【1046号】アマゾンを利用しない人の言い分とアマゾンが採った対策とは?
※火曜日は簡易版に変更しました。
◎本日のニュース
1)見出し
Not Everyone Wants to Shop on Amazon
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2)ビジネスのヒント
アメリカのネット通販市場で首位を独走中のアマゾン・ドット・コム。誰もが知っているアマゾンですが、これまでアマゾンを利用したことのない人もまだ存在しています。アメリカ主要世帯の約17%で、約2200万人がアマゾンを過去に利用したことがありません。この割合はどんどん減っていますが、かなり多くの人がアマゾンを利用していないことがわかります。
アマゾンを利用しない理由をまとめると、次のようになります。
【アマゾンを利用しない理由】
- ネット環境・ネット端末が身近にないから
- 一人暮らしなどで、注文品を自宅で受取りにくいから
- ウェブへの恐怖感・不信感が依然払拭できないから
- 近くに小売店が多く、不自由しないから
- 品揃えが多すぎて、選ぶのが大変だから
- アマゾンの方針が嫌いだから
さらにまとめると、
1~3→アマゾンを利用できないから
4~6→アマゾンが嫌いだから
に二分できます。
1はデジタルデバイドそのものです。これだけスマホや自宅のブロードバンドが普及しても、依然ネット環境のない人は存在します。そのような人は、アマゾンのみならずネット通販を日常的に利用できません。
2は商品の受取りの問題。一人暮らしで仕事の忙しい人は、自宅で注文品を受取る機会がありません。かえって不便なのです。
3は、まだウェブ・ネットへの恐怖感・不信感を持つ人は存在します。クレジットカードに記載された数字を入力しただけで購入できることは、恐怖感を与えるのに十分でしょう。
4について、都会で見られるのですが、近くに小売店が多くあれば、わざわざネット通販を利用する必要はありません。実店舗なら店員とのコミュニケーションも楽しめますが、ネット通販では一人きりの買い物です。
5について、品揃えの豊富さはアマゾンの強みであるものの、逆に選択肢が多すぎるなかで選ぶのは苦痛を伴います。だから、アマゾンが嫌いという人もいるのです。
6について、アマゾンは書籍の価格設定で出版社・作家と揉めたことがありました。この経緯からアマゾンの方針を気に食わない人は、アマゾンで購入する機会が減っても不思議ではありません。
興味深いのは、アメリカの消費者の80%が、実店舗内を見て回り買い物をしたいと、アンケート調査で答えています。店員との楽しいおしゃべりがあるからでしょうか、アメリカ人にとって、実店舗での買い物は楽しい体験なのです。
アマゾンを利用したことのない人の特徴・共通点は、以下の通りです。
【アマゾンを利用したことのない人の特徴】
- 平均年齢が高い(全平均49歳に対し、57歳)
- 年間所得は低い(全平均62,800ドルに対し、45,700ドル未満)
- 子持ち・子供と同居ではない
小売店にとって、あまり魅力的な客層とは言えません。
非アマゾンユーザー獲得のために、アマゾンは次のような対策を採っています。
【非アマゾンユーザー獲得のためのアマゾンの対策】
- 実店舗「アマゾン・ゴー」の出店
- 会員制度「アマゾンプライム」での集客・囲い込み
1は、注文品を自宅で受け取れない人への対策。店員とのコミュニケーションは期待できないものの、実店舗で食品や主力商品を購入することができます。
2は、アマゾンが好きでない人向けの対策です。無料動画・無料音楽配信など、アマゾンプライムにはお得な特典が満載です。このアマゾンプライムを武器に、他のネット通販ユーザーの宗旨変えを狙っているのです。さらに、アマゾンプライムのお徳さを実感してもらえれば、会員継続のみならず、アマゾンでの購入も継続してもらえます。実際、プライム会員は、非会員の2倍以上の買い物をしてくれるようです。
しかしながら、逆にアマゾンプライムを辞めた人は、アマゾンの利用を減らすのを避けられません。実際、会員時は買い物の5割以上をアマゾンで行っていたものの、会員を辞めれば30%程度まで落ちるようです。
【注目点】
- 体験としての買い物を好きな人は意外に多い
- 有料会員制は、所得の高い人を選り分けてくれる
1について、実店舗には、体験としての買い物を提供できるという強みがあることがわかります。逆に言えば、それ以外のハードルを下げることができれば、実店舗型小売にもネット通販に勝てる余地はあることになります。
2について、コストコ会員は実は所得の高い人が多い、ということを聞いたことがあります。同じように、アマゾンプライムの会員の平均所得も、アメリカ人平均よりも高いかもしれません。なんせ、会員になる前に会費を払うハードルをクリアした人なので、それなりの所得は必要となります。このように、有料会員制度には、所得の高い人を選り分ける効果が期待できるのではないでしょうか。
便利でお得なサービスでも、利用しない人は必ず存在します。その言い分を聞くことで、新たなビジネスチャンスに気づけるかもしれません。
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《今回のヒントのまとめ》
アマゾンを過去に利用したことのない人の特徴は、アメリカ人平均よりも、平均年齢が高く、所得は低い。また子持ち・子供との同居をしていない。
デジタルデバイドなどそもそも利用できない人もいるが、品揃え過多や方針に賛同できないなど、嫌いだから利用しない人もいる。
80%のアメリカ人が実店舗での買い物を希望しているということは、体験としての買い物を好きな人が多いということだろう。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
虫歯ということもあり、持ち運び用音波歯ブラシのポケットドルツの購入を考えています。
実は、自宅では通常のドルツを使っているのですが、これで磨くと気持ちいいぐらいピカピカに。
もう通常の歯ブラシに戻れそうにありません。
ただ、ポケットドルツに関して言えば、振動が弱そうなのがネック。
また、持ち運ぶとなると、ただでさえ重い荷物がさらに重くなります。
もう少し検討した方が良さそうですが、虫歯はもう嫌なので、早めに決めたいと思います。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。
この7年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
歯の治療した跡が痛むので、今日はここまで。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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