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【857号】ニューヨークの最新クリーニングビジネス

laundryvagabondblogger

 

◎本日のニュース

1)見出し
Metro Money: The Down and Dirty on the Laundry Biz

 

 

 

 

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2)要約

ニューヨークの人は、みんなより効率的な暮らしを求めている。そこでクリーニングサービスもより利便性の高いものを求めるが、既存企業は対応しない。そこで、スタートアップが現れる。

 

クリーンリーというスタートアップは、スマホアプリを通じて必要な時に宅配クリーニングサービスを提供する。宅配・洗濯・折り畳みは、すべて外部企業に委託。宅配は契約した個人事業主が担い、洗濯・折り畳みは家族経営の小規模クリーニング店やコインランドリーが代行する。

 

他にも、自社工場ですべてを行うウォッシャブルクラブNYCや、空いた深夜のコインランドリーを格安で利用するフライクリーナーなどがある。

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Recent years have seen several high-tech laundry startups flop in their efforts to get the city’s 3,000-plus, mostly immigrant-owned wash-and-folds on board with Laundry 2.0.

 

4)キーとなる英文の和訳

近年、いくつかのハイテクランドリーベンチャーが、ランドリー2.0とも言うべく技術で、市の3000以上の、ほとんどが移民所有のクリーニング事業に参入しようとしたが、成功した事例はない。

 

5)気になる単語・表現

flop 自動詞 完全に失敗する;ドスンと倒れる
on board 副詞 乗って

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

WSJ記者による、新規サービス体験コーナーです。ただサービスを利用するのではなく、その裏側までリポートしてくれるので、一般消費者には見えないビジネスの裏側を見ることができます。今回は、ニューヨークのクリーニングサービス。

 

キーセンテンスにもあるように、これまでITベンチャーが、クリーニングサービスを効率化すべく参入しましたが、ほぼ失敗しました。その要因は、

 

既存クリーニング業者が保守的でIT利用に拒否反応を示してきたから

 

です。記事には詳しく書かれていないのですが、恐らくクリーニング企業へソフトウェアの提供を図ったのでしょうか。しかし、それでもクリーニング市場への参入を目指すスタートアップがいます。その理由は、市場が巨大だからです。

 

【ニューヨークのクリーニング市場】

毎週一人あたり20ポンドの洗濯物→年間88億ポンドのクリーニング需要

 

一方で、住民の大部分は洗濯機を持っていません。スタートアップは、このギャップに商機を見出したのです。

 

記者が利用したのは、クリーンリーというサービス。記事ではその他に、ウォッシャブルクラブNYCとフライクリーナーが紹介されています。3サービスをまとめると、次のようになります。

 

【新クリーニング3サービスの概要】

クリーンリー]水平分業型

  1. アプリで必要時に宅配クリーニングサービスを依頼できる
  2. 配達は契約個人事業主、洗濯・折り畳みは家族経営の小規模クリーニング工場やコインランドリーに外注
  3. 価格は宅配・色分け込で1ポンドあたり5ドル

ウォッシャブルクラブNYC]垂直統合型

自社工場で洗濯・折り畳みを実施

フライクリーナー]外部格安資源活用型

深夜の稼働していないコインランドリーを格安利用

 

ウォッ シャブルクラブNYC以外は、外部企業との提携によりサービスを提供しています。クリーンリーは、アプリの運営・集客を担当。恐らく、売上の手数料を収入 源としているのでしょう。一般に、個人向け洗濯・折り畳み価格については、サービス提供地区の不動産価格によって異なるようです。地価が一番高いアッパー ウエストサイドで、ポンドあたり2.25ドル。一方、比較的低いブロンクスでは、50セント。大きな価格差があります。所得格差も大きいのでしょう。

 

ク リーンリーが、洗濯・折り畳み作業を外部クリーニング工場に委託できるのは、法人向けクリーニング事業がさほど儲からず、より単価の高い個人向けサービス が魅力的だからです。もしかしたら、法人顧客さえ獲得できれば経営の安定していた法人向けクリーニングビジネスが、価格下落に直面しているのかもしれませ ん。そこで、複雑な作業の割に儲からない法人向けを止めたいクリーニング工場が生まれます。この使われない資源を、クリーンリーはうまく活用したのです。 だから、大きな初期投資を回避して、参入できたのです。このように、供給過剰などによって使われない経営資源が存在する産業では、比較的参入が容易のよう です。

 

最後に、最新クリーニングビジネスにおけるおもしろ話を。少数意見や希少な事例かもしれませんが、こういう普段見えない部分にビジネスチャンスは転がっているものです。

 

【最新クリーニングビジネスおもしろ話】

  1. 宅配サービスは体力的にキツイ仕事。100ポンドを5階まで持ち上がることもある。
  2. 一番効率的に折り畳めるのは男性用衣料品。逆に最悪なのが、ベビー衣料品。小さくて時間が掛かるため。→逆に言えば、衣料品の大きさは効率とは関係がない。
  3. 折り畳み作業の品質は、作業者の居住経験と関係する。マンハッタンに2年以上居住した人しか雇わない。その他の居住者は、雑に折り畳むから。
  4. 3段階のドライで頼む顧客や、下着をハンガーで自然乾燥をした欲しい顧客がいる。
  5. 高単価高級クリーニングサービスも、実際に洗濯・折り畳み作業を行うのは同じクリーニング工場。違うのは、店舗デザイン。

 

ク リーニング市場では、日本では斜陽産業の一つ。簡単に洗濯ができる洗濯機がこれだけ普及したら、洗濯機を持たない人が大半のニューヨークとは、外部環境が 全く逆と言えるでしょう。さらに、高齢化により、お金より時間を持つ人が増えれば、わざわざ有料のサービスを利用する人も減るはず。市場全体は、まだまだ 縮小しそうですが、既存サービスに不満を持つ人は必ずいるので、ニッチ市場では参入余地はありそうです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. クリーニング市場にITを持ち込むスタートアップはこれまであったものの、保守的な既存企業の反応は薄く、ほとんどが失敗。
  2. 一方で、外部資源を活用するなど工夫を凝らしたサービスが登場。宅配クリーニングのクリーンリーは、アプリで好きな時間に依頼できる。宅配・洗濯・折り畳みとも、個人事業主や外部クリーニング工場・コインランドリーに委託。
  3. ウォッシャブルクラブNYCは、逆に全て自社で行う垂直統合型。フライクリーナーは、深夜の稼働していないコインランドリーを格安で利用する。
  4. クリーンリーが外部クリーニング工場を利用できるのは、儲からない法人向けクリーニング工場が、より単価の高い個人向けサービスに魅力を感じるから。供給過剰などにより、使われない外部資源がある場合は、初期投資無しでの参入が比較的容易となる。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

微分積分って、得意でしたか?

文系の私は、確か本格的には習ったことがありません。

その微積を経営に活用する方法を説いた新書を、最近読みました。

微積って、その理屈は実は簡単なのです。

大変面白く、微積を使って経営分析すると、新しいビジネスが生まれるのではないか、と思ったほど。

数学嫌いの人も、一読をおすすめします。

「微分・積分を知らずに経営を語るな」 内山力

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

そろそろプロ野球開幕。

今年のタイガースは活きの良い新人が複数いるので、期待大。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

 

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

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