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【707号】GMのハイブリッドな新車オンライン販売システム、その特徴とは?

懐かしき古きアメリカの自動車ディーラー

by courtesy of Alden Jewell

 

◎本日のニュース

1)見出し 
GM Prods Dealers to Sell Cars Online

 

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2)要約

ゼネラル・モーターズ(GM)は、オンライン申込みシステムを拡充し、ネット利用の多い消費者への販売に力を入れようとしている。ただし、この仕組は従来のディーラーによる販売を置換するものではなく、ディーラー経由の販売を中心に据え置くとしている。

 

このシステムを使えば、ネット上で新車の選別から支払まで済ませることができる。ただし、新車の引き渡しや試乗は、システムを採用したディーラーで行うことになる。

 

 

GMが新車のオンライン販売でディーラー店舗を利用する背景には、ここ数年に渡りディーラーに多額の投資が必要となる店舗改装を要請してきたことがある。また、店舗販売が減ることを懸念し、システム利用を拒否するディーラーもある。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

General Motors Co. plans to expand a new online shopping tool that allows customers to bypass showrooms when buying new cars.

 

4)キーとなる英文の和訳

ゼネラル・モーターズ社の計画では、顧客が新車を購入する際にショールームに行く必要がなくなる、新しいオンライン購入システムを拡充するとしている。

 

5)気になる単語・表現

expand

他動詞

~を広げる、~を拡大(発展)させる

bypass

他動詞

~を回避する;~を飛び越す

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ゼネラル・モーターズ社(General Motors Co. ,GM)が、新車のネット販売を拡充するようです。これまでのネットを通じた新車販売支援を行っており、このシステムの利便性をより高めます。そのシステムとは、ショップ・クリック・ドライブ(Shop-Click-Drive)というサイト。このサイトを利用することで、新車の検索から見積もり、試乗申込み、引取手続きまで行えます。

 

GMが新車のネット販売に力を入れる目的は、ネット利用に慣れネット通販で新車を購入したいという消費者にリーチするため。わざわざ時間を掛けて、ディーラーまで足を運び、説明を聞くのが面倒な消費者が増えているからです。時短ニーズが拡大している、ということです。この層が無視できないほど増加したので、新車のネット通販の拡充に動いたのです。

 

【GMが新車のネット通販拡充に動いた要因】

時間を節約するためにネットで新車を購入したい消費者が無視できないほどに増えたから

 

GMにとっては、ディーラー経由で売れようがネットで売れようが、売上増加に変わりないはずなので、大手を振ってネット通販にシフトしてもいいもの。しかし、実際はそうはいきません。その理由は、

 

これまで売上拡大のためにディーラーに改装投資を促しており、ネットにシフトするとその投資が無駄になり兼ねかいから

 

です。また、ディーラーの権利を守るフランチャイズ(FC)法の存在も、ネット通販シフトの障害になります。FC法では、ディーラーに新車販売の排他的権利を与えます。つまり、ディーラー抜きに新車を販売することはできないのです。

 

それらの要因によりGMは、ネット販売をディーラー経由の販売に取り替えようとするのではなく、逆にディーラーを活用したネット通販システムを作り上げました。

 

ディーラーにとっても、いくら自店舗の売上になるからといって、ネット販売に動けない事情があります。それは、

 

対面サービスにより、より利益率の高い付随商品の販売につなげることができるから

 

です。付随商品とは、メンテナンスサービスや、オプション品の販売、ローン・保険の代理販売などです。来店の必要がなく、完全にネット販売にシフトすれば、見込み客との接点が無くなり、付随商品の販売機会を失うことになります。

 

【GM・ディーラーが完全にネット販売にシフトできない理由】

[GM]ディーラーに多額投資が必要な改装を促してきたから、FC法による規制

[ディーラー]利益率の高い付随商品の販売機会を失うから

 

これらの理由により、GMはネットとディーラー双方を活用するシステムを開発することになります。その特徴をまとめると、次のようになります。

 

【ショップ・クリック・ドライブの特徴】

[1]    新車検索・見積もり依頼までネットで行え、ディーラーで説明を受ける手間を省ける→ネット購入利用者にリーチ

[2]    試乗や引取はシステムを利用するディーラー店舗で行う→改装投資の回収・付随品販売機会獲得を狙うディーラーに配慮

 

これらの特徴により、ネット購入したい消費者にリーチできるとともに、改装投資を回収し付随品販売機会を得たいディーラーに配慮することができます。ネットとリアル店舗双方の利点を備えたハイブリッドな販売システムと言えるでしょう。

 

このように来店を促すシステムにしたのは、来店による販売増の影響がそれだけ大きいことを物語っています。自動車ディーラーの場合は、メンテナンスや金融サービスの提供がそれにあたります。付随品の販売につなげることができれば、客単価を引き上げることができます。さらに、対面販売をすることにより、見込み客の反応からタイムリーな商品提案を行うことができ、成約確率を高められます。これらは、クリック一つで他のサイトに移動できるネット通販では期待できず、実店舗販売ならではのメリットと言えるでしょう。

 

日本のコンビニが、ネット購入品の引き渡しや返品受付のサービスを実施するのも、来店によるついで買いが期待できるから。GM・コンビニの事例のように、ネット通販が普及するとともに、販売増を目的とした実店舗への来店促進が増えるのではないでしょうか。

 

Shop-Click-Drive 

 

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《今回のヒントのまとめ》

1)  GMは、新車をネットで購入したい消費者にリーチするため、新車のオンライン販売システムの拡充に動いている。

2)  その特徴は、ネットで利便性を高めつつも、ディーラー店舗への来店を促している点である。

3)  GMがネット・実店舗を活用する背景には、これまで巨額投資が必要な改装をディーラーに促してきたからである。また、ディーラーに新車販売の権利を与えるFC法の存在もある。

4)  ディーラーも、改装投資を回収するとともに、対面販売を行うことにより、利益率の高い付随商品の販売につなげることができる。

5)  実店舗は、来店により販売増を期待できるので、ネット通販ユーザーに来店を促す小売企業が増えるかもしれない。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

こちらのドイツビールがかなり美味しく、

再度購入しに行ったのですが、売り切れ。

かなり売れているようです。

ヴァイツェンという白ビールで、

苦味よりもフルーティな飲みくちです。

カプツィーナ・ヴァイツェン

goo.gl/YjPE5L

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本で自動車のネット通販を耳にしたことは、ほとんどありません。

高額商品だけに、目で見て、サービスを受けて買いたい消費者が多い証拠でしょうか。

ただ、検査や調整が必要なメガネでさえネットで買える時代であり、抵抗のない人が増えています。

新車のネット通販が普及しても不思議ではありません。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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