【708号】小売業界がクラウド利用で得られるメリットとは?
by courtesy of Performance Solutions
◎本日のニュース
1)見出し
How Cloud Computing Changes the Game for Retail Industry CIOs
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
2)要約
小売業界によるクラウドコンピューティング利用は、今後急拡大が予想される。その背景には、ITを身につける消費者の存在があり、小売業には、各チャネルを通じて一貫した買い物体験や、リアルタイムの個別プロモーションの提供が期待されている。
しかし、シームレス体験を実際に提供できている小売企業は少ない。そこで登場するのが、クラウドコンピューティングである。クラウドを活用すれば、低コストで顧客ニーズを満たすことができる。
クラウドの利用は、チャネル運営や仕入れ・マーケティング、サプライチェーンマネージメント、接客・アフターサービスで活躍できる。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The consumer embrace of digital technology puts retailers on the hook to deliver a seamless buying experience across all channels, complete with personalized offers in real-time based on a consumer’s location and buying habits.
4)キーとなる英文の和訳
消費者がデジタル技術を身に付けることにより、小売業は、すべての販売チャネルを通じたシームレスな買い物体験の提供を期待されている。
しかも、その買い物体験では、消費者の場所や買い物属性に応じた個別販促を、リアルタイムに行うことが要望されている。
5)気になる単語・表現
embrace |
名詞 |
抱きしめること;受諾 |
on the hook to V |
副詞句 |
~する責任がある |
seamless |
形容詞 |
継ぎ目の無い |
complete with |
形容詞句 |
~の完備した |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
小売業界のクラウド市場が、今後大きく拡大するようです。記事には、アクセンチュアの予測が掲載されています。
【小売業界のクラウド市場予測】
2011年 42億ドル→2015年 151億ドル
5年で3倍以上に急成長する背景には、小売企業にクラウドを利用せざるを得ない事情があるのです。
【小売企業がクラウドを利用せざるを得ない事情】
[1] ネット通販専業企業との競争激化
[2] ネット・実店舗など各チャネルをシームレスに利用したいという顧客の要望
1について、ネット通販専業企業の勢いが増し、実店舗を持つ小売企業は守勢に追いやれている現状があります。そこで、ネット専業に勝つには、ネット専業が持たない実店舗を活用しない手はありません。
さらに、2のような顧客の要望があり、実店舗をネット通販と連携させて利用したいという消費者ニーズがあります。このニーズとは、例えば、ネット通販のIDを実店舗でのポイントカードと連携させて、ネット・実店舗双方で買い物をしても、ポイントが貯まるようにして欲しいというもの。このシームレスな連携があれば、顧客の実店舗利用が期待できるので、小売企業としてもこのシームレスな連携に取り組まなくてはならないのです。
しかし実際は、このシームレスな連携に成功している例はまだまだ少ないようです。
【小売企業によるチャネル間のシームレス連携調査結果】
◯74%の小売企業が、シームレスな買い物体験提供に十分対応できていない。
◯81%の小売企業が、品揃え・価格・利便性においてシームレス連携が十分できていない。
※アクセンチュアによる調査
シームレス連携がうまくできていない背景には、手間を含めたコストの高さがあります。コストが高いゆえに、大企業しかシームレス連携を提供できておらず、上記のような調査結果が出たものと思われます。
そこで登場するのが、クラウドコンピューティング。クラウドを活用することで、次のようなメリットを享受できます。
【クラウド活用で小売企業が受けるメリット】
[1] 顧客情報が容易に入手・分析できる→顧客毎に個別の買い物体験を提供できる
[2] 業務プロセスを見える化できる→仕入れから販売までを効率化・最適化できる
[3] IT活用に必要な巨大投資や面倒な維持管理が不要→コスト削減
1について、従来は、顧客情報を入手するのに、店員による記憶や手書きによる記録に頼っていました。しかし、クラウドを利用することで、スマホアプリによる来店記録、QRコードを使った顧客行動記録、モバイル端末を使った店員による入力が可能となります。より広範囲の顧客情報を入手でき、より緻密な分析ができることにより、顧客の属性に応じたクーポンを発行し、顧客は個人の好みにあった買い物を体験できます。顧客の好みは、ネット通販にも活かされるので、シームレスな連携になります。
2について、仕入れから販売におけるサプライチェーンにおいて、リアルタイムの情報を容易に入手できるようになります。この結果、販売状況の変化に応じた発注が可能となり、品切れが少なくなる一方で、不良在庫を回避できます。また、売れない商品に広い売場を使うような無駄を排除できることにより、売場の販売効率が向上します。この結果、顧客は、来店した店舗に商品在庫がなくても、倉庫に在庫があれば購入でき、自宅まで配送してもらえるようになります。実店舗に来店し、ネット通販のように宅配してもらえるようになることは、まさにシームレス連携そのものです。
3について、クラウドを活用することで、サーバーに巨額投資する必要がなくなり、またその維持のために人材を募集する必要もなくなります。このような大きなコストが掛かったからこそ、大企業しかシームレス連携を提供できなかったのです。クラウド活用により、1・2の利点を低コストで享受できるのです。
記事には、実店舗の業務に応じた具体的なクラウド利用が紹介さえてあったので、まとめておきます。
【実店舗の各業務における具体的なクラウド利用】
[各チャネル運営]クラウドのRaaSを利用することで、ネット・実店舗双方の運営を一つのプラットフォームに統合できる。店舗網を拡大する場合でも、巨額なIT追加投資は必要がない。
[仕入れ・マーケティング]顧客属性や購入履歴を分析することで、各顧客ニーズに合った仕入れや販促を行える。例えば、個別クーポンを配布するスマホアプリや、より詳しい商品情報を提供するQRコードなど。
[サプライチェーン]発注から実店舗到着までのどの段階に何がどれだけあるか、リアルタイムに把握できる。その結果、品切れや急な注文・過剰在庫を回避できる。
[販売・接客・アフターサービス]モバイル端末を各販売員が持つことで、顧客に応じた接客が可能となる。その結果、ロイヤリティが高まりやすくなる。
少し複雑に見えますが、簡単に説明すると次のようになります。
【クラウド利用のメリット・目的】
顧客毎のニーズに対応できる→長期的な売上アップが期待できる
低コストで運営できる→長期的なコスト削減が可能となる
⇒長期的な収益拡大が見込める
クラウドを使うことで、最終的には長期的な収益アップが見込めることになります。単なる安売りとは、全く異なるのです。正反対とも言えるかもしれません。よって、クーポンを発行する場合でも、一度きりの販売で終わらず、リピートに繋がる仕掛けが必要となるのです。
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《今回のヒントのまとめ》
1) 小売業界のクラウド市場は、5年で3倍以上に拡大されると見込まれる。
2) この背景には、ネット通販専業企業との競争激化や顧客のネット・実店舗にまたがるシームレス連携期待がある。
3) クラウド活用には、3つのメリットがある。顧客情報の入手・分析が容易になることで、個別の買い物体験を提供でき、ロイヤリティの確立が容易となる。
4) また、業務プロセスが見える化されることで、仕入れから販売まで効率化・最適化でき、販売機会を逃さず、不良在庫を回避できる。
5) さらに、ITへの巨額投資や維持が不要となり、コスト削減効果が期待できる。
6) 長期的な収益拡大が期待できることであり、値引きによる一時的な売上拡大とは全く異なる。
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ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
こちらのドイツビールがかなり美味しく、
再度購入しに行ったのですが、売り切れ。
かなり売れているようです。
ヴァイツェンという白ビールで、
苦味よりもフルーティな飲みくちです。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
実店舗とネット通販のシームレス連携は、まだまだこれからです。
例えば、アパレル小売では、ネット通販では各商品の寸法がすぐにわかりますが、実店舗では店員に聞かなければならない場合があります。
これをシームレスに連携させるには、店舗にも商品情報が容易に入手できる端末が必要になるのではないでしょうか。
しかし、これを進めすぎると、実店舗ではなくネット通販で買えばよくなり、実店舗のショールーム化が進行します。
また、店員も不要になりかねません。
だからこそ、実店舗では商品情報が少ないのかもしれないですね。
消費者ニーズに適っているとは言えませんが。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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