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【836号】欧州最大のネット通販企業・ザランドが実店舗を持つ3つの理由

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◎本日のニュース

1)見出し
Web Store Unloads Old Items Offline

 

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2)要約

年末商戦も終わる頃、欧州最大のネット通販企業・ザランド社は実店舗で新たにセールを始める。その実店舗とはアウトレットであり、返品商品や不良在庫品を格安価格で販売する。

 

ザランド社が、サードパーティーを介せず自社で処分販売をするのは、ブランドの信頼を得るためである。また、実店舗を持つことで、非ネット通販ユーザーを獲得できる。

 

アパレル小売業にとって処分販売は、流行品の販売ほど華やかではないが、高い利益率を得られるビジネスである。実際、アパレル品ディスカウンターのTJX社は、純利益が16億ドルにも達する。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

In addition to hawking fashion virtually, the six-year-old German Internet company also operates two large outlet warehouses where it unloads slow-selling items at discounts of as much as 70% off.

 

4)キーとなる英文の和訳

バーチャルにファッションを販売するのに加え、創業6年のドイツネット企業は、2つの大型倉庫型実店舗を運営する。

そこでは、最大70%オフで売れ行きの悪い商品を処分する。

 

5)気になる単語・表現

hawk 他動詞 ~を売り歩く
outlet 名詞 (特定のメーカー・商品を扱う)小売販売店;特約店
unload 他動詞 ~を処分する;~を降ろす
as much as 副詞句 ~ほども多く;~と同量の

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ネット通販が実店舗を持つパターンは増えていますが、通常その目的は商品を実際に確かめてもらうこと。家具やメガネをネット販売する際に、確かめてもらうために実店舗を持つ企業があります。また、アマゾンのように、実店舗を即日配送の拠点に活用する事例も今後増えてくるかもしれません。

 

しかし、欧州最大のネット通販企業・ザランド社の実店舗は、この2つの目的とは全くことなります。その目的とは、返品・不良在庫の処分販売です。所謂、日本で言うアウトレットを実店舗として出店しているのです。

 

この背景には、アパレル小売業界における不良在庫の問題と、その処分販売のニーズの高さがあります。不良在庫は、単に不人気商品だけに起こるものではありません。人気商品でも、複数のサイズでごくわずかしか在庫がなければ、とたんに売れ行きが落ち、不良在庫化します。

 

一方で、不良在庫の処分販売に対する消費者のニーズは、かなり高いのです。なんせ、有名ブランドの商品が大幅割引で販売されるのですから。その結果、処分販売は、アパレル小売業界にとって利益率の高い美味しいビジネスになるのです。ザランド社も、この美味しい果実をみすみす逃すわけにはいきません。実際、会員制割引システムと合わせた通常の通販とは別の部門は、その売上が、2013年の3230万ユーロ(約47億1500万円)から5360万ユーロ(78億2500万円)にまで拡大しています。

 

ただし、それだけが実店舗を持つ理由ではありません。

 

【ザランド社が実店舗を持つ理由】

  1. 返品商品・不良在庫品の処分販売をするため
  2. アパレル品をネット通販で購入しない層にリーチするため
  3. 処分販売にサードパーティーを利用しないことで、ブランドの信用を得るため

 

2に関して、アパレル品を試着して買いたいという消費者のニーズは、相当強いようです。実際、このニーズに対応しようと、眼鏡メーカーのウォービー・パーカーや、高級ファッションの格安販売を運営するギルトドットコムは、実店舗を出店しています。また、買物自体、友人と一緒に楽しめる体験であるため、実店舗は重要なのです。この強いニーズのために、アパレル品に関してはネット通販で買わないという層が一定存在します。ネット通販企業のザランド社は、実店舗を出店することで、この層にリーチすることができるのです。

 

3に関して、多くのアパレル小売企業が、TJX社やロス・ストアーズ社など処分販売の専門企業を介して、不良在庫の処分販売を行っています。サードパーティーを介した方が、一気に不良在庫を解消できますが、他方どのような売り場で、いくらで販売されているかはわかりません。わかっても、自社で管理・要請することはできません。その結果、ブランド価値が毀損する恐れがあります。ザランド社は、サードパーティーを介せず自社で処分販売をすることで、ブランドの信頼を高められるのです。

 

興味深いのは、自社で、オンライン上で通常価格の販売(若干の割引を行うかもしれませんが)を行いつつ、不良在庫の処分販売も行っている点です。そこにカニバリはほとんど起こっていません。さらに、処分販売を行う実店舗の存在が、ネット通販ではリーチできない顧客の獲得に至っている点も、注目に値します。アウトレットの実店舗からネット通販に誘導できれば、アウトレットの存在が通常価格で売るネット通販の客数増をもたらすことになります。処分販売のみならず、通常価格での販売増をもたらす点において、アウトレットの最高の形と言ってもいいでしょう。

 

Zalando

 

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《今回のヒントのまとめ》

  • ネット通販企業のザランドが実店舗を持つのは、返品商品・不良在庫商品を処分販売するためであり、非ネット通販ユーザーにリーチするためであり、また、サードパーティーを介せず自社で処分販売をすることでブランドの信頼を得るためである。
  • 人気商品でも不良在庫が発生してしまうアパレル小売業界の中で、消費者の強いニーズのある不良在庫の処分販売は、高い利益率をもたらす美味しいビジネスである。
  • ザランドはその美味しいビジネスを実店舗で行うことにより、通常価格で販売するネット通販とカニバリせずに、両立させている。
  • 消費者は、アパレル品を実店舗で試着して買いたいという強いニーズを持つ。ネット通販企業が実店舗を出店することで、ネット通販だけでは獲得できない顧客を獲得できる。
  • ザランドの場合、アウトレットの実店舗を処分販売の場だけではなく、新たな顧客獲得の場としても活用できる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

先日、ノンアルコールのスパークリングワインを飲む機会がありました。

成城石井で販売されている商品ですが、意外に甘くなく、スパークリングワインを飲んでいる気分は味わえます。

もちろん、正確にはジュースだけに、甘さはありますよ。

フランス製で見た目もスパークリングワインに似ているというのも、飲めない時にはいいかもしれません。

価格も600円弱でお手頃です。

シャメイ ノンアルコールスパークリング ホワイトグレープ 750ml

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

au walletのプレミアムチャージが、昨年12月末で終了しました。

5%のプレミアムが付くという大盤振る舞いの企画でしたので、満額の10万円ギリギリまでチャージ。

さて、何に使いましょうか?

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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