【1070号】ウォルマートがニッチなファッションサイトの買収を進める理由とは?
※火曜日は簡易版に変更しました。
◎本日のニュース
1)見出し
With Niche Sites, Wal-Mart Tries Selling to Hipsters
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2)ビジネスのヒント
ネット戦略がなかなかうまくいないウォルマートが、ニッチなファッションサイトの買収に力を注いでいるようです。なんで?と思いますが、もちろん理由があります。
【ウォルマートがニッチなファッションサイト買収を進める理由】
- 新たな客層を獲得し、アマゾンに対抗したいため。
- 自前のネット通販向け新ブランドが成功しなかったから。
1について、ウォルマートには、「ウォルマート=安売り」というイメージが強いために、毛嫌いする人が相当いるようです。特に、価格よりも品質・流行を重要視する人で、実際の売場や品揃えを知らないにもかかわらず、そのイメージから来店しないのです。ウォルマートは、これを打開するために、ファッション性が高く流行を追うニッチアパレルサイトを買収して、その顧客との接触機会を獲得しようとしているのです。その先には、打倒・アマゾンがあることは間違いありません。アマゾンと対抗するには、客層を広げる必要があるからです。
2について、ウォルマートはこれまで自前で通販向けの新ブランドを立ち上げてきました。その目的は、1と同様、これまで獲得できなかった客層を獲得するため。しかし、これがことごとくうまく行かなかったようです。だから、自前のブランド開発から、既存のブランド買収に転換したのです。
実際にウォルマートが買収したニッチファッションサイトは、モドクロス・モースジョー・シューバイなど。これらの共通点は、ファッション感度が高く、最新流行の商品を販売しているということ。「安さ重視」のイメージが強いウォルマートとは、真逆の特徴です。
これらニッチサイトにも、ウォルマートによる買収に同意するメリットがあります。
【ニッチサイトがウォルマートに買収されるメリット】
- イグジットできること
- アマゾンの即日・急速配送や豊富な品揃えに対抗できること
- 消費者直販を目指すメーカー・ブランドへの牽制
1について、ベンチャーのイグジット戦略として企業売却があるのは、当然。2について、ニッチファッションサイト側も、規模に大きな差はあれアマゾンと競合しており、サービス・品揃えを拡充するアマゾンがかなり脅威になっているようです。今は良くても、今後アマゾンとの競合度合いが高まると、中小企業だけに太刀打ちできません。ならば、規模で対抗できるウォルマートの傘下に入ればいい。理屈としては、こちらも当然。
3について、メーカー・ブランドによる消費者直販シフトが強くなっているようです。一方で、アマゾンに買収されたニッチファッションサイトは、セレクトショップのネット版。メーカー・ブランドの直販が増えると、その存在意義自体が問われることになります。そこで、販売力の高いウォルマート傘下に入ることによって、直販を目指すメーカー・ブランドを牽制できるのです。
ただし、ウォルマートのこの新しいネット戦略にも課題があります。それは、買収先サイトの顧客の離反です。そもそも、ウォルマートにあまりいいイメージを持たない消費者層だけに、ウォルマートに買収されたとわかれば、そのニッチファッションサイトの利用自体をやめるかもしれません。実際記事には、そのような意見を述べる顧客が紹介されていました。これでは、ウォルマートにとって買収する意味がありません。
ただし、今のところ、この戦略はうまく行っている模様。直近四半期の全米EC売上は、昨対比29%増を記録しています。
興味深いのは、この新戦略を主導するのが、ウォルマートが買収したジェット・ドットコム社の創業者であるロア氏。買収後は、ウォルマートの全米ネット部門のトップに就任しました。このロア氏が、ウォルマートに対するあまり良くないイメージを察知し、それを脱却するために、ファッション性の高いニッチサイ買収に動いているのです。起業家だからこそできる発想力・行動力であり、この点だけでも、ウォルマートはジェット・ドットコム社を買収した意味があるでしょう。
【注目点】
- 安さだけでは勝負できなくなった?
- ファッション感度・流行感度の高い消費者は、小売企業にとって優良顧客。
1について、もう安さだけでは消費者は満足しなくなったのかもしれません。モノを購入することにより、モノだけではなくブランドイメージ・考え方も買っているという認識なのでしょうか。企業・ブランドのイメージは、これまで以上に収益に影響するのではないでしょうか。
2について、価格よりも品質・流行・ブランドイメージを重視する消費者は、たとえ価格が高くても、商品・ブランドに納得すれば買ってくれます。さらに、リピート率も高い。よって、企業にとっては、収益性の高い優良顧客なのです。アマゾンなどEC各社がファッションに注力するのは、この収益性の高い優良顧客の獲得を目指しているのかもしれません。優良顧客獲得競争が、今後激化するのではないでしょうか。
(ウォルマートが買収したニッチファッションサイト)
ModCloth
Moosejaw
www.moosejaw.com/moosejaw/shop/home
ShoeBuy
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《今回のヒントのまとめ》
ウォルマートがニッチファッションサイトの買収に動くのは、これまでリーチできなかった、価格ではなく品質・ブランドでモノを買ってくれる優良顧客を獲得するためである。
今後、この優良顧客の奪い合いが起こるかもしれない。
*************************
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
最近夜遅くまで仕事をする機会が多いので、夜食用に買ったのがこちら。
カロリーメイトのようなデザインですが、本家よりも美味しく、しかも腹持ちもします。
しかも、安い。(確か200円しなかったような。)
「トーストココナッツ」というネーミングも、食欲をそそります。
小腹がすいた時に、ぴったりですね。
次はどのフレーバーにしようかな。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。
この7年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
それにしても、サイトを作るというのは本当に時間が掛かりますね。
誤字脱字はもとより、リンクや画像が正しいかまでチェックするのは大変大変。
いやいや、少し甘く見ていました。
あ、もうすぐ朝だ。(悲)
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
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高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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