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【1067号】中国のアリババ・JDドットコムが食品のネット通販に力を注ぐ理由とは?

Takeaway bags advertising Uber Eats - Hellenic Republic, Kew

 

◎本日のニュース

1)見出し

China Thinks It Has Figured Out Online Grocery Shopping

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2)要約

中国のネット通販大手・アリババドットコムホールディングスとJDドットコムは、食品のネット通販に関する企業への投資を増やしている。というのも、食品のネット通販市場は、急成長しているからである。

 

食品のネット通販が注目されるのは、出前のネット受付という成功事例があるからである。出前をスマホで注文する習慣があれば、食品をネットで買うことも受け入れやすいと考える。また、宅配コストの低さも、単価の低い食品のネット通販のビジネスとしての成立を後押しする。

 

ただし、コンビニの急増などにより、日常的に食品をネットで購入することを疑問視する投資家もいる。また、ネット出前と同様に、激しい割引競争を余儀なくされる懸念もある。

 

3)キーとなる英文

In the world’s top e-commerce market, grocery shopping is one of the last frontiers.

 

4)キーとなる英文の和訳

世界最大のネット通販市場では、食品のネット購入が、最後のフロンティアの1つとされている。

 

5)気になる単語・表現

figure out 他動詞句 ~を考え出す
propel 他動詞 ~を駆り立てる
courier 名詞 宅配便の業者
dispatch 名詞 派遣

 

(特に覚えておきたい単語)

【propel】

(意味)

  • ~を(機械の力や強い力で)前進させる、~を推進する= drive or push something forward or in a particular direction
  • (人)を駆り立てる= force somebody to get into a particular situation
  • (人)をある方向へ動かす= force somebody to move in a particular direction

 

(コメント)

forward や particular direction(situation)というニュアンスがある。

6)ビジネスのヒント

以前(いや前回かな)、アメリカの大手スーパーが、アマゾン対策としてネット通販に力を入れているという記事を取り上げました。今回は、中国のネット通販事情。ただし、中国の場合は、従来型の実店舗小売はまだまだネット通販には力を注いでおらず、ネット専業企業による投資が中心。特に、最大手のアリババとJDドットコムが、食品のネット通販企業への投資を拡大しています。

 

まずは、大手ネット通販専業企業が、食品のネット通販に力を注ぐ理由から考えたいと思います。

 

【ネット専業企業が食品のネット通販に力を注ぐ理由】

  1. 出前のネット化の成功事例が、食品のネット通販にも当てはまると考えるから
  2. 食品以外の通販サイトへの集客効果が期待できるから
  3. 請負型の宅配サービスの拡大により、物流コストが低下し、ビジネスとして成立しやすくなったから

 

1について、単価の低い食品は、そもそもネット通販には不向き。しかし、出前をネットで頼む習慣が根付いている中国では、食品も日常的にネットで買うようになる可能性は高いと見ているようです。スマホを少しタップするだけで食品を購入できるので、その利便性に慣れれば、近くのコンビニよりもスマホでの注文を選んでくれても不思議ではないからです。

 

2について、JDドットコムの広報によると、食品のネット通販には、さほど利益を期待しないようです。食品を買いにサイトを日常的に訪問するようになってくれれば、家電や日用品など他の利益商材の売上にもつながる。そこで利益を取ろうという戦略です。言わば、食品を集客商品と捉える考え方です。

 

3について、ウーバーのような注文があった時だけ宅配してくれる、請負型の宅配サービスが中国では拡大しているようです。このサービスの魅力は、維持費が掛らない点。このために、物流費が飛躍的に低下し、単価の低い食品のネット通販がビジネスとして成立しやすくなります。ウーバーの影響は、中国のネット通販市場にも及んでいるのです。

 

中国は、世界最大のネット通販市場ですが、ネット通販が飛躍的に拡大した要因として、次の二点をあげることができます。

 

【中国でネット通販市場が飛躍的に拡大した要因】

  1. 従来型の実店舗小売企業の売行きが低下したから。
  2. 請負型配送サービスの登場により、物流コストが低下したから。

 

1は、消費者ニーズの変化とも考えられます。つまり、より利便性が高く、品揃えも豊かなネット通販に慣れれば、買い物に時間と労力の掛かる実店舗での買い物を避けても不思議ではありません。買い物のネットシフトがどんどん進むことになります。

 

2は、先述したウーバー型運送業の登場です。維持費が掛らないので、低コストで物流サービスを提供できるようになり、この物流コストの低下は、ネット通販最大のハードルである送料問題を一気に解決してくれます。

 

請負型の食品の宅配サービスは、以下のようなビジネスモデルを持ちます。

 

【請負型の食品宅配サービスのビジネスモデル】

  1. 宅配料金をユーザーに課金(一個72セントから)
  2. 食品を販売する小売企業への手数料課金

 

1について、ユーザーに直接課金することはなかなか難しいようです。だから、将来的には、アマゾンプライムのような有料会員制の導入を目指しているようです。一回一回の買い物で、運賃負担をできるだけ感じにくくすれば、利用が増えるからです。

 

2は、現在の主流でしょう。食品を実際に販売する小売企業に対し、売上の一部を手数料として徴収しています。法人は必要経費として考えると、エンドユーザーよりも受け入れやすいのでしょう。

 

実際、食品のネット通販は、ネット通販全体の中での高い成長率を誇っています。例えば、昨年2016年では、生鮮品のネット購入金額は、昨対比86%増の131億ドルにまで拡大しました。この急成長市場でのシェア獲得を、アリババやJDドットコムは狙っているのです。

 

しかし、課題もあります。

 

【食品のネット通販が直面する課題】

  1. 都市部でコンビニが急増する中、食品をネットで購入する習慣は根付きにくいのではないか。
  2. 食品の宅配サービスは、市場を独占した企業だけが収益をあげられ、独占企業が決まるまで、消耗戦を余儀なくされる。

1について、単価が高く購入頻度も高い食品は、そもそもネット通販に不向きな商材。さらに、都市部では利便性の高いコンビニが急増しています。スマホで簡単に購入できるとは言え、目の前のコンビニに駆け込めば済む話です。

 

2について、宅配サービスの収益の主体は、売上の手数料収入。ビジネスとして成立させるには、ある程度のシェアは必須です。さらに、シェアが拡大すれば、より低コストで利便性の高いサービスを提供できるので、さらにシェアを拡大しやすくなります。つまり、圧倒的なシェアを持つ独占的な企業が生まれやすい市場なのです。逆に言えば、独占した企業だけが高い収益を享受でき、そのポジションを目指して各社は消耗戦を余儀なくされるのです。実際、出前のネットサービスでは、シェア拡大を目指して、割引競争が激化しました。同様の消耗戦が、食品のネット通販でも起こる可能性は高いでしょう。

 

【注目点】

  1. アリババ・JDドットコムは、拡大市場のインフラ提供に特化することで高い収益性が期待できる。
  2. 出前と食品の一番大きな違いは、商品単価。

 

1について、アリババとJDドットコムは、投資先の請負型宅配サービスに、ユーザーの利用データを提供し、アルゴリズムを活用して物流コストの更なる低下を目指しています。彼らの立場は、インフラ提供であり、実際の集客・販売はしません。特に、提供するのが、データというストック型のインフラのため、顧客は離反しにくく簡単にリピーターとなってくれます。つまり、アリババとJDドットコムは、インフラ提供により収益をあげやすいのです。彼らの本当の投資目的は、ここにあるかもしれません。

 

2について、出前のネット注文の成功事例が食品にも当てはまるとは言え、両者の一番の違いは、その単価。出前の場合は、1つのメニューは1000円近くするでしょう。一方、食品1つは200円からせいぜい500円まで。これだけ単価が異なると、安易に成功事例を適用できると考えない方がいいかもしれません。

 

(アリババ・JDドットコムが投資した請負型宅配サービス)

Dianwonda

New Dada(関連記事)

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. アリババやJDドットコムが食品のネット通販への投資を拡大するのは、スマホで出前を頼む習慣のある中国では、食品もネットで購入してくれやすいと考えるからである。
  2. また、請負型の宅配サービスの拡大により、物流コストが低下したことも、単価の低い食品のネット通販をビジネスとして成立しやすくする。
  3. 一方で、食品には収益よりも集客が期待できる。日常的にサイトを訪問してくれれば、より利益率の高い家電や日用品を購入してもらいやすい。
  4. 食品の宅配サービスのビジネスモデルは、エンドユーザーへの課金と食品販売店への手数料課金である。また将来的には、より負担を感じにくい有料会員制の導入を目指している。
  5. アリババ・JDドットコムは、データを提供することで、宅配サービスのコストを引き下げるインフラを提供している。インフラ提供は、高い収益性が期待できる。

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シェアリング・エコノミー ―Uber、Airbnbが変えた世界
by カエレバ

 

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

年末はふるさと納税を幾つかしたのですが、この御礼品はかなりお得と思いませんか?

 

鹿児島県日置市 本格焼酎ふるさと鹿児島限定セット 小正醸造

 

なんと900mlの芋焼酎が6本も入っているのです。

これが1万円の寄付でもらえます。(もちろん、税額控除されるので、ある程度所得のある人ならば、2000円の負担になります。)

ふるさと納税の芋焼酎を、他の自治体でも調べましたが、1万円で1.8mlX3本が最高。この小正醸造のセットは、900mlながら総量は同じです。900mlの分だけ、注ぎやすいという利点もあります。

 

まだ飲んでいませんが、かなり楽しみです。

 

ちなみに、小正醸造の鹿児島県限定焼酎は、楽天市場でも販売されています。

 

7000円ほどなので、7割の還元になりますね。

スゴイコスパです。

 

編集後記

ふるさと納税に上限を設ける動きが、新聞に報じられていました。

確かに今のやり方では、所得の多い人が有利になり、ふるさと納税により多額の利益を得る人もいるでしょう。

ただし、制限を加えれば、各自治体の自助努力を摘み取る結果に終わるかもしれません。

個人的には、所得による条件をもう少し厳しくしてもいいかと思いますね。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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