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【742号】花束通販アプリのブルームザットが採ったブルーオーシャン戦略とは

きれいなブーケ

by courtesy of Flower Factor

 

◎本日のニュース

1)見出し 
BloomThat is Latest Startup to Stop and Sell the Roses

 

 

 

 

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2)要約

花束の通販アプリを運営するブルームザットが、200万ドルの資金調達に成功した。このアプリを使えば、スマホから植物やブーケの選択・支払・宅配依頼までできる。そして、地域は限定されるが、90分以内に配達してくれる。

 

ベンチャーキャピタルがブルームザットに着目したのは、昔ながらの花卉市場に純然たるニーズがあるからである。また、そのビジネスモデルが、面倒な手続きを簡素化する一方で、品質向上と低価格化を目指している点を、評価している。

 

ただし、花卉のネット通販企業との競争は激しい。ブルームザットは、宅配範囲を全米に広げる企業や、大企業のブランド力と全国規模の物流インフラを持つ即日配達企業などと、競合することになる。

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The latest to raise funding, BloomThat, offers Web and mobile apps that let users select, pay for and have flowers or live plants delivered by courier within 90 minutes to a recipient in their address book.

 

4)キーとなる英文の和訳

資金調達の最新事例であるブルームザットは、花卉販売のウェブやモバイルアプリを提供する。

このサービスを利用すれば、ユーザーは、花と植物の購入とその支払い、アドレス帳の住所への90分以内の宅配が可能となる。

 

5)気になる単語・表現

raise

他動詞

(金)を集める、調達する;(物・身体の一部など)を上げる

funding

名詞

基金、資金

recipient

名詞

受取人、受領者

courier

名詞

運搬人;特使

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ブルームザット(BloomThat)は、植物や花束の宅配アプリ。宅配可能地域は限定されるものの、このアプリで購入すれば90分以内に宅配してくれます。その特徴をまとめれば、次のようになります。

 

【ブルームザットの特徴】

[1]    花購入の面倒な手続きの簡素化とスピード宅配

[2]    低コスト・低価格

 

1に関して、ブルームザットを使えば、花を簡単に選ぶことができます。それは、品揃えが厳選されているから。さらに、地域は限定されるものの、90分以内で宅配してくれます。わざわざフラワーショップに出掛けて迷うことなく、気軽に贈ることができます。

 

2に関して、90分以内の宅配が可能になるのは、届け先に一番近いフラワーショップから届けるから。花の移動距離を最小化することで、低コスト・低価格を実現しています。

 

このように見ると、ブルームザットは価値を高める一方で価格を下げているので、無敵のように思えますが、当然ながら競争に直面します。その競合関係は、ブルームザットの弱みに起因します。

 

【ブルームザットの弱みと競争環境】

[1]    宅配可能地域の制限→全国宅配を行う既存花卉ネット通販企業との競合

[2]    創業したてのためブランド力・信頼性が低い→大手企業傘下で即日宅配を行うプロフラワーズとの競合

 

1に関しては、調達した資金で宅配可能地域の拡大を図るようです。2についても、サービス利用者の拡大を通して、弱みが徐々に小さくなる模様。しかし、業容の拡大やユーザー層の増加の前に、競争に敗れるリスクは当然存在します。

 

それにも関わらず、VC(ベンチャーキャピタル)が200万ドルも投資したのには、理由があります。

 

【VCがブルームザットに投資した理由】

[1]    安定したニーズ・需要が存在するから

[2]    面倒な手続き・手順の簡素化という競合がしない差別化をあえてしているから

[3]    高付加価値と低コスト・低価格を両立しているから

 

1について、全米の2月花卉売上は、18億ドルを超えると予想されています。その34.7%が、赤いバラが占めます。もちろん、バレンタインデーの需要です。つまり、バレンタインデーが花卉需要を支え、安定した市場となるのです。花の販売というと、昔からある成熟ビジネスですが、VCはその安定性に着目しました。

 

2について、先述した通り、花を贈るという行為は面倒そのもの。ネット通販で買えるものの、多種多様な商品の中から迷いながら選び、さらにバレンタインデーや誕生日などの記念日に間に合うように、前もって手配する必要があります。この面倒な購買行為は、既存のネット通販企業さえも克服できていません。しかし、ブルームザットは、品揃えを制限することで、この課題を克服しています。

 

品揃えを小さくすることは、消費者にとっては選択肢を狭めることになり、一方で販売者にとってはアップグレードによる客単価引き上げを難しくさせることになります。つまり、競争力だけでなく、収益性も損なう行為なのです。よって、それをブルームザットが行っても、当然競合は真似しません。真似されにくい差別化は、競合の追随を許さない大きな競争力になる可能性があるのです。ストーリーとしての競争戦略で言えば、品揃えの正弦はキラーパスに当ります。VCがこの点を見逃がすわけにはいきません。

 

3について、2と合わせて、これはブルーオーシャン戦略そのもの。つまり、品揃えを削ることで、逆に利便性という価値を高めることと低コスト・低価格を両立させているのです。

 

このように、ブルームザットの本当の競争力は、90分以内の宅配にあるのではなく、品揃えを制限したことにあるのです。なかなかできないことだからこそ、大きな競争力になるのです。

 

BloomThat

Proflowers

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《今回のヒントのまとめ》

(1) ブルームザットとは、花卉の通販アプリで、このアプリを使えば、宅配地域は制限されるものの、90分以内に贈ることができる。

(2) その強みは、花の購入行為を簡素化したことと、低コスト・低価格。これを可能にしたのが、品揃えを厳選し、届け先に一番近いフラワーショップから宅配するという仕組みである。

(3) VCが巨額投資に踏み切ったのは、花卉販売はバレンタインデーという安定した需要があるからである。

(4) また、購入手続きの簡素化のために品揃を制限しているので、競合の追随は難しい。

(5) 一方で簡単手続き・スピード宅配という価値と低コスト・低価格を両立している。これは、ブルーオーシャン戦略にほかならない。

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

以前使っていたワインストッパーが壊れたので、新調しました。

お店でも利用されているバキュバン。

まだこの実力を実感しませんが、1週間経過しても、美味しいサンテミリオンを楽しめました。

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

ブルームザットは、とても興味深いビジネスモデルです。

公式サイトでも取り上げたいと思います。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

 

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

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