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【851号】元公務員の女性起業家が成熟したカップケーキビジネスで成功した理由

baked by melissa

 

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Baked by Melissa Founder Shares Secrets of Her Success

 

 

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2)要約

メリッサ・ベンーアイシェイは、ニューヨーク市の宣伝部署を解雇された後、カップケーキ販売で起業した。今では、従業員総数約300人で、ニューヨーク市街地に12店舗を持つほどにまで成長している。

 

メリッサの起業で特徴的なのは、資金調達と役割分担。創業当時は、ほぼ自己資金で小さく始めた。作業をすべて自分で行い、店舗もないため自宅キッチンで作ったカップケーキを、ケータリングイベントや個人宅まで徒歩や地下鉄で運んで販売した。また、自分は商品開発と製造を担い、経営は兄に任せた。

 

メリッサが参入した時には、カップケーキ市場は成熟化しつつあり、多くの中小企業の売上が減少に転じていた。その中で成功したのは、カップケーキ1個を一口サイズにして、50カロリー未満に抑えた点も一つの要因だろう。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

When Melissa Ben-Ishay was fired from her New York City advertising job in June 2008—amid the recession—she went home and baked some cupcakes.

 

4)キーとなる英文の和訳

メリッサ・ベン-アイシェイは、景気後退まっただ中の2008年6月に、ニューヨーク市の宣伝の仕事を解雇された時、自宅に戻りカップケーキを焼いた。

 

5)気になる単語・表現

なし

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

メリッサが起業したのはカップケーキの販売店は、ベイクド・バイ・メリッサ。日本語訳にすると、「メリッサ特製」となるでしょうか。その経営戦略は、ランチェスター戦略に沿ったものとも言えます。

 

[ベイクド・バイ・メリッサの経営戦略]

[商品]一口サイズで50キロカロリー未満→ヘルシー志向に合致

[組織]経営は兄、製造・開発など実務は創業者→短期間で12店舗まで拡大

[財務]創業者・兄の自己資金のみ→収益・成長よりもブランド優先

[販売]定番8種と季節限定品・月替り商品で目新しさ、3個3ドルという割安な価格設定

[地域]品質・流行に敏感なニューヨーク市街地に出店

[客層]品質・流行に敏感で比較的所得の高い人が多い商圏

[顧客]ミニ・オブ・ザ・マンス・クラブという前払い会員制度で顧客囲い込み

[時間]大部分の店舗は、午前8時または9時から午後10時または11時まで営業

 

メリッサがカップケーキビジネスを始めたのが、2008年。日本では、アメリカの人気カップケーキ店が上陸するなど、カップケーキはこれからの流行アイテムになりそうですが、アメリカではもう下火です。2003年創業で上場までしたクラムズベイクショップが破綻するほど、流行の反動で市場は縮小しているようです。記事では、「saturated」と表現されており、「成熟」というよりも「供給過剰」という日本語の方がしっくりくるかもしれません。

 

そんな供給過剰のカップケーキ業界で、ベイクド・バイ・メリッサが成功した要因は、上記の戦略の通り。一番大きいのは、ヘルシー志向の高まりに合うように、一口サイズ・50カロリー未満にしたことでしょう。見た目が違うというわかりやすさも、人気の要因。原材料の産地や製法で差別化するよりも、見た目の差別化の方がよっぽどわかりやすいですから。

 

自己資金で小さく始めた財務面も、堅実な成長の大きな要因でしょう。VC(ベンチャーキャピタル)の投資が入ると、収益拡大が第一目標となり、店舗の急激な拡大を余儀なくされます。その結果起こるのが、品質の低下と顧客の飽き。出店を急ぐあまり、同じような陳腐なデザインの店舗が増えれば、客離れさえ起こりかねません。クラムズベイクショップが急速に破綻に追い込まれたのは、まさに成長を急いだせいとも言えます。

 

販売面では、定番商品8種と季節限定品・月別新商品を販売することで、目新しさを出し、毎月来店する動機を提供しています。販売側では、販売商品を少なくすることで、売れ残りを減らせるので、粗利益率を高める効果を享受できます。記事にはないですが、3個3ドルからという価格設定は、購入ハードルを下げる役割を果たしています。(価格は公式サイトより)

 

顧客戦略として、有料会員制度を設けています。これも記事にはなく、公式サイトを見てわかったのですが、会員になれば、月替りカップケーキを通常より早く食べられます。これが一番の訴求点ですが、その価格設定を見ると、カップケーキを割安に食べられるメリットも大きいのではないでしょうか。例えば、3ヶ月60ドルの会員になれば、毎月25個の月替りカップケーキを食べることができます。総数75個ですから、一個あたり1ドルを切ることになります。3個3ドルで買うよりもお得になるので、メリッサのカップケーキが好きな顧客は、会員になるインセンティブを持つことになります。一方、販売側は、会費が販売前に入金されるので、キャッシュ・フローを増やすことができます。

 

時間戦略についても、公式サイトから。これは特別強調されているのではなく、店舗インフォで掲載されているだけ。夜に行動する人が多い繁華街という立地から、夜10時・11時まで営業しています。さらに、通勤客を意識して、朝は8時・9時から営業。この長時間営業が、収益拡大のみならず、顧客層の拡大に寄与していることは、間違いないでしょう。

 

最後に、メリッサが説く起業で最も重要なことについて。それは、「集中力と熱意」だそうです。当たり前と言えば当たり前ですが、他人に頼ることなく、自分でやる気を鼓舞できるタイプである必要があります。それは、毎日がチャレンジ・苦労の連続であり、その解決方法を学び、自分の感情に勝たなくてはならないからです。ただし、長い一日の終わりには、リラックスして大局観から一日を振り返ることも重要であると、述べています。へこたれた時には、一晩考えて翌日解決に臨めばいいようです。

 

創業時の一番の苦労として、「自分の弱点を知ること」を挙げています。メリッサの場合は、「自分一人ですべてできないことを理解する」のに苦労したようです。また、創業後は、それが仕事ではなく、人生そのものになったとのこと。最初の3年間は、あらゆることを諦めたようです。長時間営業は、当時の名残かもしれません。

 

成熟市場に参入するということは、市場全体の成長が見込めないだけに、勇気のいることです。しかし、需要・ニーズが顕在化している、という安心感があります。既存商品をニーズに沿って改良すれば、メリッサのように堅実なビジネスに育てることができるのではないでしょうか。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 供給過剰のカップケーキビジネスに参入したベイクド・バイ・メリッサが成長したのは、ランチェスター戦略に沿った経営戦略を採用したからではないか。
  2. 特に、商品戦略では、ヘルシー志向の高まりに着目し、商品サイズの一口サイズにし、50カロリー未満にした。
  3. 財務戦略では、自己資金で小さく始めたことで、成長を急がず、ブランドを堅実に育てることができた。
  4. 顧客戦略では有料会員制度、時間戦略では長時間営業が、収益拡大に寄与しているだろう。
  5. 起業を成功させるには、集中力と熱意が必要。仕事ではなく人生そのものになるから。ただし、リラックスして長期的視点で見ることも重要である。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

ボックスワイン第二弾。

やまやで買ったチリのカベルネ・ソーヴィニヨンですが、イオン系輸入商社の商品のようです。

まだ一回しか飲んでいないですが、二口目から少し重く感じ、私好みに。

価格は2リットル1200円ほどで、懐にも優しい。

ボックスワインに詳しくなりそうです。

エル トキ カベルネソーヴィニョン バギンボックス 2L

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

メリッサのビジネスは、なんと年収数百万ドル。

リストラされた公務員が始めたビジネスが、ここまで大きくなるとは。

飲食ビジネスは、当たれば大きいということを改めて実感しました。

日本のカップケーキビジネスは、まだまだこれから。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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