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【825号】バドワイザーが伝統のクライデスデールズCMを止める理由とは?

budweiser clydesdales

Kat

 

 

◎本日のニュース
1)見出し
Bud Crowded Out by Craft Beer Craze

 

 

 

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2)要約

自称「ビールの王様」であるバドワイザーが、若者に人気のバーの生ビールメニューから消えつつある。というのは、20代の若者はクラフトビールを好むからである。

 

実際、21~27歳のうち約44%は、バドワイザーを飲んだことがない。そこで、バドワイザーを販売するアンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、バドワイザーの売上減少に歯止めを掛けるため、21~27歳の若者に絞った販促を行うことを計画している。

 

例えば、テレビCMでは、伝統的なクライデスデールズを使ったイメージCMを止めて、身近な若者を起用したCMに切り替える。また、野球場での広告よりも、音楽ライブでの広告を重視する。バーに生ビールを置いてもらう営業を強化することで、外で飲酒することの多い若者への露出を拡大する。

 

バドワイザーが20代の若者に着目するのは、その人口がベビーブーム以来多いからである。ただし、20代への販促を強化するあまり、バドワイザーのイメージが変わり、コアなファンが離反するリスクもある。

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The company has decided that persuading 21- to 27-year-olds to grab a Bud is the best chance to stop the free-fall.

 

4)キーとなる英文の和訳

そこでその会社は、21~27歳の若者にバドを気軽に飲むよう勧めることにより、売上の急激な低下が止まる可能性が最も高くなるのではないか、という結論に至った。

 

5)気になる単語・表現

persuade A to V 他動詞句 Aを説得して~させる
grab 他動詞 ~を素早く食べる[飲む];~を不意につかむ
chance 名詞 賭け、可能性
free-fall 名詞 急激な低下;暴落

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

自称「ビールの王様」のバドワイザー。そうバドワイザーの缶には記されています。しかし、その王様が裸の王様のごとく、威力を失っているのが現実のようです。

 

【バドワイザーの売上が止まらないデータ】

[売上数量]1988年5000万バレル(ピーク)→2013年1600万バレル

[人気度]ライトビールに1位を奪われる(2001年に姉妹商品・バドライトが首位奪取・2011年にはクアーズライトが2位奪取)

[シェア]2004年14.4%→2009年10%→2013年7.6%

 

売上数量を見れば、バドワイザーの苦境が一目瞭然でしょう。売上数量がピークの3分の1以下まで減少しているのです。しかも、この減少が未だ止まっていない様子。

 

バドワイザーの売上減少の要因をまとめると、次のようになります。

 

【バドワイザーの売上減少の要因】

  • ライトビア人気
  • クラフトビール・フレーバービール人気
  • 21~27歳の若者の約半数がバドワイザーを飲んだことがないため

 

1・2は、ビールの中で比較した結果、バドワイザーではなく、ライトビアやクラフトビール・フレーバービールを選んだことになります。消費者の嗜好の変化にバドワイザーが対応できなくなったのであり、変化に対応できる別の商品を販売するしかありません。一方3は、明らかに飲まず嫌い。それどころか、20代の若者の中では、バドワイザーがビールの選択肢として挙がっていないために、飲まれていない可能性が高いのです。

 

そこで、製造するアンハイザー・ブッシュ・インベブ社(ABインベブ社)がバドワイザーテコ入れのために行ったのが、このバド未経験者の開拓です。

 

【バドワイザーの20代獲得作戦】

  • テレビCMを全世代対応型から若者訴求型に転換
  • 若者がターゲットのバーへの生ビール営業を強化
  • フードフェスティバルや音楽フェスでのスポンサー・広告を強化

 

1について、従来のテレビCMは、特定の年齢層をターゲットとしないイメージCMで、クライデスデールズ(荷馬車用の馬)が雪の上をバドワイザー印の馬車を引っ張るというものでした。これを、カメラで撮影しようとする若者が、友人の名前を叫ぶシーンに、「この年末、友人とバドワイザーを飲むなら誰と?」というナレーションが流れるものに、変えるようです。これは、明らかに若者を意識したものです。

 

2について、バーの生ビールでバドワイザーの露出は大きく減少しています。10年前には4種類の生ビールのうちの一つであったものが、今では10種類のうちの一つにまでその存在感は低下。バドワイザーの生ビールを扱わないバーも増えています。

 

一方、バーやレストランでビールを飲む若者の多くは、生ビールの中から選びます。クラフトビールの需要が伸びているのは、20代の若者が外で飲むビールの15%を占めているからです。(それより上の世代では10%)それだけ、若者が集まるバーでは、クラフトビールの生ビールが多いということになります。これでは、若者がバドワイザーを飲まないのも仕方ありません。そこで、ABインベブ社は、若者が集まるバーやレストランにバドワイザーの生ビールを置いてもらうように、営業を強化しています。

 

3について、従来バドワイザーが広告・宣伝を実施してきたのは、野球などのスポーツイベント。それを、より若者が集まるイベントへ切り替えるようです。フードフェスティバルのスポンサー予定を増やすのは、21~27歳の約半数が自分をグルメ通だと考えているから。それだけ、食関連のイベントは20代を集客する力があるということになります。20代への販促を強化するバドワイザーにとっては、ブランドを売り込む絶好の場所なのです。同じ理屈で、音楽フェスでのパーティーなど主催イベントも増やしています。

 

バドワイザーが20代への販促を強化する理由は、未開拓という理由だけではありません。次のような人口・ビール市場のデータも、大きく関係しています。

 

【バドワイザーが20代の若者への販促を強化する理由】

[1]20代の若者の人口は、ベビーブーム以来の大きさだから

[2]20代の中でクラフトビールのシェアが増加傾向だから

 

1は、パイに関して。日本とは異なり、アメリカの20代は巨大な消費者層のようです。21歳の人口は2013年にピークの460万人を記録。これは、ベビーブーム以来の最大の数字のようです。この20代を早期に開拓すれば、バドワイザーの消費量は継続的に伸びることが期待できます。この巨大市場を無視するわけには行かないのです。

 

2について、一方、その巨大市場でシェアを伸ばすのが、クラフトビール。外食時での注文シェアは15%で、年々2ポイントずつ増加しているようです。つまり、このまま何もしなければ、クラフトビールが20代の市場を席巻することになります。

 

バドワイザーの最大の顧客は、28~34歳。ただし、この層の消費量は結婚・出産する伴い、減少する傾向にあります。これからバドワイザーの顧客になるべく21~27歳がクラフトビールに流れれば、28歳になってもバドワイザーを飲んでもらえない可能性があるのです。だからこそ、これまで未開拓だった21~27歳への販促を強化しているのです。

 

このバドワイザーの取り組みを一般化すれば、次のようになるでしょうか。

 

【バドワイザーの若者販促強化から学べること】

パイの大きな未開拓市場で競合商品のシェアが拡大していれば、将来マイナスの影響を受ける恐れがある。

 

バドワイザーが20代への販促を強化したのは、未開拓だけではないのです。未開拓であり、競合のクラフトビールがシェアを拡大しているからなのです。このまま何もしなければ、今後メイン顧客である28~34歳の売上が大きく落ち込む恐れがあります。その悲劇を避けるために、伝統とも言えるクライデスデールズのCMを止めるという決断を下したのです。

 

Budweiser Clydesdales history

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  • バドワイザーが売上急減に歯止めを掛けるために、未開拓だった20代への販促を特別に強化する。
  • 具体的には、テレビCMを全世代向けから若者向けに切り替え、若者が興味を示すグルメ関連・音楽関連イベントへのスポンサーを増やす。また、若者が注文する機会の多いバーに生ビールの営業を強化する。
  • 20代への販促を強化するのは、20代の人口が多く巨大な市場だからである。ただ、その市場ではクラフトビールがシェアを伸ばしており、このまま何もしなければ、メインターゲットである28~34歳でのシェアが今後低下しかねない。
  • 未開拓市場でも、競合がシェアを拡大していれば、今後悪影響を受ける可能性がある。その市場が大きければ、無策が禍根を残すことになりかねない。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

御影のこちらで中華ランチを頂きました。

1000円以上するセットですが、味とボリュームは十分価値があります。

私が食べたのは、麻婆豆腐セット。

四川料理の専門店だけあって、汗が出るほど辛かったですよ。

思わずご飯を2回もお替わりしたほどです。

ランチセットは平日のみ。

一方、週末ランチは行列ができるほどの人気です。

中華料理 四川

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

最近、やたらと眠気が襲ってきます。

花粉症の季節でもないのに。

なぜだろう?

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

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