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【693号】新メニュー目白押しのアメリカ版お祭り、その不の側面とは?

アメリカ名物マカロニ&チーズフライ

by courtesy of Owen Lin

 

◎本日のニュース

1)見出し
State Fair Vendors Innovate to Survive

 

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2)要約

アメリカの州ごとに行われるお祭りは、長い間高カロリーの料理が集まる場所として有名であった。しかし今では、中小の食関連業者が新メニューを開発し、ヒットメニューを競う場に変化している。

 

しかし、このメニュー競争が、中小企業に大きな負担になっている。というのも、100万人単位の参加者が短期間に集まり、さらに新しいメニューを提供するので、需要が読めないからである。多くの注文を見込めば、大きな調理器具への先行投資が必要となる。さらに、衛生面での厳しい規制も、出店ハードルを高くしている。その結果、財務体力の強い企業が有利になっている。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

State fairs, long celebrated for their smorgasbords of high-calorie treats, are home to increasingly high stakes for mom-and-pop food vendors looking for the next big hit.

 

4)キーとなる英文の和訳

州のお祭りは、長い間カロリーの高いメニューが集まる場所として人気があったが、今では、次の人気メニューを探す家族経営の食関連業者にとって厳しい競争の場としての側面を強めている。

 

 

5)気になる単語・表現

celebrate for 自動詞句 ~の最中に;~の中にことでほめたたえて世に知らせる
smorgasbord 名詞 ごた混ぜ
treat 名詞 ごちそう、楽しみ
home to 形容詞句 ~の多い所
stake 名詞 競争
vendor 名詞 売り手

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

記事で取り上げられている州のお祭りとは、日本で言えば盆祭りというよりもイベントに近いもののようです。その特徴をまとめると次のようになります。

【アメリカの州祭りの特徴】

100万人単位の集客

数週間開催

上記のように期間は長いのですが、人が集中するには数日間のみ。恐らく、祭りへの参加者は、週末に集中するのでしょう。

これだけの多くの人が集まるのだから、企業も注目するわけです。それだけ、大きな売上が期待できるからです。実際、州祭りでの飲食売上は、増加傾向にあります。

【州祭りでの飲食売上】

[ミネソタ州]2007年2540万ドル→2012年3470万ドル

[オハイオ州]2013年売上は前年比10%増

日本同様に、多くの飲食業者も出店しますが、出店申請がなかなか通らないようです。その結果、起こったのが新メニュー競争です。

【州祭りで起こった飲食模擬店による競争】

100万人規模の集客力→出店希望者続出→新メニューでアピール

来場客から見ると、毎年新しいメニューが楽しめるので、嬉しい事ですが、中小の出店業者からすると、決してそうではありません。逆に大きな負担になっているようです。その要因をまとめると、次のようになります。

【中小の食関連業者が直面する大きな負担要因】

[1]    大きな来場客数・短期間により、大きな注文に対応するには大きな初期投資が必要になるから

[2]    衛生規制が厳しいために、一定の初期投資を必要になるから

[3]    新メニュー開発のために絶えまない再投資が必要になるから

1は、100万人単位という大きな集客数に着目して出店する以上、大きな売上目標があるはずです。しかし、短期間でこれだけの人に提供するとなると、それなりの調理器具が必要となるわけです。その結果、初期投資が膨らむことになります。実際に、ミネソタ州の祭りでは、出店業者の約1/3が少なくとも2つのブースで店を構えていたようです。2つあると多くの注文に対応できる一方で、出店コストは二倍に増加します。

2も1と似ています。これは、売上増というよりも、出店条件にあたります。必要とされる衛生条件が厳しくなっており、それに対応する形で衛生器具への投資も増えています。これも、中小の出店者にとっては大きな負担となります。

3は、出店申請を通るために新メニューを開発するわけですが、その商品開発にも投資が必要となります。

このように州祭りに出店するのに大きな投資が必要になったことが、中小の食関連業者にとって大きな負担になっているのです。一方、出店ハードルが上がって有利になるのは、財務体力のある企業。記事では、チョコレートチップクッキー社(The Chocolate Chip Cookie Co.)が取り上げられていますが、決して大企業というわけではありません。(ホームページさえないため)このクッキー会社は、ミネソタ州の祭りで150万ドルも売り上げるようです。ちなみに、同じ祭りでの最小売上金額は、ミッドウェイメンズクラブの75ドル。これだけ売上に差が生まれるほど、投資に耐えられる財務体力の差が大きな影響を及ぼすわけです。

さらに、祭り後の影響を考えれば、お金のある企業と中小の家族経営の商店では、次のような違いがあります。

【財務体力のある企業と中小家族経営の商店の考え方の違い】

[お金のある企業]出店コストを祭り後の売上増で回収する

[家族経営の商店]出店コストを祭りの売上で回収しようとする

財務体力のある企業の方が、回収しやすいことがわかります。これは、記事での言及はありませんが、出店を広告と割りきる企業があっても不思議ではありません。

人の集まるイベントが、どんどんビジネス色を強めていることがわかります。逆に言えば、それだけ集客が難しくなったということです。

Minesota State Fair www.mnstatefair.org/

Midways Club at Minesota State Fair (FBペページ)

Ohio State Fair www.ohiostatefair.com/

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《今回のヒントのまとめ》

1)  アメリカの州祭りでは、飲食出店者による新メニュー競争が激化している。このメニュー開発投資が、中小食関連業者にとって大きな負担となっている。

2)  また、短期間に莫大な集客をするイベントなので、注文に対応しにくいという問題もある。注文に対応するとなると初期投資が大きくなり、これも中小業者を圧迫している。

3)  さらに、厳しい衛生基準も、出店ハードルを高くしている。

4)  これらの結果、中小業者にとって祭りへの出店は大きな負担となり、一方でお金のある企業にとってこの負担は有利に働く。

5)  イベント後の売上で出店コストを賄おうとすれば、財務体力のある企業はさらに有利になる。一方で、イベントでの売上でコスト回収を余儀なくされる中小商店は、さらにハードルが高くなる。

6)  州祭りへの出店が注目される背景には、それだけ集客が難しくなった現実があるのだろう。

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編集後記

マカロニ&チーズのフライというメニューが、州祭りでよく見られるようです。

画像を見る限り、マカロニ入りクリームコロッケという感じでしょうか。

日本のコロッケの方が美味しそうですね。

 

 

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