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【1111号】アマゾンのホールフーズ買収に潜む盲点とは?

whole food market

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

Amazon and Whole Foods: What’s Next?

 

 

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2)要約

アマゾンによるホールフーズマーケット買収には、クロスセリングにより販売機会を増やせるというメリットがある。一方で、どの程度統合するかにより、失敗に終わるリスクも潜む。

 

アマゾンによるM&Aの歴史を紐解くと、買収先に対してあまり干渉しない事例が多い。それにより、ブランドの独自性を保ち、顧客・従業員のロイヤルティを維持する。一方で、戦略的に統合を目指すケースもある。

 

ホールフーズの場合、独自性を保つと効率性の悪さが修正されず、一方で統合を目指すと、ブランドロイヤルティの高い顧客・スタッフの離反を招きかねない。

 

3)キーとなる英文

But beyond simple cross-selling opportunities, a big question in the $13.7 billion deal is: How deeply will the online retail giant integrate its new brick-and-mortar subsidiary?

 

4)キーとなる英文の和訳

しかし、単純なクロスセリングの機会以上に、137億ドルの買収劇には次のような大きな疑問が存在する。

それは、ネット通販大手が、新たに獲得した実店舗の子会社をどの程度深く統合するかである。

 

5)気になる単語・表現

subsidiary 名詞 子会社;補助的な
streamline 他動詞 ~を合理化する
bleed 他動詞 ~を裁ち切る;~から巻き上げる
hand-off 名詞 不干渉
autonomous 形容詞 独立した
across the board 副詞句 全体一律に
tenure 名詞 保有期間
high-profile 形容詞句 注目を集める
expertise 名詞 専門的知識(技術)
crack 他動詞 ~を割る;~を屈服させる

 

(特に覚えておきたい単語)

subsidiary

  • 補助的な;派生的な(secondary)
  • (~に)付随(従属)する(to)
  • 子会社
  • 副題

 

【コメント】

元々の意味は「関連しているがそれほど重要でない。」そこから、「子会社」という意味に派生した。もちろん、WSJでは「子会社」という名詞の意味で使われることが多い。

 

6)ビジネスのヒント

世界を驚かせたアマゾン・ドット・コム社によるホールフーズマーケット社の買収。ネット通販専業大手が、実店舗主体の高級スーパーを買収するなんて、誰が予測したでしょうか。それほどショッキングなニュースでしたが、もしこの買収が結果的に失敗に終わると、もっとショッキングかもしれません。その可能性は決して小さくないのです。

 

アマゾンによるホールフーズ買収の結果には、次にような可能性・恐れが存在します。

 

【アマゾンによるホールフーズ買収の結果】

  1. ホールフーズの運営方法を大きく変え、アマゾン本体の手法を導入する。→ロイヤルティの高い顧客・従業員が離反し、既存店売上の減少傾向がさらに続く。
  2. 独立運営を認め、あまり手を入れない。→非効率性が温存され、利益率の低下が止まらない。

 

いずれにしても、あまり良い結果が生まれません。1はアマゾンとの完全統合を目指すパターン。この結果、ホールフーズのナチュラル・有機路線を支持してきた顧客・従業員が離反する恐れがあります。

 

一方で、ホールフーズの良さを維持しようと、あまり手を加えないと、非効率運営が継続されます。

 

どちらのパターンになるのかを考える上で、アマゾンのM&A後の運営の歴史をまとめてみます。

 

【アマゾンのM&A後の運営の歴史】

  1. 独立運営を認める→ザッポス(靴のネット通販)、トゥイッチ・インタラクティブ社(ゲーム動画配信サービス)
  2. 完全統合を目指す→キバ(倉庫専用ロボットメーカー)、クイジー社(乳児向け商品占用のネット通販)

 

1について、独立運営を認めるのは、独自の思想・サービスを持つ企業を買収する場合。ザッポスは顧客サービスを何よりも重視する企業。このやり方を踏襲したのは、ブランドや顧客との関係性を重視するためです。トゥイッチの場合は、創造的なサービスを生み出すベンチャー精神を維持するためです。

 

ただし、独立運営を認めるにしても、効率化・コスト削減のために、バックヤード業務の一部を改良しています。また、トゥイッチの場合では、販売増を目指して、アマゾンプライムと同様の有料会員制を導入してます。

 

2の場合は、独占を目指した場合です。キバを買収したのは、独自技術を競合他社に流出することを回避するためであり、戦略的な買収とされています。クイジー社は、アマゾンと競合するネット通販ですが、規模拡大と独自の物流技術(オムツのような嵩の大きな商品を低コストで配送するノウハウなど)を獲得するためとされています。

 

ただし、クイジー社では、企業文化の違いが大きかったため、赤字体質が治らず、最終的には部門自体が閉鎖に追い込まれました。

 

では、ホールフーズの場合はどちらのパターンなのか?

 

【ホールフーズは独自路線踏襲パターンか完全統合パターンか?】

  1. 実店舗主体の小売店のため、アマゾンにとって規模拡大にならない→独自路線
  2. 高級・高品質が特徴のホールフーズは、安さ・便利さが特徴のアマゾンとは競合しない→独自路線
  3. 非効率性が目立ち、改善を必要としている→完全統合
  4. スーパー業界は、参入障壁が低く、競争が激しい。よって、ネット通販のノウハウは他社にない強みになる→完全統合

 

このように2対2で、どちらが優勢かは判断できません。

ちなみに、アマゾンとホールフーズとの共通点・相違点をまとめると、次のようになります。

 

【アマゾン・ホールフーズの共通点・相違点】

  1. 共通点:顧客層が似ている→プライム会員の特典を増やすことで、プライム会員の囲い込みができ、プライム会員による売上増が見込める
  2. 相違点1:ホールフーズは店舗による裁量が大きい。一方、アマゾンは全体一律のルールを導入する
  3. 相違点2:ホールフーズは従業員のロイヤルティに長年報いてきた。一方、アマゾンは在任期間のパフォーマンスで報酬が決まる。

 

共通点よりも相違点の方が多いので、完全統合を目指すと、ホールフーズの組織力が弱体化しかねません。一部統合を目指すにしても、神経質にならざるを得ないでしょう。

 

ちなみに、この買収により可能性が極めて高いのは、プライム会員の特典増・運営方法の効率化・値下げ。この三点は、独自性踏襲か完全統合いずれにしても、行われるとされています。

 

【注目点】

企業文化の異なる企業買収は、買収効果を上げるのは相当難しい

 

当たり前と言えば当たり前ですが、企業文化の違いは大きなハードルのようです。強者が弱者を買収するならば、完全統合してもさほど問題ないですが、今回のようないずれの企業も個性的な場合は、要注意。AOLとタイムワーナーの合併(買収ではないですが)も、世界をあっと驚かせましたが、結果的に失敗に終わりました。アマゾン・ホールフーズにも、この恐れは充分あるのです。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. アマゾンがホールフーズの独自性を維持した場合、非効率性が温存される恐れがある。この結果、利益率低下に歯止めが掛らない。
  2. 一方、完全統合を目指した場合、ロイヤルティの高い顧客・従業員が離反する恐れがある。この結果、既存店売上高の減少は長引く。
  3. アマゾンのM&A史を紐解くと、独自性を維持したのは、相手が個性的なサービスを提供している場合である。ただし、それでもバックヤード業務を改善し、効率化・コスト削減を目指している。
  4. 一方で完全統合を目指したのは、独占するためである。独自技術の独占的利用や規模拡大・独自技術の獲得が目的の、戦略的買収とされる。
  5. アマゾンとホールフーズの相違点は共通点よりも多いので、独自性を維持する可能性が高い。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

酒類規制の強化により、ビールの店頭価格が上昇しています。

値上げ後から買ったことがありませんが、第三でもケースで2500円前後はなかなか見当たらないみたい。

これでは、ますます焼酎シフトが自分の中で進みそうです。

 

そんな中で見つけたのが、ビールのふるさと納税。

こちらも規制が強化されましたが、まだまだ1万円で1ケースの記念品(?)は残っているようです。

 

泉佐野市さんは、ビール以外でも充実しているから、注目です。

 

 

編集後記

お盆休みも家族にトラブルが発生し、その処理に明け暮れていました。

体はリフレッシュされることなく、9月を迎えそうです。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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