【1129号】衣類レンタルのレント・ザ・ランウェイが、低価格定期利用プランを始まる理由
◎本日のニュース
1)見出し
Rent the Runway Chases the Fast-Fashion Shopper
【出典】
www.wsj.com/articles/rent-the-runway-chases-the-fast-fashion-shopper-1507982400
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
2)要約
アメリカ主要都市で人気のファッションレンタルサービスのレント・ザ・ランウェイが、低価格の定期利用プランを発表した。ターゲットは価格に敏感なミレニアル世代の女性である。
既存プランでは、高級ブランドを含むアパレル品を月無制限に借りることができる。低価格プランでは、交換回数とブランドに制限がある。
苦戦するアパレル小売で好調なファストファッション市場を狙ったとも言えるだろう。また、若者に人気のシェアリングサービスの1つとも言える。
3)キーとなる英文
Rent the Runway, a fashion rental service popular in big U.S. cities, is set to launch a new plan to test whether women in Middle America are willing to borrow apparel rather than buy it.
4)キーとなる英文の和訳
アメリカ大都市で人気のファッションレンタルサービスのレント・ザ・ランウェイは、新プランを始める予定である。
そのプランでは、中間層の女性がアパレル品を購入するより借りる方を好むかどうかを、テストする。
5)気になる単語・表現
garment | 名詞 | 衣類 |
drag | 自動詞 | 引きずる |
far from | 副詞 | 決して~ではない |
buck | 他動詞 | ~に反対する;~をふり落とす |
put on | 自動詞句 | (服など)を身につける |
fixate | 他動詞 | ~を固着させる |
be fixated on | 形容詞句 | ~に執着した |
unfathomable | 形容詞 | 理解できない |
one-off | 形容詞句 | 一回限りの |
(特に覚えておきたい単語)
急遽中止
6)ビジネスのヒント
アパレル品レンタルサービスのレント・ザ・ランウェイが、低価格の定期サービスを導入するようです。
【低価格プランと既存プランの違い】
- 月会費→89ドル(139ドル)
- 一度に借りれる点数→4(3)
- 商品→ドライクリーニングされた状態で届き、無料で返却できる(同)
- 形式→月末までに返却すると、さらに4アイテムが送られる(3)
- 制限→交換回数・ブランドに制限あり(制限なし)
※カッコ内は既存プラン
2は少し戸惑うかもしれません。139ドルの既存プランの方が借りられる点数が少ないのは、制限のある低価格プランの魅力を高めるためです。既存プランで4点借りられるようにするには、月会費が159ドルに上がるようです。ただし、既存会員は追加料金無しの139ドルで4点にアップグレードできるとのこと。既存プランの点数を下げたのは、低価格プランを魅力的にするための苦肉の策とも言えるでしょう。
では、なぜ低価格プランを導入したのでしょうか?それは、ずばり客層を増やすことで、市場を拡大させるためです。
【低価格プランと既存プランの客層の違い】
低価格プラン:価格に敏感なミレニアル世代の女性
既存プラン:経済的に余裕のあるビジネスウーマン
使えるお金の金額が抜本的に異なります。低価格プランは低価格故に、価格に敏感な中間層。一方で、既存プランは、経済的に豊かな高所得者層と言えるでしょう。
【低価格プランを導入した理由】
- ターゲットとするミレニアル世代が利用しやすくなるから
- アパレル不況を物ともしないファストファッション・アウトレットチェーンに対抗するため
- ファストファッションのユーザーは、服は所有よりも利用するものと考えているため
1について、先述のように、これまでリーチできなかったミレニアル世代(1980年前後かから2005年頃生まれ)・ジェネレーションZ(1990年代半ばから2010年の間生まれ)獲得するためです。既存プランでは、絶対リーチできませんでした。
2について、この層が好むのが、ファストファッションやアウトレット。この2つの業態は、苦戦するアパレル小売業界の中で、成長しています。低価格プラン導入により、この成長市場を取りに行っているとも言えるのです。
3について、さらにファストファッションを購入する層にとって、衣類は使い捨て商品。つまり、所有するよりも利用する意識が強いのです。このような考えを持つ人は、抵抗なく衣類をレンタルしてくれ、レント・ザ・ランウェイの顧客になりやすいのです。
一方で、ミレニアル世代・ジェネレーションZも、レント・ザ・ランウェイのアパレルレンタルサービスを支持しています。
【ミレニアル世代・ジェネレーションZがレント・ザ・ランウェイを支持する理由】
- 買い物よりも体験に価値を置くから
- エアビーなど他のシェアリングサービスを通して、衣類のレンタルに抵抗感を持たないから
- ファストファッションでの購入により、衣類は使い捨て商品になり、服を所有する意識が低いから
- レンタルすることで、衝動買いを減らせ、失敗リスクが低くなるから
1について、若者の特徴として、モノよりもコトを重視します。そのため、少数の服を購入することよりも、レンタルにより多くの服を楽しむ方を好むのです。後者は、レント・ザ・ランウェイが提供するサービスに他なりません。
2について、エアビーなどのシェアリングサービスを利用することにより、他人の所有物を借りることに抵抗が無くなります。衣類のレンタルも抵抗なく利用できるようになります。
3について、先述した通り、ファストファッションを通して、服は使い捨て商品に成り下がっています。少数を長く着るよりも、多数を短期間着て、飽きたら捨てるというのが、衣類の購入・利用パターンになっています。ならば、いっそのことレンタルでいい、となっても不思議ではありません。
4について、レンタルすることで、ファストファッションでの衝動買いをする機会が減ります。大抵、衝動買いは失敗するもの。つまり、レンタルすることによって、消費において失敗する恐れが低くなります。失敗をできるだけ避けたい若者のニーズに、合致します。
一方で、中高年には、「服は買うもの」という意識が強く、中古服への抵抗感はなかなか拭えません。その結果、レント・ザ・ランウェイのサービスには否定的になります。だからこそ、レント・ザ・ランウェイは、中高年には食指を伸ばさないのです。
ちなみに、レント・ザ・ランウェイの売上の三分の二は、パーティー用アパレル品のネットレンタルサービス。一回こっきりのサービスで、定期サービスではありません。定期サービスは、残りの三分の一を占めます。ただし、定期サービスの売上増加率は各サービスの中で一番高いので、定期サービスの拡充を決めたのです。
また、レント・ザ・ランウェイは、試着専用の実店舗も持ちます。この実店舗がミレニアル世代に人気とか。実際に試着してから借りることができるので、失敗したくないニーズが相当高いことが読み取れます。
【今日の注目点】
- シャリングサービスは、お金の使い方を変える。
- 単価が比較的高く、利用頻度の低い商材は、シェアリングの対象になりやすい。
- 失敗リスクを下げるサービスは、若者の支持を得やすい。
1について、シェアリングサービスが増えると、買うよりも借りることが当たり前になるかもしれません。これは、お金の使い方に影響を及ぼします。
2について、シャリングの対象になりやすいのは、単価が高く、利用頻度の低いもの。例えば、ホテルや自動車。単価が高く、利用頻度が低いから、シェアすれば安くつくという発想が生まれます。衣類の場合も、比較的高く、毎日同じ服をできれば着たくないから、シェアリングの対象になりやすいのです。低価格のファストファッションは、単価が高いとは言えませんが、それでもシェアリングの対象になるのは、衝動買いは高くつくという考えが広まっているからかもしれません。
3について、失敗を回避したい気持ちは、若者ほど強いのでしょう。
特別な日の洋服は、そう頻繁に着るものでない一方で、一般的に価格は高い。このように考えると、ハレの日の衣類から、レンタルサービスは広がりそうです。
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《今回のヒントのまとめ》
- レント・ザ・ランウェイが、低価格定期サービスを導入するのは、価格に敏感でものよりもコト重視のミレニアル世代を獲得して、客層を広げたいからである。
- また、苦戦するアパレル小売業界の中で、成長を続けるファストファッションやアウトレットに対抗する目的もある。これにより、成長市場に参入できる。
- さらに、ファストファッションユーザーは、服は所有よりも利用するものという意識が強いため、レンタルサービスを利用する確率が高いからである。
- さらに、レンタルサービスを使うことで、衝動買いが減るという効用もある。失敗でできるだけ避けたいミレニアル世代にとって、衝動買いを減らせるサービスは魅力的である。
- 単価が高く利用頻度の低いものほど、シャリングの対象になりやすい。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
泉佐野市のふるさと納税は、本当に挑戦的です。
今度は麦とホップ2ケースを、1万円コースに追加。
まだ自宅のビール在庫はあるものの、ついついポチッとしてしまいそうです。
編集後記
現在早朝4時過ぎ。
全く寝ていません。
もう一本。
辛い。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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2017/11/20 | ファッション・アパレル業界 シェアリングエコノミー, 価格設定, 販売戦略
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