【743号】コカ・コーラがポッド型コーラマシーンを開発した理由とその課題
by courtesy of ajmexico
◎本日のニュース
1)見出し
Secret to Homemade Coke: Instant Cold, No Canisters
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2)要約
コカ・コーラ社は、グリーンマウンテンコーヒーロースター社と提携し、キューリグ(Kカップ)型のコーヒーマシーンを開発すると発表した。ソーダストリームとは異なり、Kカップコーヒーマシーンに似た四角いデザインである。
このマシーンを使えば、缶や瓶の飲料を運ぶ必要がないばかりか、ソーダストリームのような炭酸の切り替えも必要ない。自宅で簡単にコークを作成でき、消費者が求める利便性にマッチする。
ただし、安価な炭酸飲料に対してKカップシステムは価格が高く、また缶や瓶とのカニバリが起こる危険性もある。また、出来立てが求められるコーヒーとの商品特性の違いも、その課題として残る。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The company’s plan to team up with the maker of the Keurig single-serve coffee brewers to develop a do-it-yourself countertop Coke machine comes pretty close.
4)キーとなる英文の和訳
キューリグのシングルコーヒーメーカーの製造者と提携し、自分で作る調理台据置型のコークマシーンを開発するコカ・コーラ社の計画が、現実味を帯びている。
5)気になる単語・表現
brewer |
名詞 |
醸造業者 |
countertop |
名詞 |
調理台 |
close |
形容詞 |
(距離・時間の点で)接近した |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
コカ・コーラ社が、自宅でコークを作れるマシーンをグリーンマウンテンコーヒーロースター社と共同開発するそうです。グリーンマウンテン社と言えば、Kカップのシングルコーヒーマシーンを製造・販売している会社。コークの自家製マシーンも、Kカップと同様ポッド使って、一杯ずつ作るタイプです。
簡単にその仕組を説明すると、ポッドは二層状態になっており、フレーバー用シロップと炭酸ガスに分かれています。マシーンで作られる際、この二層が水と混ざり合い、フレーバーの付いた炭酸水ができるという仕組み。グリーンマウンテン社は、炭酸ではない紅茶やジュース・スポーツドリンクにも広げようという計画があります。
このコークマシーンのイノベーションは、缶入りの炭酸ガスを使わずに冷たいドリンクを作る点と、出来た炭酸水を瞬時に冷やす点です。上記の二層状のポッドがこれを可能にするそうです。
自家製ソーダマシーンと言えば、ソーダストリーム(SodaStream)がすでに市販されています。これとの相違点は、ソーダストリームで使う炭酸入りの缶を使う必要がない点で、その結果、取り扱い易くなります。つまり、コークマシーンは、ソーダストリームよりも利便性が高いということです。
【消費者にとってのコークマシーンのメリット】
重い炭酸ガス缶を使わずにすむために、利便性が高い点
一方で、コカ・コーラ社にとっても、コークマシーンを販売するメリットがあります。
【コカ・コーラ社にとってのコークマシーンのメリット】
[1] 利用者の拡大とネット通販での販売により、販売増が期待できる点
[2] 重量の嵩張る水分を省けるため、利益率の向上が期待できる点
1について、自分好みの炭酸水を飲みたい層を獲得することができます。ソーダストリームユーザーの獲得と言っても過言ではありません。さらに、マシーンの販売後は、シロップと炭酸ガスの入ったポッドだけを販売すればいいため、ネット通販での販売が可能になります。ちなみに、現状の缶や瓶入りのコークは、水分も配送する必要があるため、利益率が低くなり、ネット通販での販売に向いていません。これらにより、販売金額の増加が期待できます。
2について、先述の通り、缶や瓶とは違い水分を運ぶ必要がないため、運送費を削減できその結果、利益率の向上が期待できます。ちなみに、濃縮液の販売だけを行う欧州地区では、40%ほどの利益率があるのに対し、ボトラーを買収した北米地区では、買収後利益率が20%から10%前半に落ちこみました。ポッドの販売が増えることで、利益率の大きな改善が見込めます。1・2を合わせれば、売上額・利益額両方を引き上げることができるのです。
ただし、課題も存在します。
【コークマシーン販売によって起こる課題】
[1] ボトラーが販売する缶や瓶入りコークとのカニバリが起こる可能性が高い
[2] 価格の高さやコーヒーとの商材特性の違いにより、そもそも成功する可能性が低い
1について、コークマシーン販売により、瓶や缶のコークを飲んでいた層がマシーンにシフトすれば、売上の上乗せはそう期待できません。さらに、グリーンマウンテンが、コーク以外の非炭酸飲料ポッドの販売に力を入れれば、逆にコークの販売量が減る可能性さえあります。その結果、販売を担当するボトラーのやる気を削ぐかもしれません。
2について、製造システムが成熟した缶や瓶の製造コストは低く、安く提供されています。一方で、コークマシーンは本体だけで100~200ドルと想定され、価格がコークマシーンの購入障壁になりえます。ちなみに、競合するソーダストリームの価格は80ドル程度なので、同じ自家製マシーンでも割高感は残ります。また、出来たてが重要視されるコーヒーに対し、コークのような炭酸飲料は冷蔵庫で何週間も保管でき、品質の劣化はほとんどありません。Kカップコーヒーマシーンのような販売数量は、そもそも期待できないかもしれないのです。
そもそもコカ・コーラ社がコークマシーンの開発を行った背景には、北米での炭酸飲料の需要減少があります。約1年前のメルマガでも取り上げましたが、一人あたりの炭酸飲料消費量は、2005年から年々減少しているのです。自分好みの炭酸飲料を飲みたい層やKカップコーヒーマシーンを好きな層は、缶や瓶入りの炭酸飲料を飲まない傾向が強いので、コークマシーンでこの層にリーチできれば、需要を拡大することができます。需要拡大の恩恵を一番受けるのは、シェアナンバーワンブランド。だからこそ、ナンバーワンブランドのコークを持つコカ・コーラ社は、コークマシーンという投資額の大きな新商品を開発したのでしょう。
また、需要拡大をすれば、競合他社の商品やPB商品との価格競争をある程度緩和できます。コークマシーン開発は、炭酸飲料が直面する価格競争の激しさを物語っているのかもしれません。
Green Mountain Coffee Roasters
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《今回のヒントのまとめ》
(1) コカ・コーラ社がコークマシーンを開発したのは、販売増と利益率向上を目指しているから。
(2) 缶や瓶入り炭酸飲料ユーザー以外にリーチでき、ネット通販での販売も期待できる。また、重い水分を運ぶ必要がないため、利益率の向上が期待できる。
(3) 消費者にとっても、炭酸飲料の入った缶や瓶を持ち歩く必要がなく、さらにソーダストリームが使う炭酸入りの缶を取り扱う手間も省ける。
(4) ただし、課題もある。缶や瓶ユーザーがシフトして、カニバリが起こる可能性がある。また、価格の高さや出来たてが重視されるコーヒーとの違いにより、成功する可能性がそもそも低いかもしれない。
(5) いずれにせよ、コークマシーン開発の背景には、北米での炭酸飲料需要量の減少があり、価格競争の激しさがあるのだろう。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
ついにノートパソコンを新調しました。
ヤフオクで中古にしようか迷ったのですが、5年利用できれば毎月2000円程度で済むので、新品にしました。
それにしても、OSのサポートによりPCを強制的に買い換えなければならないのは、腑に落ちないですね。
かと言って、マックでは不便ですし。
TOSHIBA dynabook kira V634 K274
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
ノートパソコンは今週届いたばかりなので、まだ使っていませんが、ウィンドウズ8はどうなんでしょう。
7が選べたら、迷うこと無く7にしたのですが。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
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高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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