミークラスよりも単価が高く、利益率も高いので、収益への貢献が大きいのです。
【英国航空がウマミを使って機内食を美味しくさせる理由】
[1] 利用客のリピートが期待できるから
[2] 単価・利益率ともに高く、収益に大きく貢献するから
実際英国航空は、ウマミの利用だけでなく、次のような機内食のブラッシュアップに努力しています。
【英国航空による機内食ブラッシュアップ事例】
[1] スチームオーブンの利用→固くせずにパンやペストリーを温めることができる
[2] 紅茶→高度が高いと強くなりすぎたり、薄くなりすぎたりするので、最適な茶葉のブレンドを独自開発
次は、苦くなりがちなコーヒーの開発に取り組んでいるようです。これも、リピート客の獲得と収益向上のためなのです。
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《今回のヒントのまとめ》
1) 英国航空が機内食にウマミを活用するのは、そもそも機内では通常の味覚が機能せず味が薄くなりがちな一方で、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客は機内食で航空会社を選ぶからである。
2) また機内食は、その製造・提供工程上、乾燥し固くなりやすく、味気がなくなりやすい。
3) 高度により味に変化が起きないウマミは、機内食の課題を解決してくれる。
4) しかし、競合する航空会社は、ウマミの活用に力を注いでいない。それは、ウマミを使っても、その違いを認識されにくいからである。
5) それでも英国航空がウマミの利用など機内食のブラッシュアップに努力するのは、ビジネスクラスやファーストクラスは、リピートが生まれやすく、単価・利益率が高いからである。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
またまたカルディの商品ですが、こちらのカットトマト缶は格別。
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写真をお見せできないのが残念なほど。
まるで専門店のようなパスタソースが出来上がります。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
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備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
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ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
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編集後記
そう言えば、二回だけビジネスクラスに乗ったことがあります。
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高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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今回は私が恩返しします!
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