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【850号】元CMOによる米マクドナルド再建案10箇条、その可能性と難しさ

mcdonald's

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
How to Revive McDonald’s

 

 

 

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2)要約

1月の既存店売上高が、グローバルで1.8%減に終わった米マクドナルド。直近四半期の業績は純利益が21%減少し、「マクドナルドの時代は終わった」という声さえある。しかし、同様の業績悪化に直面した2002年には、一年未満で好転した。その方法を参考にすれば、今回もV字回復は不可能ではない。

 

重要なのは、短期間での好転を目指すこと。それなしに長期的な成長は見込めない。具体的な方法は、既存顧客維持の優先、ハンバーガーファストフード業界でのシェア回復、QSCの向上、消費者ニーズの変化への対応、顧客第一主義など。また、社内社外における信頼回復は、特に重要である。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Another fast turnaround of the McDonald’s brand is possible—and it is essential for the company’s future. If you don’t take care of the short term, there will be no long term. Here are a few immediate actions that would reignite McDonald’s.

 

4)キーとなる英文の和訳

再度マクドナルドというブランドを急速に再建することは、可能である。

また、それは将来にとっても不可欠である。

短期の結果を気にしなければ、長期の結果は生まれないからである。

これから示すのが、マクドナルドを復活させる緊急案である。

 

5)気になる単語・表現

turnaround 名詞 (企業の)再建;(思想の)転向、変節;方向転換
essential 形容詞 不可欠の;本質的な;理想的な
take care of 他動詞句 ~の世話をする;~を処理する;~に気を配る
immediate 形容詞 緊急の、差し迫った;即座の;直接の

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

米マクドナルドの業績悪化については、以前にも取り上げている通り、深刻なようです。WSJでこのような再建案が掲載されることは、それだけ経済界のホットトピックスなのでしょう。1月の既存店売上高はマイナス1.8%。好転の兆しは全く見受けられません。

 

そこで、米マクドナルドの元CMO(マーケティング最高責任者)が、マクドナルド再建案を寄稿しています。10項目からなっており、まとめると次のようになります。

 

【元マクドナルドCMOによるマクドナルド再建案10箇条】

  1. 新規顧客獲得よりも既存顧客維持を優先
  2. 直接競合する業界でのシェア拡大を目指す
  3. メニュー品質の向上
  4. 提供サービスの迅速化
  5. メニューの絞り込み
  6. 消費者ニーズの変化への迅速な適応
  7. 顧客第一主義
  8. メニュー開発の体系化
  9. 社内マーケティングを優先
  10. 信頼回復が第一

 

1は、導入されたミレニアル世代獲得を目指したカスタマイズサービスへのアンチテーゼです。新規顧客獲得にはコストが高く付くというデメリットもありますが、それ以上に今行うのはバケツの穴を塞ぐこと。そう、客離れを最小化することです。短期で考えた場合、新規顧客よりも既存顧客が収益をもたらしてくれるからです。

 

2について、市場が拡大するファストカジュアル業界から顧客を奪うことは、至難の業。短期的に収益を回復させるには、直接競合するハンバーガー・チキン・サンドイッチのファストフードチェーンから顧客を奪う方が簡単です。

 

3について、2014年に実施された消費者レポートの味覚調査では、21チェーンのハンバーガーの中で最下位。美味しくないことが業績悪化の最大の要因かもしれません。新しいラップメニューを導入するよりも、既存のハンバーガーをブラッシュアップさせることの方が、業績回復への大きな効果を期待できます。

 

4について、ファストフードを食べたい消費者は、待ちたくないはず。このニーズが満たされていないようです。例えば、ファストカジュアルのチポトレは、高品質なタコスやカスタマイズサービスを提供するも、迅速な提供を妥協しておらず、60秒未満で提供しています。一方、チポトレを意識して導入したマクドナルドのカスタマイズサービスでは、最大7分も掛かっているようです。これでは、チポトレには敵いません。

 

5について、場当たり的に新メニューを導入したばかり、100種類以上に膨れ上がりました。その結果、現場は混乱、注文する顧客も混乱。サプライチェーンや従業員サービスも複雑なものとなり、コストが上昇する一方で売上増への寄与はさほど期待できません。

 

6について、relevance(関連性・適合性)の回復は、前CEOのトンプソン氏が目指したものですが、未だ回復出来ていません。「関連性」「適合性」とは、消費者ニーズの変化にどの程度対応できているか、ということ。例えば、消費者の栄養に関する知識が増加し、スーパーの総菜品揃えが増えたことにより、消費者の外食機会に変化が生まれています。つまり、ヘルシー志向の高まりに、マクドナルドが適応できていないということです。

 

7について、「顧客第一」とは、2003年当時の再建時にも掲げられたもの。過去10年間、この顧客第一主義が失われてきたようです。

 

8について、先述したように、場当たり的なメニュー開発を行ってきたばかりに、メニュー数が100種類以上にも増えました。ヒットしていればいいのですが、さほど売れなければブランドの信頼を毀損することになります。戦略的開発システムを採用することで、より失敗を少なくすることが重要なのです。

 

9について、2003年の再建時には、従業員のプライド回復に努めました。そこで行われたのが、社内マーケティングへの投資。具体的には、社外へ宣伝広告を行う前に、社内の従業員に公開するということです。従業員のプライドが失われたままでは、高品質のサービスを提供することはできません。

 

10について、2003年にも、従業員・仕入れ業者・FC加盟店・顧客の信頼回復に努めたようです。例えば、サラダのCMにポール・ニューマンを起用したり、オプラ・ウィンフリーのトレーナーと提携したり、など。また、フランスでは、「オープンドア」プログラムで、教師・父兄・子供に調理風景を見学してもらうために、店舗に招待しました。オーストラリアでは、栄養士と協力してヘルシーメニューの開発を実施しました。

 

10項目もありますが、その内容は基本そのもの。より簡潔にまとめれば、

 

QSC(食事・サービス・清潔さ)の向上

顧客ニーズの変化に対応した体系的メニュー開発

社内士気の向上

選択と集中

 

となるでしょうか。マクドナルドだけではなく、低迷するあらゆるレストラン企業に適応できるでしょう。商品開発で短期的な結果を求めつつ、QSC・社会士気の向上でじわじわとファンを獲得しようというものです。

 

ただし、簡単そうに見えるからといって、誰にでもできるわけではありません。特に、選択と集中は、何かを捨てなければならず、この「捨てる」勇気を持つことは難しいものです。実際マクドナルドは、捨てるどころか、競合を意識したカスタマイズサービスを加えています。業績が悪化すると、競合を意識した商品を追加しまいがちですが、ここで捨てられるかが成否を分けるのかもしれません。

 

また、既に業績が悪化しており、全て後手になりがちな局面からの改革は難しいと言えるでしょう。小さくなりつつある経営資源を構造改革に投じるには、そう簡単にできるものではありません。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 直近の既存店売上高・四半期業績が振るわない米マクドナルドだが、2002年の業績悪化時には1年以内に業績は好転した。その手法を取り入れれば、短期的な回復も可能だろう。
  2. 10項目あるが、まとめると「QSCの向上」「顧客ニーズの変化に適応した体系的なメニュー開発の実施」「社内士気の向上」「選択と集中」になる。
  3. すべて基本的なことであり、短期的には、既存顧客の維持優先で業績悪化を食い止め、新メニューの導入で向上を目指す。長期的には、QSC・従業員士気の向上で、じわじわと顧客拡大を目指す。
  4. ただし、何かを捨てなければならない「選択と集中」は、そう簡単にできるものではない。
  5. また、経営悪化してからは、経営資源は減少しているので、構造改革に新たな資源を投入することは、そう簡単にできるものではない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

毎日2杯ぐらいちびちび飲んでいますが、止めるのが難しいほどの美味しさ。

もちろん、一本2000円のワインと比べたら、味に雑味があるのは否めません。

しかしですよ、デイリーワインとして考えれば、もうこれで十分かもしれません。

量が減ると容器のアルミも縮小するので、酸化が防止される点もいいですね。

サンタレジーナ カベルネソーヴィニヨン

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

春節後にミナミの心斎橋商店街を歩いたのですが、まるで中国のようでした。

中国人のバイイングパワーはすごいものがあります。

また、生きる元気をもらうことができました。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

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高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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