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【868号】アメリカ企業が本社と都市に戻る理由とは?

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◎本日のニュース

1)見出し
Companies Trade Suburbs for City Life

 

 

 

 

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2)要約

エクスペディア社は、20年近くシアトル郊外に構えていた本社を、中心部に移転する。このように、郊外から中心部に本社を戻る大企業が増えている。

 

目的は、人材確保と維持のため。特に、若者は、郊外の持ち家よりも買い物をし易い都市部の借家を好み、都市部の職場を望む傾向が強い。また、徒歩移動可能な中心部の不動産の方が、車必須の郊外よりも値上がり率が高いので、都市中心部の本社移転は収益上もプラスに働く。

 

本社が郊外に移ったのは、60~70年代初頭にかけて。郊外の広い家に住みたいCEOが多かったからとされている。

 

3)キーとなる英文

That announcement was the latest in a string of high-profile companies making moves from the suburbs back to the city.

 

4)キーとなる英文の和訳

その発表は、郊外から都市部に戻る一連の注目企業の最新事例であった。

 

5)気になる単語・表現

downtown 名詞 商業地区、町の中心街
suburbs 名詞 郊外
high-profile 形容詞 注目を集める
vacate 他動詞 ~を空ける
city hall 名詞 市役所
repurpose 他動詞 ~を少し手を加えて再利用する
herald 他動詞 ~の先触れをする;~を布告する

※記事全体から、重要単語をピックアップしました。

 

6)ビジネスのヒント

本社を郊外から都市中心部に戻す大企業をまとめると、次のようになります。

 

【郊外から中心部に本社を戻す大企業】

  • エクスペディア社:シアトル郊外→シアトル中心部
  • モトローラ・モビリティ社:シカコ郊外→シカゴ中心部
  • アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社:デカチュア(イリノイ州)→シカゴ中心部
  • ペプシコ・べバレッジ社:ソマーズ(ニューヨーク州)→パーチェス・ホワイト・プレーンズ(ニューヨーク州)
  • オートデスク社:ウォルトハム(マサチューセッツ州)→ボストン

※オートデスク社は中小企業

 

その理由・目的は、以下の2つ

 

【大企業が本社を都市部に回帰させる理由・目的】

  1. 人材確保・維持のため
  2. 収益・財務上プラスになるから

 

1について、特に若者は、郊外の持ち家よりも中心部の借家を好む傾向があるようです。それは、中心部は徒歩で移動でき便利だから。徒歩圏に職場もあれば、生活全体が便利になるわけです。ただし、持ち家を持てないという消極的な理由もあるかもしれません。記事には書かれていませんが、アメリカで賃貸住宅の需要が高まっているのは事実。金融危機後に、その傾向が生まれました。金融危機で起こった景気後退により、若者には住宅や郊外での生活に必須の自動車を購入できる財力がないのかもしれません。だから、都市部の好むとも考えられます。

 

2について、不動産価格の値上がり率の違いが、本社を都市中心部に移転させる動機となっているようです。

 

【過去10年間の立地別不動産価格の変動率】

  • 中心ビジネス街→125%上昇
  • 徒歩移動主体の郊外→43%上昇
  • 自動車主体の郊外→20~21%上昇

 

いずれも上昇していますが、中心ビジネス街の値上がり率がずば抜けています。その背景として、人口の高齢化と商業店舗立地の都市部シフトがあります。シニア層が都市中心部に移転すれば、都市部の人口が増加し、さらに商業施設が都市部に集積すれば、都市部の集約力は増すこととなります。その結果、都市中心部の不動産は大きく値上がりしたのでしょう。

 

また、都市中心部に移転すれば、教育施設や芸術家・科学者との交流が容易になるという利点があります。その結果、イノベーションが起こりやすくなれば、収益にプラスに働きます。

 

このようなメリットがあるので、郊外から都市部への回帰は、大企業だけではく中小企業にも波及しているようです。では、空いた郊外はどうなるのか?心配ご無用。既存のオフィスなどの施設は、医療施設や市役所・コミュニティカレッジなどに再利用される事例が多いようです。その結果、オフィスの需給が崩れることが少ないため、オフィス市場の値下がりを回避できているとのこと。郊外のオフィス市況が、オフィス市場全体を支えているとも言えます。

 

では、同じことが日本でも起こるのか。アメリカと同じ人口の高齢化を考慮すれば、日本でも企業の都市部回帰は十分考えられます。また、アメリカとは違い、都市部の借家ニーズは高まっていないものの、高層マンションの都市回帰は大都市を中心に起こりつつあるので、アメリカ同様に人口・商業施設の都市集積が起こる可能性は高いと言えるでしょう。

ただし、アメリカとは異なり人口減少が日本で起こっているので、人口・企業の都市集中はそのまま郊外の衰退につながる恐れがあります。逆に、郊外での空き家が増えてくれば、空き家を再利用した格安住宅が供給され、郊外への人口シフトが一定の規模で起こるかもしれません。

 

企業の本社移転は人口の移動を伴うので、商業に大きな影響を及ぼします。逆に、この変化に新たなビジネスチャンスが潜んでいるとも言えます。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. アメリカでは、大企業を中心に本社を郊外から都市中心部に回帰させる動きがある。
  2. その理由は、都市での便利な生活を好む若者など、人材を確保・維持するためである。
  3. また、収益・財務上プラスになるという理由もある。都市中心部の方が郊外よりも、不動産の値上がり率はずっと高い。また、都市部に多い学校や芸術家・科学者との交流により、イノベーションが期待できる。
  4. 郊外の空いたオフィスは、医療施設や市役所・コミュニティカレッジなどに再利用されているため、オフィス市況の悪化は回避出来ている。
  5. 人口の高齢化・都市への人口回帰など、日本でも同様の動きがあるが、人口減少という要因で、企業本社の都市移転は郊外の衰退を招く恐れがある。

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この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

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ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

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編集後記

六甲アイランドでも、P&Gジャパンが三ノ宮に移転することにより、不動産価格が下落傾向にあります。

特に、賃貸物件の増加・家賃値下がりが凄まじい。

六甲アイランドは住みやすい場所なのですが、本州への移動コストが高いのがネック。

そう言えば、先日の神戸市議会議員選挙で、本州と結ぶ六甲ライナーの値下げを公約にしていた候補がいましたね。

やってくれますかねぇ。

 

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