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【781号】外食チェーン・食品メーカーが”ステルス・ヘルス”を行う理由

Photo:Boston Market Restaurant.
Photo:Boston Market Restaurant. “Boston Market” Sign By JeepersMedia

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Less Salt, Same Taste? Food Companies Quietly Change Recipes

【出典】

 

 

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2)要約

外食チェーンや食品メーカーは、より健康的な商品を販売するよう社会から強く要望されている。一方、企業は商品をより健康的にしたことを顧客に知られたくないと考えている。というのは、ヘルシーになったことで味が落ちたと考える消費者が多いからである。

 

この隠れて商品をヘルシーに改善することを、ステルス・ヘルスという。ステルス・ヘルスが効果的なのは、ヘルシーさを気にされない商品。逆に、健康志向の強い人向けの商品は、ヘルシーに改善したことをアピールした方が売上は伸びるという。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Food and restaurant companies are under increasing pressure to make products healthier, but sometimes they don’t want customers to know when they have cut the salt or fat.

 

4)キーとなる英文の和訳

食品メーカーや外食企業は、商品をより健康的にするような圧力を受けており、それは強くなっている。

しかし、塩分や脂質をいつ減らしたかを顧客に知られたくない時があるという。

 

5)気になる単語・表現

なし

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ステルス・ヘルスとは、隠れて商品をよりヘルシーにすること。通常、ヘルシーな商品は社会からの要望が強いので、商品をよりヘルシーに改良したならば、それをアピールした方がいいはず。しかし、現実はそれによって売上が伸びるとは限りません。その理由は、次の通り。

 

【消費者が商品のヘルシーアピールを嫌がる理由】

[1]   ヘルシー=味が落ちたと認識されがちだから

[2]   おせっかいと感じ楽しくないから

 

1は、塩分や脂質を減らすことで健康的になる一方で、味が落ちたと考えられるということ。その結果、企業は売上が落ちるリスクを抱えることになります。例えば、マクドナルド社は、2002年にフレンチフライでトランス脂肪酸の使用を止めると発表しました。その後、味が変わったとのクレームが殺到。しかも、トランス脂肪酸の使用を続ける地区でも、同様のクレームが起こったそうです。売上にマイナスの影響が出たことは言うまでもありません。

 

また、ヘルシーな商品がそもそも売れるとは限りません。またもやマクドナルドの事例ですが、10年前にヘルシー商品として導入したサラダは、依然全米売上の3%を超えたことがありません。ヘルシーな商品は、消費者の要望が強い割には、それほど売れないのです。

 

2は、飲食店でよく起こることですが、ヘルシーさを顧客に訴えすぎると、そもそも食べることが楽しくなくなり、売上にマイナスに働き兼ねません。これを危惧して、グリルchickenチェーンのモスボンマーケット社は、テーブルの塩を無くすのではなく、ドリンクバーに移動することにしました。テーブルの塩を撤去すれば、顧客に減塩を強要していると捉えられるかもしれないからです。ドリンクバーに移動し塩を使いにくくするという、さりげない方法なら、顧客をそう不快にはさせません。

 

ただし、すべての商品にステルス・ヘルスが効果を発揮するわけではありません。

 

【ステルス・ヘルスと商品の相性】

[効果の低い商品]健康志向の強い消費者向けの商品

[後悔の高い商品]ヘルシーさがあまり気にされない商品

 

食品メーカーのゼネラル・ミルズ社で言えば、前者がスープのプログレッソシリーズ。後者は、ハンバーガーヘルパーになります。スープに関して、減塩タイプを探す消費者が多いことから、プログレッソでは減塩を缶で大きくアピールしています。一方の、ハンバーガーヘルパーは、特に塩分を気にする消費者が購入する商品ではありません。よって、栄養成分を変えるだけであり、塩分カットをアピールしていません。実際、塩分カットだけの要因かどうかはわかりませんが、ハンバーガーヘルパーの売上は、塩分カットによって上がるどころか、2009年比で減少しています。

 

同様に、レストランチェーンのボストンマーケットでは、マッシュポテトの塩分をカットしたものの、それを告知したのは顧客に受け入れられたことがわかってから。それだけ、レシピ変更による顧客離れが怖かったということです。マカロニ・アンド・チーズの減塩も、1年間以上にも渡り15回もの試作を行った結果、できるだけ味が変わらないように塩分を18%カットできるレシピにたどり着きました。

 

ただし、企業がステルス・ヘルスを採用するのは、マスマーケットをターゲットにしているからに他なりません。客数増による売上拡大を目指す以上、ヘルシーに商品を改良することによる顧客離れを回避しなければなりません。逆に、健康志向の強い消費者をメインターゲットにするならば、ステルスにするどころかアピールしなければ、顧客を獲得できません。

 

記事の最後に興味深い消費者のコメントが掲載されていました。それは、医師から食生活改善の指示を受けたボストンマーケットのヘビーユーザー。彼には、食べるものを変えたくないが、より快適に食べたいという要望があります。ステルス・ヘルスを採用するボストンマーケットですが、彼はメニューがよりヘルシーになったことを事前に知りたかったようです。事前に知っていたならば、罪悪感なくより多くの注文に至っていたかもしれません。このように、社会全体のヘルシー志向が強まり、健康志向の強い消費者が増加すれば、ステルス・ヘルスをする必要性が薄れるかもしれません。

 

日本に目を転じてみれば、高齢化により健康志向は高まるばかり。よって、日本ではステルス・ヘルスの必要性はかなり薄いのではないでしょうか。

 

General Mills www.generalmills.com/

Boston Market www.bostonmarket.com/home

Progresso www.progresso.com/

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)食品メーカーや外食チェーンがステルス・ヘルスを行うのは、ヘルシー=味が落ちると消費者は考えがちだからである。また、ヘルシーさをアピールし過ぎると、おせっかいだと感じる消費者が多いからである。

(2)ただし、ステルス・ヘルスの効果が高いのは、ヘルシーさがあまり気にされない商品。逆に、健康志向の強い消費者をターゲットにする商品は、ヘルシーさをアピールする方が売上は伸びる傾向にある。

(3)社会全体のヘルシー志向が強まり、健康志向の強い消費者が増えれば、ステルス・ヘルスを行う必要性は低くなるかもしれない。

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いろいろどら焼きを食べてきましたが、一番は難波の浪芳庵でした。

難波に本店があり、いつも買うのはJR三越伊勢丹ですが。

朝焼きどら焼きが一番美味しいですが、夕方にはいつも売り切れ。

賞味期限が短いのもネックです。

だから、いつも普通のどら焼きか玄米どら焼きを買いますね。

値段も手頃なのも嬉しいところ。

生地がふわふわで、いつも幸せな気分になれます。

www.namiyoshian.jp/

浪芳庵どら焼き 10個入り

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

ステルス・ヘルスは、日本では必要ないばかりか、逆にヘルシーさがないと売れないぐらい。

マクドナルドとモスの既存店売上の差は、ヘルシーさが感じれられるかどうかだと思います。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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