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【1085号】スニーカーの原料にとうもろこしが使われる理由とは?

Sneakers

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

Sneakers Made from Corn? Seat Cushions From Soybeans?

 

 

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2)要約

記録的豊作によるとうもろこし・大豆価格の暴落により、アメリカの農業事業者は、新たな用途を模索している。最近では、とうもろこしで出来たリーボックのスニーカーや穀物由来の原料でできたレゴブロックなどがある。

 

採用する企業にとっても、環境に優しいという認証が得られるメリットがある。持続性に賛同する消費者は、プレミアム価格を喜んで支払ってくれる。

 

ただし、反論もある。人口増が続く世界の食糧供給に、マイナスの影響を与える恐れがある。また、新用途における付加価値の主体は製造業であるため、農業事業者への恩恵は小さい。

 

3)キーとなる英文

Facing overstuffed silos and forecasts for another huge harvest this year, U.S. farmers are trying to find new uses for their corn and soybeans.

 

4)キーとなる英文の和訳

穀物でいっぱいのサイロや、今年もまた膨大な収穫予想に直面して、全米の農業事業者は、自らが栽培するとうもろこしや大豆の新用途開拓を試みている。

 

5)気になる単語・表現

overstuffed 形容詞 (ソファーなどが)詰め物と厚い張り心地で心地よい
benevolent 形容詞 優しい
robust 形容詞 強健な;活発な
bumper 形容詞 ばかでかい
mold 他動詞 ~を型に入れて作る
stockpile 名詞 食料備蓄
swell 自動詞 ふくらむ
acreage 名詞 エーカー数
cardboard 名詞 段ボール
diaper 名詞 おむつ
adhensive 名詞 接着剤
credential 名詞 信用証明物
pasture 名詞 牧草地
trajectory 名詞 弾道、軌道;足跡
redirect 他動詞 ~を向け直す
neat 形容詞 適切な

 

(特に覚えておきたい単語)

【neat】

  1. (いつも)きちんとした、こぎれいな;きれい好きな= tidy and in order; carefully done or arranged
  2. 適切な、手際のいい、巧みな== simple but clever
  3. すてきな、すばらしい= excellent
  4. (液体、特に酒が)水や氷などで割らない= not mixed with water or anything else

「(証拠のない)主張、申し立て」

(コメント)

tidy や in orderというニュアンスがある。

 

6)ビジネスのヒント

世界的に穀物の供給量が拡大しているようです。この結果起こるのが、穀物市場の暴落。この悪影響を被るのは、農業事業者です。(farmerを「農家」と訳してもいいのですが、アメリカの農家は大規模で企業経営に近いので、「農業事業者」と訳しました。)記事による、近年の数年に渡る豊作の結果、多くの農業事業者の負債が増加し、廃業・倒産に追い込まれる企業が多いようです。

 

豊作が続いているのは、気候が安定し南米・米国で収穫が拡大したから。この結果、米国のとうもろこし・大豆の備蓄量は、10億3500万ブッシェルに拡大しました。(2017年第一四半期)この結果、大豆・とうもろこしの先物価格は暴落しました。

 

そこで、農業事業者が目指したのが、穀物の新用途開拓。今回は、とうもろこし・大豆の新用途がいろいろ紹介されています。新用途がうまく開拓できれば、これまで無かった需要が生まれることで、需給が引き締まり、その結果市場価格は上昇に転じてくれます。

 

新用途とは、工業製品の原料としての用途です。工業側にとっても、原料としてとうもろこし・大豆を採用するメリットがあります。

 

【工業側の企業がとうもろこし・大豆を工業原料として採用する理由】

  1. 「自然に優しい企業」として認証(グリーン認証)されることにより、消費者のロイヤルティが高まりやすくなり、また高くても売れやすくなるから。
  2. 原油の変動リスクを和らげることができるから。

 

1について、販売のメリットして、企業へのロイヤルティの高まりがあります。消費者のサステイナビリティ(環境の持続性)への関心が高まっているゆえに、持続性に賛同した企業・ブランドは、ロイヤルティが高まりやすくなります。さらに、自然に配慮した商品ならば、少し高くても買ってくれるのです。企業は、長期的な顧客獲得のみならず、利益率向上も見込めることになります。

 

2について、製造のメリットとして、穀物原料を使うことにより、原油価格の変動リスクをある程度回避できます。例えば、プラスチックなど原油由来の原料を使用する場合は、原油価格の変動に左右されてしまうのです。原価の変動が小さくなり、経営は安定することになります。

 

とうもろこし・大豆の新用途開拓が行われる理由をまとめると、次のようになります。

 

【とうもろこし・大豆の新用途開拓が行われる理由】

  1. 世界的豊作により、市場価格が暴落したから。(農業側)
  2. 穀物由来の原料を採用することで、自然に優しい企業として認証され、消費者のロイヤルティを獲得しやすくなるから。また、高くても売れるので、利益率が向上するから。(工業側)
  3. 原油価格の変動リスクを和らげ、経営が安定するから。(工業側)

 

記事で紹介された新用途をまとめると、次のようになります。

 

【とうもろこし・大豆の新用途】

  1. 自動車のシートクッション(フォード)
  2. マットレス(イケア)
  3. ヨーグルトのカップ(ダノン)
  4. モイスチャークリーム(プロクター・アンド・ギャンブルのオレイ)
  5. スニーカー(リーボック)
  6. 玩具用ブロック(レゴ)
  7. アスファルト・段ボール・おむつ用接着剤など

 

ちなみに従来は、加工食品の原材料や家畜の餌、バイオ燃料に使用されていました。これらでは、莫大な供給量をさばくことができません。だから、上記のような新用途が開拓されたのです。

 

従来用途ではなく新用途開拓が進められるのには、穀物業界に成功体験があるからです。それは、バイオエタノール。

 

【バイオエタンーるの成功体験】

(1980~1981年)使用割合は全米とうもろこし収穫量の1%未満

(2015~2016年)同38%(52億ブッシェル)

 

収穫量がほぼ同じだと考えると、38倍以上に拡大したことがわかります。第二のバイオエタノールを探して、農業事業者は模索しているのが現状です。

 

ただし、このような新用途開拓に対して、次のような反論があります。

 

【新用途開拓に対する反論】

  1. 食料ではなく工業用の用途が増えれば、世界の人口増加に対して食料供給量が不足する恐れがある。
  2. 新用途の需要は、既存用途と比べてとても小さく、市場価格の引締めには微力である。
  3. 新用途の付加価値の大部分は使用する企業に配分され、農業事業者の取り分は小さい。

 

1は、バイオエタノール需要拡大でも議論になりました。ただし、2のようにまだまだ新用途の需要は小さく、杞憂に終わりそうです。2が現実です。

 

3は、バリューチェーン上の問題です。農業事業者が新用途開拓に力を入れても、製品として設計するのは工業側の企業。消費者ニーズにいかに適合させるかに苦心する工業側の企業が、その果実として価値の大部分を取得します。その結果、農業側の利益は小さくなり、ビジネスとしての面白みに欠けます。

 

【注目点】

  1. 植物由来の工業原料は、今後製品特徴として注目されるのではないか。
  2. 穀物の工業用途の利益率が高まれば、食料としての供給が減り、食料価格の上昇につながる恐れがある。

 

1について、サステイナビリティ重視の消費者にとって、植物由来の原料は大きな製品特徴になります。この考えが普及すれば、製品特徴として消費者は認識するのではないでしょうか。

 

2について、これは希望的観測かもしれません。ただし、穀物の工業用途がエンドユーザーにとって価値のあるものになれば、工業側の企業は高くても仕入れるのではないでしょうか。その結果、穀物需給が逼迫し、食料・食品価格の上昇を引き起こしかねません。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 大豆・とうもろこしで工業用としての新用途開発が進むのは、世界的豊作により需給が緩み、価格が暴落したからである。
  2. また、工業原料として利用する企業にとっては、穀物由来の原料を使うことで、消費者から環境に優しい企業として、ロイヤルティが高まりやすいからという理由もある。
  3. さらに、価格変動の大きな原油からシフトできれば、経営を安定できるというメリットも要因だろう。
  4. 工業用としての需要はまだ小さいが、需要拡大に成功したバイオエタノール利用という成功体験が、農業事業者に新用途開発を促している。
  5. ただし、需要が小さいという以外にも課題・反論がある。今後工業用としての利用負が増えれば、食料としての供給不足を起こしかねない。また、工業用としての新用途を開拓できても、獲得できる付加価値が小さいという課題もある。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

またまたふるさと納税ネタ・小正醸造ネタです。

 

ふるさと納税で頂いた3升の焼酎が、予想以上に美味しかった。

フルーティーな黄猿しかまだ飲んでいませんが、あまりの美味しさにもったいなく感じ、ちびちび飲むほどです。

ここまでフルーティーな芋焼酎を飲んだことはありません。

さらに、ワイン酵母で仕込んだ麦焼酎の白猿は、飲むのが楽しみで仕方がありません。

今年もいただこうかと思います。

日置市さん・小正醸造さん、ありがとうございます。

 

【ふるさと納税】赤猿・黄猿・白猿の1升瓶3本セット 小正醸造

 

もちろん、楽天市場で販売もありますよ。

いいもの作るなぁ、小正醸造さんは。

 

 

編集後記

自動車購入に関して。

燃費重視にするか、気に入ったデザインにするか、運転しやすさにするか。

まだまだ悩みがつきません。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

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