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【849号】米物流大手UPSのオリオン、物流業界のイノベーションとなるか?

ups united parcel service

 

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
At UPS, the Algorithm Is the Driver

 

 

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2)要約

米物流大手のUPS社のドライバーは、1日の配達先は平均120軒。そのルートを最適化するために、コンピュータープラットフォーム・オリオンを開発した。2017年の完全導入で、年間3億~4億のコスト削減を見込む。

 

オリオン開発の背景には、ネット通販市場の拡大がある。これにより、企業への配達から宅配が急増し、利益率低下を及ぼしている。また、クリスマス商戦など受注集中時への対応も、コストアップ要因となっている。

 

オリオンは、当初効率性の最大化を目指したため、実務に合わず失敗。その後は、運転手のルート作成技術を組み込むことにより、確実性も考慮するようになった。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

What makes Orion unique is the way it puts these elements together, striving for a balance between an optimum result and consistency, according to Mr. Levis.

 

4)キーとなる英文の和訳

リーバイス氏によれば、オリオンの独自性は、これら要素を統合する方法である。

その目的は、最適条件と確実性の両立を目指すことである。

 

5)気になる単語・表現

put together 他動詞句 ~を寄せ集める、合わせる;~を組み立てる
strive 自動詞 努力する;奮闘する
optimum 名詞 最適の度合い;最適条件
consistency 名詞 堅実さ;一貫性;調和

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

UPSのオリオンとは、ルート最適化プラットフォーム。ネット通販の拡大で、配達先は増えるばかりだから、移動距離・移動時間を最小化するルートで配達することにより、コスト削減を目指しています。

 

まず、2億~3億ドルも掛けてオリオンを開発した要因から。

 

【オリオン開発の要因】

  • ネット通販の拡大で、宅配比率が高まったから
  • クリスマス商戦など受注の集中化により、コストが上昇傾向にあるから

 

いずれもコスト上昇のオリオン開発の最大の要因。1について、従来は小売店店舗への配達が主流だったものの、ネット通販市場の拡大により、宅配比率が高まり、配達先が急増しているようです。ちなみに、一ドライバーの配達先は一日平均で120軒。これを9時~21時の12時間で配達するとなれば、1軒あたり6分で届けなければなりません。これに、時間指定などがあるから、最適化は必須なのです。2も、ネット通販が要因であり、2013年のクリスマス商戦では、プレゼントがクリスマス当日に届かず大問題になりました。これを解決するにも、コストが掛かります。

 

キーセンテンスでも取り上げましたが、最適なルートは効率性ばかり追い求めても、算出できません。というのも、時間指定や配達先独特の癖があるからです。例えば、時間指定が無くても、荷受時間に制限を設ける企業があります。個人の場合も、時間指定がないものの、自宅に居る確率の高い時間帯はそれぞれあるもの。その時間帯に届けないと、再配達やら営業所引取の手配が必要になり、これもコストアップ要因になります。当初は、効率性ばかり追い求めた結果、失敗しました。

 

そこで、確実性も考慮に入れるため、実際のルート作成者からそのコツを抽出し、プログラムに組み込みます。そう、アナログな情報をここで取り入れるのです。実際に、ドライバーにオリオン算出ルートを示し、そのルートに修正を入れることで、確実なルート作成のコツをオリオンは学んでいきます。

 

オリオンの独自性は、現場のアナログ情報の取り込みになるのです。その結果、現実離れした机上のルートから脱却するこが可能となりました。2017年のオリオン完全稼動により、年間3億~4億ドルのコスト削減を可能にし、ネット通販拡大によるコストアップを補うだけではなく、50%以上のEPS引き上げを目指しています。

 

ちなみに、オリオンの一部導入に対する、運転手の反発もあるようです。これまで自分達で作成していたルートが否定されることになるので、反発が起こるのも仕方ありません。また、オリオン導入による作業効率度合いも、ドライバーによりばらつきがあります。これも、不満の一因です。業務改革による現場の不満は、どの組織にもあるもの。いかに現場の負担を軽減できるかが、改革の成否を分けるのでしょう。

 

UPSがオリオンにより最終的に目指すのは、ルートの最適化ではありません。自動運転車への適応です。オリオンが最適ルートを示すだけに留まらず運転までできれば、運送会社のドライバーはもうドライバーではなくなり、商品を手渡すことが業務となります。これで元運転手である担当者の業務負担は、グッと減ります。もしかしたら、担当者は、自動運転車の中でパソコンを使って追加商品の伝票作成やルートの微調整などの事務作業を行うのかもしれません。運送会社の従業員のイメージが、体力を使う重労働から頭脳労働に変わるかもしれません。

 

いずれにしても、UPSは、オリオンにより運転手の業務負担の軽減を目指しているのは間違いありません。人手不足に悩む日本でも、オリオンのような業務負担軽減プラットフォームの需要は高いのではないでしょうか。

 

Orionに関するForbesの記事

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. UPSがオリオンというコンピュータープラットフォームで、配送ルートの最適化を目指すのは、ネット通販の拡大によりコストが増大しているから。
  2. 当初、オリオンは効率化ばかり追求していたため、現場が求める確実性が不十分になり、失敗した。
  3. そこで、現場のルート作成手法や配送のコツを抽出・組み込むことで、効率性と確実性の両立が可能となった。
  4. 最終的には自動運転車へ適応し、担当者から運転業務を無くし、頭脳業務の比率を高めようとしているのではないか。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

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もちろん、一本2000円のワインと比べたら、味に雑味があるのは否めません。

しかしですよ、デイリーワインとして考えれば、もうこれで十分かもしれません。

量が減ると容器のアルミも縮小するので、酸化が防止される点もいいですね。

サンタレジーナ カベルネソーヴィニヨン

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

最近眠いと感じることが多いのですが、もしかしたらこれは花粉症の症状かもしれません。

もうそういう季節です。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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